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税法条文の読み方

ものとする、読み替えるものとする、読み替え規定、例による

ものとする

国税通則法

(国税の徴収の所轄庁)

第43条 4 前項の規定により徴収の引継ぎがあったときは、その引継ぎを受けた国税局長は、遅滞なく、その旨をその国税を納付すべき者に通知するものとする。

所得税法

(予定納税基準額の計算の基準日等)

前項の規定を適用する場合において、予定納税基準額の計算については、その年5月15日において確定しているところによるものとし、居住者であるかどうかの判定は、その年6月30日の現況によるものとする。ただし、予定納税基準額の計算は、その年5月16日から7月31日までの間におけるいずれかの日において確定したところにより計算した金額が本文の規定により計算した金額を下まわることとなった場合は、その日(その日が2以上ある場合には、その計算した金額が小さいこととなる日)において確定したところによるものとする。

ものとする

税法上頻繁に用いられる字句です。その用法は必ずしも一様ではありません。大体において「・・・・しなければならない」または「・・・・とする」という字句で表すのを少し表現を緩和して用いたほうが適当な場合に用いられるます。行政庁に対して一定の作為義務を課そうという場合に、当該官庁は、「・・・・しなければならない」と断定的に規定することを好まない傾向があるので、法文上「・・・・ものとする」という表現を用いて緩和して条文構成を置き換える場合があります。なお、「・・・・ものとする」によく似た字句に「・・・・するものとする」という述語が用いられるけれど上記と同じように「・・・・しなければならない」よりやや弱く、合理的な理由があれば、それに従わないことも許されると解釈されると考えます。

 

読み替えるものとする

所得税法

(申告納付および還付)

第166条 前編第5章(居住者にかかる申告、納付および還付)の規定は、非居住者の総合課税に係る所得税について申告、納付および還付について準用する。この場合について、第120条第3項第3号(確定申告書への源泉徴収票の添付)中「または」とあるのは、「若しくは」と、「居住者」とあるのは「非居住者または国内および国外の双方にわたって業務を行う非居住者」と、「源泉徴収」とあるのは、「源泉徴収表または収入および支出に関する明細書で大蔵省令で定めるもの」と、第143条(青色申告)中「業務を行う」とあるのは、「業務を国内において行う」と第144条(青色申告の承認の申請)および第147条(青色申告の承認のあったものとみなす場合)中「業務を開始した」とあるのは「業務を国内において開始した」と読み替えるものとする。

法人税法

(申告、納付および還付等)

第145条 前第1章第3節(内国法人の各事業年度の所得に対する法人税の申告、納付、還付および国税通則法第23条第1項(更正の請求)の規定による更正の請求について準用する。

2 前項の場合において、次の表の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、同表の下欄に掲げる字句にそれぞれ読み替えるものとする。

租税特別措置法

第4条 2 所得税法第10条第2項から第7項までの規定は、前項の規定を適用する場合について準用する。この場合において、これら規定中「非課税貯蓄申告書」とあるのは「特別非課税貯蓄申告書」と、同条第3項および第7項中「租税特別措置法第4条1項」と読み替えるものとする。

読み替え

法令の規定中のある用語を他の用語に置き替えてその規定を読む場合をいいます。例えば、Aに関する法令の規定をAと本質の異なるBに対してあてはめる場合(準用する)に、当然「読み替え」として用語を置き替えて読む「読み替え」の文言が立法技術として採用されます。読み替えは、税法では、数多く用いられている特異な規定です。しかし「適用」の場合でも「読み替え」の用語がなくても実質上読み替えるのと同じ条文があります。法人税法施行令第123条1項、同第128条第1項、同13条の規定で会計処理をした場合の適用については同第119条、第2号、同第124条第2号、同第129条、同第130条で読み替えと規定していないが結果は読み替えるのと同様になるものがある。また、「準用」の場合の読み替えの中でも複雑で必要な読み替え事項があるときは、一覧表にして規定されています。(法人税法第145条第2項)のほか地方税法第68条第2項のような一種の読み替えをする場合もあり「読み替え」とあるのは注意を要します。

 

読み替え規定

国税徴収法

(国税局長が徴収する場合の読み替え規定)

第184条 国税通則法第43条第3項もしくは第44条第1項(徴収の引継ぎ)の規定により国税局長が徴収の引継ぎを受けた場合または、第182条2項(滞納処分の引継ぎ)もしくは前条3項の規定により国税局長が滞納処分の引継ぎを受けた場合におけるこの法律(第159条第2項(保全差押の承認)、第173条(不動産の売却決定の取り消しの制限)および前2条を除く。以下次条において同じ。)の規定の適用については、「税務署長」または「税務署」とあるのは、「国税局長」または「国税局」とする。

(国税局長が徴収する場合の読み替え規定)

第185条 国税通則法第43条第1項ただし書(税関長による徴収)の規定により税関長が徴収する場合、同法第44条第1項(徴収の引継ぎ)の規定により税関長が徴収の引継ぎを受けた場合または第183条第2項(滞納処分の引継ぎ)の規定により税関長が滞納処分の引継ぎを受けた場合におけるこの法律の規定の適用については、「税務署長」または「税務署」とあるのは、「税関長」または「税関」とする。

読み替え規定

法令中のある事項に関する用語を他の用語に置き換えて読むことを定めた規定をいいます。AとあるのをBと入れ替えて適用することがこの読み替え規定です。
法令中のある事項に関する規定を準用しては不都合が起こる場合または、法令の規定を特定の場合に適用することについて不合理な結果をもたらすというときに読み替え規定が置かれます。

 

例による

国税通則法附則

(還付加算金に関する経過措置)

第5条 第58条(還付加算金)の規定は、この法律の施行後に支払決定または充当をする還付金等に加算すべき金額について適用する。ただし、当該加算すべき金額の全部または一部でこの法律の施行前の期間に対応するものの計算については、従前の税法の例による。

所得税法

第242条 次の一つに該当する者は、一年以下の懲役または20万円以下の罰金に処する。ただし、第3号の規定に該当する者が同号に規定する所得税について第240条(源泉徴収にかかる所得税を納付しない罪)に該当するに至ったときは、同条の例による。

地方税法

(法人等の道府県民税にかかる滞納処分)

第68条 6 前各項に定めるものその他法人等の道府県民税にかかる地方団体の徴収金の滞納処分については、国税徴収法に規定する滞納処分の例による。

例による

ある法律上の制度または法令を包括的に他の同種の事柄にあてはめようとする場合に用いられる表現です。通常「適用する」、「準用する」よりも更に広く、ある事柄について規定する法律とこれに基づく命令を含めて、その制度または法令全体に包括的にあてはめ、それに準じた扱いをするときこの「例による」という用語が用いられます。

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