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未収入金、立替金、仮払金、支店勘定

不渡手形、その他の流動資産、貸倒引当金

未収入金勘定の内容

普段の営業活動(営業取引)以外の取引によって発生した未収入金で決算日以後1年以内に回収されるもの、および、通常の取引の基づいて発生した未収入金で売掛金以外のものをこの勘定で処理します。

【仕訳例】

貸付金利子の未収入金    (借方) 未収入金 (貸方) 受取利息

受取手数料の未収入金    (借方) 未収入金 (貸方) 雑収入

社宅費、寮費などの未収入金 (借方) 未収入金 (貸方) 雑収入

作業くず売却の未収入金   .(借方) 未収入金 (貸方) 雑収入

※ 貸付金の未収利息は、そのまま未収入金勘定に残して、短期貸付金勘定に振り替えないようにします。(複利計算を避けるためです。)

※ 未収入金が回収(入金)された時点での仕訳

(借方)現金または当座預金 (貸方) 未収入金

 

立替金

立替金勘定の内容

従業員、役員、子会社、親会社、取引先などの対し一時的に発生する金銭立替をこの勘定で処理します。

【仕訳例】

契約手付金の立替     (借方) 立替金 (貸方) 当座預金

役員の納税の一時立替  (借方) 立替金 (貸方) 現金

運賃立替           (借方) 立替金 (貸方) 現金または当座預金

※ 一時的な立替を処理する勘定ですから、貸付金、仮払金、未収入金などの勘定と混同しないように管理することが重要です。

※立替金の減少の時点での仕訳

(借方) 現金または当座預金 (貸方) 立替金

※契約により立替金を売掛金勘定に振り替えた場合

(借方) 売掛金 (貸方) 立替金

 

仮払金

仮払金勘定の内容

役員、従業員、親会社、子会社、取引先などに対し、現金、小切手等での支出したが、その支払目的や支払金額が確定してない場合に、仮払金勘定で処理します。また、期末決算日には、支払った目的や実体に合った勘定科目に振り替え、残高をの残さないように配慮することがこの勘定では重要です。

【仕訳例】

※ 仮払金勘定の増加取引例   (借方) 仮払金 (貸方) 現金

費用(旅費、交通費)の概算または内払い 

相手勘定科目または支払金額の総計が確定していない支払い

小口払いの金額(資金)

※ 仮払金勘定の減少例

費用が精算されその振り替え

     (借方) 旅費、交通費 (貸方) 仮払金  (確定費用)
     (借方) 現金、      (貸方) 仮払金  (残金の精算)

相手勘定科目または支払い金額の総計が確定し、その精算

     (借方) 現金または当座預金 (貸方) 仮払金

小口払いの金額(資金)戻入 (借方) 現金 (貸方) 仮払金

 

支店勘定

支店勘定の内容

本店と支店間の取引を処理する勘定です。勘定の管理方法には、本店集中制と独立採算制とがありますが、企業の規模によりいずれかを選択します。中小規模では、本店集中制を用いることが多いです。

【仕訳例】

※ 本店

支店へ資金を送金

     (借方) 支店勘定 (貸方) 当座預金 (本店仕訳)
     (借方) 当座預金 (貸方) 本店勘定 (支店仕訳)

支店の負担するべき費用の立替 

     (借方) 支店勘定 (貸方) 当座預金 (本店仕訳)
     (借方) 当座預金 (貸方) 本店勘定 (支店仕訳)

支店へ送付した物品の振り替え

     (借方) 支店勘定 (貸方) 仕入    (本店仕訳)
     (借方) 仕入    (貸方) 本店勘定 (支店仕訳)

※ 支店

本店へ資金を送金

     (借方) 本店勘定 (貸方) 当座預金 (支店仕訳)
     (借方) 当座預金 (貸方) 支店勘定 (本店仕訳)

本店の負担すべき費用の立替

     (借方) 本店勘定 (貸方) 当座預金 (支店仕訳)
     (借方) 発送費  .(貸方) 支店勘定 (本店仕訳)

支店間の取引は、送付元の支店が下記の3枚の伝票を起票し、本店分と送付先支店分の伝票を本店に送り、本店から送付先支店の伝票を、送付先支店に送る。

     (借方) 本店勘定 (貸方) 仕入    (送付元A支店の仕訳)
     (借方) 仕入    (貸方) 本店勘定 (送付先B支店の仕訳)
     (借方) B支店   (貸方) A支店   (本店の仕訳)

(注)本支店会計は、不符合の生じるケースが多く、取引は、正確に行うようにします。

 

不渡手形

不渡手形勘定の内容

手形の債権のうちその支払を拒絶された手形をこの勘定で処理します。決算日以後1年以内に回収することが困難なものは、投資等の部に計上して処理します。

【例】

※ 不渡手形の発生(増加)取引

取立依頼手形の不渡の発生   (借方) 不渡手形 (貸方) 受取手形

割引手形の不渡により償還請求を受けた 
        (借方) 不渡手形 (貸方) 当座預金
        (借方) 割引手形 (貸方) 受取手形

裏書手形の不渡により償還請求を受けた
        (借方) 不渡手形 (貸方) 当座預金
        (借方) 裏書手形 (貸方) 受取手形

※ 不渡手形の減少取引

償還請求し、入金があったことによる不渡手形の減少
        (借方) 当座預金 (貸方) 不渡手形

貸倒れによる不渡手形の減少
        (借方) 貸倒償却 (貸方) 不渡手形

別の勘定に振り替えることによっての不渡手形の減少
        (借方) 未収入金 (貸方) 不渡手形 (回収可能債権分)
        (借方) 貸倒償却 (貸方) 不渡手形 (債権の放棄分)

(注) 経理実務Q&Aの内容を参考にしてください。

 

その他の流動資産

その他の流動資産の内容

前渡金、前払費用、短期貸付金、未収入金、仮払金、立替金、支店勘定、不渡手形の勘定を除いたものを一括して処理する勘定です。

【例】

従業員短期貸付金、短期差入保証金、受取融通手形、未収収益など、流動資産として計上するものを処理します。

貸倒引当金

貸倒引当金勘定の内容

金銭債権に対する取立不能見込み額を一括して処理する勘定です。また、この勘定は、貸方残高の勘定ですから、流動資産の部で表示される場合には、マイナス(▲)で数字が表示されます。
税務上、貸倒引当金の繰入額は、別表(11)貸倒引当金の繰入に関する明細書によって計算された金額を計上します。なお、この明細書で計算した金額を超える部分の金額は、損金不算入となり、当期課税所得に加算されます。

【仕訳例】

決算時の繰入仕訳 (借方) 貸倒引当金繰入 (貸方) 貸倒引当金

決算時の戻入仕訳 (借方) 貸倒引当金    (貸方) 貸倒引当金戻入

【税法上の取扱】

一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の対象となる金銭債権の範囲
売掛金、貸付金その他これらに準ずる金銭債権で、個別評価金銭債権を除いたものを、一括評価金銭債権といいます。

1 一括して評価する金銭債権に含まれるもの

(1)売掛金、貸付金
(2)未収の譲渡代金、未収加工料、未収請負金、未収手数料、未収保管料、未収地代家賃又は貸付金の未収利子で益金の額に算入されたもの
(3)他人のために立替払いをした場合の立替金
(4)未収の損害賠償金で益金の額に算入されたもの
(5)保証債務を履行した場合の求償権
(6)売掛金、貸付金などの債権について取得した受取手形
(7)売掛金、貸付金などの債権について取得した先日付小切手のうち法人が金銭債権に含めたもの
(8)延払基準を適用している場合の割賦未収金

2 一括して評価する金銭債権に含まれないもの
(1)預貯金及びその未収利子、公社債の未収利子、未収配当そのほかこれらに類する債権
(2)保証金、敷金、預け金そのほかこれらに類する債権
(3)手付金、前渡金などのように資産の取得の代価又は費用の支出に充てられるものとして支出した金額
(4)前払給料、概算払旅費、前渡交際費などのように将来精算される費用の前払として、一時的に仮払金、立替金などとして経理されている金額
(5)金融機関における他店為替貸借の決済取引に伴う未決済為替貸勘定の金額
(6)証券会社又は証券金融会社に対し、借株の担保として差し入れた信用取引に係る株式の売却代金に相当する金額
(7)雇用保険法、雇用対策法、障害者の雇用促進等に関する法律などの法令の規定に基づき交付を受ける給付金などの未収金
(8)仕入割戻しの未収金
(9)保険会社における代理店貸勘定の金額
(10)デリバティブ取引に係る利益相当額の益金算入等(法61の5第一項)に規定する未決済デリバティブ取引に係る差金勘定等の金額
(11)法人がいわゆる特定目的会社(SPC)を用いて売掛債権等の証券化を行った場合において、その特定目的会社の発行する証券等のうちその法人が保有することとなったもの
(12)工事進行基準を適用している場合の工事未収金

中小企業が法定繰入率を選択して繰入限度額を計算する場合には、その債権の債務者から受け入れた金額があるため、実質的に債権とみられないものは除外する必要があります。

(法法52、法令96、措法57の9、措令33の8、法基通11−2−16〜20、措通57の9−1)

 

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