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87、固定資産の取得価額に算入すべき事後的に支出する費用

88、社屋や工場建設期間中の借入金の利子の取り扱い

89、資産の評価益計上

90、固定資産の有姿除却に関する取り扱い

91、有姿除却処理に際しての取壊し費用見積もり額

92、見込みで過剰生産した製品は評価減が可能かどうか

93、時価以上の価格で資産を下取りした場合の中古資産の取得価額

94、仕損じ品の評価について

95、資産の所有権が留保されている減価償却資産の償却

96、共有資産の小額減価償却資産の取得価額の取り扱いについて

97、電話加入権の取得価額の取り扱いについて

98、蛍光灯などの照明設備の小額減価償却資産の取得価額の取り扱いについて

99、カーテンや間仕切り費用などの小額減価償却資産の取り扱い

100、料理店業などの厨房用機器等の小額減価償却資産の取り扱い

101、組み立て式商品棚等の小額減価償却資産の取り扱い

102、新築の営業所に移転するに際し取得した備品等の小額減価償却資産の取り扱い

103、建物の取得価額(借地権付きの場合)

104、減価償却資産の取得価額に含まれる付随費用

105、店舗等に描いた壁画の取り扱いについて

106、建物等の建て替えによって発生する旧建物の取り壊し費用の取り扱い

107、仮営業所設置に伴う支出費用の取り扱い

108、税法上の資本的支出と修繕費の取り扱いは、非減価償却資産にも適用されるかどうかについて

109、税法上の資本的支出と修繕費の取り扱いは、減価償却資産を取得する時に支出する据付費等についても、適用されるかどうかについて

110、税法上の資本的支出と修繕費の取り扱いについて、設備の更新と法人税法基本通達の関係

111、税法上の資本的支出と修繕費の取り扱いにおいて、修繕費に含まれる費用としての機械装置の移設費用


 

87、固定資産の取得価額に算入すべき事後的に支出する費用

【問】
固定資産の取得価額に算入すべき事後的に支出する費用について説明してください。

【答】
社屋や工場などの建築に関連して支出する住民対策費、公害補償費等の費用で当初からその支出が予定されているものは、たとえその支出が社屋や工場の建築の後に行われるものであっても社屋や工場の建築のために不可欠のものと考えられるので、その取得価額に算入しなければならないことになっています。よって、日照妨害等に関して支出する補償金は、建物の取得価額に算入します。また、高層建築の建物を建設するにあたって生じる電波障害なども、障害を受ける人のために建物の屋上に共同アンテナ、聴視装置などを設けた費用等も、補償金の一つですから上記の取り扱いと同じです。
当事者間の協定により、今後予想される公害に対して毎年支払うことになった費用(補償金)は、今後現実に起こりえる公害による損失の補償金を毎年支払うものですから、その支払額は建物建築当初から予測が難しく、損失の度合いを考慮しながら折衝して決定されるものと考えます。よって、今後折衝によって補償金額が債務として確定した場合、その都度損金算入されるものと考えます。

 

88、社屋や工場建設期間中の借入金の利子の取り扱い

【問】
社屋や工場建設期間中の借入金の利子の取り扱いについて説明してください。

【答】
税法では、固定資産の取得価額には、その資産の購入金額だけでなく、購入に要した一切の費用が含まれます。その建築や購入のための借入金利子は、たとえそれが使用開始前の期間のかかる利子であっても、当該固定資産の取得価額に算入しないことができます。
借入金利子を建築中の固定資産にかかる建設仮勘定に含めた時、当該利子は、固定資産の取得価額に算入されたことになりますから、建設仮勘定から各勘定に振り替えるときに、支払利息として損金算入することはできません。借入当初から利子については費用の勘定で経理処理してください。この税法の取り扱いは、会社が銀行から直接、固定資産取得のための資金を借入した場合や、当事者間で延払条件付売買契約、割賦購入契約などをした場合、会社の負担になる借入金が発生した場合などを考慮していると考えます。
また、建築会社に代金を早く支払うために、銀行から借入し、当該代金を建築会社に早期に支払ことによって受けた値引きは、固定資産の取得価額から差し引き控除します。借入金利子については損金算入が認められます。

 

89、資産の評価益計上

【問】
資産の評価益計上に関する取り扱いについて説明してください。

【答】
商法では、固定資産に付ては其の取得価額又は製作価額を附し年一回一定時期、会社に在りては毎決算期に相当の償却を為し と規定されていますから、固定資産についての評価益計上を認めていません。税法上もこの規定に沿って、法人が資産の評価益を計上したときは、益金に算入せず、評価換えにより増加した資産の帳簿価格は、其の増加額がなかったものとみなすことになっています。例えば、土地の評価益を計上しても、当期所得金額の計算上、益金に算入されないので、この経理処理によって当期所得を損失から利益にかえて、納付税額を計算することはできません。
税法上、評価益の計上が認められているものについては、下記のとおりです。
※ 内国法人が組織変更に伴って行う資産の評価換え
※ 保険会社が保険業法第112条の規定に基づいて行う株式の評価換え

 

90、固定資産の有姿除却に関する取り扱い

【問】
固定資産の有姿除却に関する取り扱いについて説明してください。

【答】
固定資産の有姿除却処理は、今後使用する可能性がない場合に、取り壊し費用が多額になるため、取り壊さないでそのまま使用廃止するのが一般的です。
例えば、材料保存用の倉庫を長年使用してきたが、其の必要がなくなり、また建物の法定耐用年数を経過しているので減価償却を行う必要もなく、そのまま数年経過したので残存価格を当期末に、 (借方) 除却損 (貸方) 建物 と経理処理した場合などはこの例と考えます。今後この建物(倉庫)を再利用する可能性がある場合は、除却の経理処理をせずに残存価格を建物勘定に残しておく必要があります。また、当該建物の補修費用を支出して再利用した場合には、その補修費用は資産に計上して減価償却を行います。
次に機械装置ですが、現在の生産ラインに据えつけたままでも邪魔にならなければそのままで、有姿除却を行ってもよいものです。取り外して雨ざらしになれば再利用の可能性がないことがはっきりしますが、「今後使用しないことが明らかである」ことをはっきりさせればよいと考えます。
この有姿除却の取り扱いは固定資産としての命数、使用価値の尽きた資産に適用されるものですから、中古資産として同業他社などに転売する予定の資産は、転売した先で継続して固定資産として使用されるので、転売に伴い、当該資産の簿価と転売予定価額の差額に損失が見込まれる場合でも有姿除却に準ずる処理はできません。税法では、現状有姿のままでスクラップ価額を残して除却処理することができる事例として下記の二つが認められています。
※ 使用を廃止し、今後通常の方法で事業の用に供する可能性がないと認められる固定資産
※ 特定の製品の生産中止により将来使用される可能性がほとんどないこと

 

91、有姿除却処理に際しての取壊し費用見積もり額

【問】
有姿除却処理に際しての取壊し費用見積もり額を除却損失に計上できますか。

【答】
税法では、販売費および一般管理費その他の費用について、減価償却費以外は債務確定の原則に基づいています。債務確定の原則に関しては、経理実務Q&A(40)、税法上の、要した費用の意味を参照してください。
当該有姿除却資産の取り壊し費用の見積もり額は、取り壊しの事実がまだ発生していないため債務確定の原則の要件を満たしていませんから、有姿除却時に計上する除却損失に加算して損金経理することはできません。有姿除却によって除却損失に計上してよい金額は、有姿除却対象資産の簿価からその処分見込み価額を差し引きした金額とされていますけれど、例えば、スクラップ価額よりも廃棄費用の見積もり額の方が高額の場合には、その差額を取壊し費用と考えることができます。よって処分見込み価額を0円と考えて除却損失を計上することは可能です。

 

92、見込みで過剰生産した製品は評価減が可能かどうか

【問】
見込みで過剰生産した製品は評価減が可能かどうか説明してください。

【答】
税法上、棚卸資産の時価が、単に物価変動、過剰生産、建値の変更等の事情によって低下しただけでは、棚卸資産の評価損を計上できる事実に該当しないことになります。単にモデルチェンジだけでは直ちに陳腐化に該当しないことになりますが、これら過剰在庫やモデルチェンジ前の棚卸資産でも、なお今後通常の方法で売れる見込みのある場合のことです。例えば、受注先からの注文に際して、生産コスト低減目的で、見込みで受注量の倍を生産して次の注文を待っていたが、モデルチェンジになり今後まったっく売れる見込みのない製品等を在庫として抱えてしまい、製品としての価値がなくなった。よって、形式、性能、品質等が著しく異なる別の製品が発売されたことにより、当該商品、製品につき今後通常の方法で販売できることができなくなった場合に準じて、評価減することができるものと考えます。この場合の時価は、当該製品を解体して材料等に戻すことができる場合には、材料の評価額から解体費用等を差し引きしたその処分可能価額となると考えます。

 

93、時価以上の価格で資産を下取りした場合の中古資産の取得価額

【問】
新商品の長期割賦販売のために以前に販売した製品を下取りしました。この資産の取り扱いについて説明してください。

【答】
新製品の販売目的で以前に販売した製品を下取りした場合は、販売促進の方法の一つで、下取りした製品を再販する意図はないと考えます。旧製品を下取りすることにより消費者の方に買い換え心理を起こしてもらうためのものです。ですから、新商品を下取り価格分だけ値引きしたわけです。したがって実務上は、値引き販売したものとして経理処理すべきものです。税法上も、その経理処理が認められています。
事業年度末に、未処分の下取り製品が残った場合には、スクラップとしての処分見込み額で評価して棚卸資産に計上してください。

 

94、仕損じ品の評価について

【問】
仕損じ品の評価について説明してください。

【答】
税法では、棚卸資産は、破損、型崩れ、棚ざらし、品質変化等のために通常の方法によって販売することができなくなった時、棚卸資産に物質的欠陥が生じた時は、評価減することができます。この法人税法基本通達で評価減の対象として考えているのは、製造した時には良品であったけれど、陳列、運送などの過程や時間の経過により物質的に品質変化や破損等が生じてきて価値の低下したものをいい、製造した時から物質的に問題がある仕損じについては、考慮していないと考えます。例えば、生産過程で生じた仕損じ品は、原価計算の過程で良品と異なる取得価額があるはずです。よって税法も別の規定を設け、製品の製造工程において副産物、作業くず又は、仕損じ品が発生した時は、総製造費用の額から下記に示すような方法で算定した副産物等の評価額を控除して製品の製造原価を計算をしてもよいことになっています。
(1) 実際原価として合理的に見積もった価額
(2) 通常成立する市場価額
(3) その価額が著しく小額である時は備忘価額
※ (1)、(2)は継続適用が条件です。
(1)の実際原価としての合理的に見積もった価額 については、下記に示します原価計算基準を参考に判断してください。
「副産物等の処理と評価」
総合原価計算において主産物の総合原価から控除する副産物の価額の算定方法を下記のように示しています。
(1) そのまま外部に売却できるもの‐‐‐‐(見積もり売却額)−(販売費および一般管理費の見積もり額) 又は (見積もり売却価額)−(販売費および一般管理費および通常の利益の見積もり額)
(2) 加工の上売却できるもの----(加工製品の見積もり売却価額)−(加工費、販売費および一般管理費の見積もり額)又は(加工製品の見積もり売却額)−(加工費、販売費および一般管理費、通常の利益の見積もり額)
(3) そのまま自家消費されるもの----これによって節約されるべき物品の見積もり購入価額
(4) 加工の上自家消費されるもの----(これによって節約されるべき物品の見積もり購入価額)−(加工費の見積もり額)

 

95、資産の所有権が留保されている減価償却資産の償却

【問】
機械装置を割賦購入しました。所有権については、割賦代金を全額支払まで所有権の移転が行われません。この機械装置について、減価償却をすることができまできますか。

【答】
税法上、減価償却ができる資産は、原則として自社の所有であることが前提になっています。割賦代金を全額支払うまで所有権が留保されているのは、売主側の債権確保のためのもので、また売主が減価償却しない場合には、買主側がこの機械装置を事業のために使用して資産計上すれば、減価償却をすることができます。この機械装置の取得価額は、売主に支払う金額の合計ですが、会社が負担した据付費があれば取得価額に含まれます。その金額のうちに利息相当額が含まれている場合には、この金額が明らかに機械装置の代金と区分されている時は、取得価額に算入しないことができます。

 

96、共有資産の小額減価償却資産の取得価額の取り扱いについて

【問】
共有資産の小額減価償却資産の取得価額の取り扱いについて説明してください。

【答】
共有資産の償却は、それぞれの持分に応じて行うことができます。
小額減価償却資産かどうかは、事業のように供した減価償却資産の、取得価額によって判断することになっていいます。したがって自社の所有権の及ぶ範囲内である持分が10万円未満であれば、小額減価償却資産に該当します。
例えば、27万円の器具備品(各社9万円負担)を3社で共有資産として購入した場合には、自社の所有権の及ぶ範囲内である持分9万円が、各社の取得価額になります。この持分によって小額減価償却資産の判定をします。また、租税特別措置法上の特別償却も、持分に応じてそれぞれ適用を受けることができます。

 

97、電話加入権の取得価額の取り扱いについて

【問】
電話加入権の取得価額の取り扱いについて説明してください。

【答】
税法上、小額減価償却資産の取得価額の取り扱いについて一個又は一組の取得価額が10万円未満の資産を取得した場合には、その資産の取得価額に相当する金額をその事業の用に供した日の属する事業年度において損金算入が認められています。この取り扱いは、その資産が減価償却資産である場合に限り認められるものです。また電話加入権は、税法上の減価償却資産の範囲の中に含まれていません。よって、この電話加入権が、10万円未満で取得できても、当該事業年度の損金に算入することができませんので資産勘定に計上します。税法上の減価償却資産の範囲に含まれていないので減価償却もできないことになります。

 

98、蛍光灯などの照明設備の小額減価償却資産の取得価額の取り扱いについて

【問】
蛍光灯などの照明設備の小額減価償却資産の取得価額の取り扱いについて説明してください。

【答】
税法上(減価償却資産の耐用年数等に関する省令)の規定で、建物附属設備の電気設備には、照明設備を含む と規定されています。これは蛍光灯、蛍光管までを含むことを意味していると考えます。よって、蛍光灯、蛍光管を個々に一単位として小額減価償却資産としての判断はできないことになります。
例えば、事務所を新築して、各部屋に取り付けた蛍光灯の費用¥250,000−(一本当たり¥500−)については、建物附属設備勘定に計上して減価償却を行うことになります。
その後、これらの蛍光灯の一部が不良になり、取り替えた場合には、その取り替えに要した費用は修繕費に計上して、損金算入します。

 

99、カーテンや間仕切り費用などの小額減価償却資産の取り扱い

【問】
カーテンや間仕切り費用などの小額減価償却資産の取り扱いについて説明してください。

【答】
カーテンなどの小額減価償却資産は、一つの部屋で数枚が機能してその効力を発揮するもので、一枚だけでは機能しないものです。ですから取得価額が10万円未満についての判断は、部屋ごとにその取得価額を判断するのが合理的と考えます。よって部屋ごとの単位によって取得価額が10万円未満であれば、事業のように供した日の属する事業年度において損金算入されます。
次にビルの一室を間仕切りした費用は、間仕切りした状態で、その要した費用の判断を行います。この場合でも、間仕切りパネル一枚だけでは、機能しませんので数枚が組み合わさって隔壁としての機能を形成すると考えます。間仕切りパネル一枚を単位として判断するのは不合理と考えます。

 

100、料理店業などの厨房用機器等の小額減価償却資産の取り扱い

【問】
料理店業などの厨房用機器等に関する小額減価償却資産の取り扱いについて説明してください。

【答】
税法上の小額減価償却資産に該当するかどうかについては、減価償却資産の耐用年数に関する省令の規定で、機械装置の耐用年数を適用する資産についても、その設備を構成する個々の機械等で、単体で機能を有するものについては、通常一単位として取引されるその単体により判断します。
よって、減価償却資産の耐用年数等に関する省令別表二の 料理店業用設備に含まれる電気機器、ガス機器等で1台又は1個ごとにそれぞれが機能を有しており、かつ、その取得価額が10万円未満ならば、損金算入が認められます。

 

101、組み立て式商品棚等の小額減価償却資産の取り扱い

【問】
組み立て式商品棚等の小額減価償却資産の取り扱いについて説明してください。

【問】
器具備品の一つである組み立て式の商品棚について小額減価償却資産の判断をする場合には、商品棚1段ずつでも棚としての機能を有するもので、数段を接続して一体として使用する意図で別注されているような場合には、全体を1組として小額減価償却資産の判断を行います。
耐用年数については、減価償却資産の耐用年数に関する省令別表第一、器具備品、11の前掲以外のもの、その他のもの、主として金属製のもの、に該当しますので、10年を適用します。また、主として金属製以外のものの、その他のもの に該当する場合には、5年を適用します。
建物に固着して建物と一体になっているような商品棚は、器具備品ではなく「建物」として取り扱われます。

 

102、新築の営業所に移転するに際し取得した備品等の小額減価償却資産の取り扱いについて

【問】
新築の営業所に移転するに際し取得した備品等の小額減価償却資産の取り扱いについて説明してください。

【答】
税法上、小額減価償却資産の取得価額については、新築開業や新築移転等の、その資産を買い入れた動機に関係なく、1個、1組、又は1そろいごとに、その当該取得資産が10万円未満であるかどうかによって判断すことになっています。よって、税務上、購入資産を事業の用に供した日の属する事業年度において、損金経理を行った時は、その経理処理がみとめられます。

 

103、建物の取得価額(借地権付きの場合)

【問】
借地権付き建物を取得した場合の取得価額について説明してください。

【答】
敷地と建物の所有者が違う場合には、建物の所有者に敷地を使用する権利があることになりますので、建物を取得すれば同時に土地を使用する借地権利を取得したことになります。よって、減価償却の対象資産になる取得価額と、減価償却の対象にならない借地権の価額とに区分する必要があります。建物の評価は時価で評価し、総購入金額から建物価額を控除して、借地権の価額を算定します。この場合、名義書換料が土地所有者に支払われているときは、名義着換料を借地権価額に加算します。
また、土地の上に存する建物等を取得した場合で、その建物等の購入価額のうち借地権の対象となる価額と認められる部分の金額が建物等の購入価額の概ね10%以下の金額である時は、その金額を建物等の取得価額に含めることができることになっています。

 

104、減価償却資産の取得価額に含まれる付随費用

【問】
減価償却資産の取得価額に含まれる付随費用について説明してください。

【答】
税法上、減価償却資産の取得価額のについては、下記の(1)と(2)の合計額となっています。
(1) その資産の購入代価(引き取り運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税その他その資産を購入のために要した費用がある場合には、その費用の金額を加算した金額)
(2) その資産を事業の用に供するために直接要した費用の額

例えば、機械装置等を購入した場合、その契約が工場渡しになっている場合は、購入に要する諸費用が含まれているのが一般的です。その機械装置を事業の用に供するために直接要した据付費、電気配線工事費、試運転費用などの合計費用も、機械装置の取得価額に含まれます。機械装置の取得価額に含まれる電気配線工事の範囲は、一般的には、分電盤からそれぞれの機械装置に配線されている場合には、その分電盤の部分から機械装置までの間の工事を言い、取得価額に含まれる付随費用として取り扱います。

 

105、店舗等に描いた壁画の取り扱いについて

【問】
店舗を新設するに際し、店舗の前面に絵を書きました。この壁画費用の取り扱いについて説明してください。

【答】
店舗に書かれた壁画は、広告宣伝を目的に書かれたものと考えます。税法では、建物等を新築するに際して、その壁画に商品の絵、社名、その他広告目的をもって描かれた壁画に支出された費用は、その建物の取得価額に算入することになっています。
次に、自動車購入時などに、広告宣伝を目的に描かれた絵や広告文字などに要した費用も、自動車の取得価額に算入されます。 また、後日、これらを書き替えた時には、修繕費として損金経理処理することができます。

 

106、建物等の建て替えによって発生する旧建物の取り壊し費用の取り扱い

【問】
建物等の建て替えによって発生する旧建物の取り壊し費用の取り扱いについて説明してください。

【答】
まだ使用できる建物を取り壊して、新しい建物に建て替える場合でも、その取壊し費用は、取り壊した日の属する事業年度において損金経理できることになっています。よって建物取り壊し時に発生した取り壊し損失を、新しい建物の取得価額に算入する必要はありません。
新営業所や新社屋等を建築する用地とすために建物付き土地(借地権を含みます。以下同じです。)を取得した場合、直ちにその建物を取り壊す場合のように、最初からその土地を利用する目的で、土地といっしょに取得した建物等を取り壊す場合における建物等の損失は、その当該土地の取得価額に算入することになります。

 

107、仮営業所の設置に伴う支出費用の取り扱い

【問】
仮営業所の設置に伴う支出費用の取り扱いについて説明してください。

【答】
仮営業所を設置する費用は、業務の執行上の必要性から発生した費用と考えます。
仮営業所での営業が1年未満の場合には、仮営業所の設置に要した費用は損金経理の対象となります。1年未満の営業期間でも、決算期が二期にまたがる場合には、当該費用を仮払経理(資産の勘定に計上)しておき、営業所を閉鎖した時点で当該費用を損金経理すればよいでしょう。この仮営業所での営業期間が1年以上になりますと、例えば、ビルの一室を賃借りしているような場合で、内部造作費用を支出した場合、この内部造作に伴う支出費用を資産に計上して減価償却をしなければなりません。内部造作費の減価償却期間は、耐用年数の適用等に関する取り扱い通達に基づき合理的に見積もった期間を減価償却期間として用います。
この仮営業所を閉鎖したときには、その閉鎖した時点で未償却残高を除却損失に計上して処理します。

 

108、税法上の資本的支出と修繕費の取り扱いは、非減価償却資産にも適用されるかどうかについて

【問】
税法上の資本的支出と修繕費の取り扱いは、非減価償却資産にも適用されるかどうかについて説明してください。

【答】
税法上の小額減価償却資産の取得価額の損金算入の規定は、減価償却資産を対象としていますので、非減価償却資産は対象とされていません。このことは、法人税法では、非減価償却資産については、別個に考えていると理解できます。よって、この取り扱いは、非減価償却資産についての適用はされません。

 

109、税法上の資本的支出と修繕費の取り扱いは、減価償却資産を取得する時に支出する据付費等についても、適用されるかどうかについて

【問】
税法上の資本的支出と修繕費の取り扱いは、減価償却資産を取得する時に支出する据付費等についても適用されるでしょうか。

【答】
税法上のこの規定は、減価償却資産を取得して事業の用に供した後に、その資産について支出した金額について適用されるものです。よって、減価償却資産の取得価額を構成する支出については、この規定の適用はありません。例えば、機械装置を購入と同時に据付費(20万円)を支払ったが、この費用を修繕費に計上して経理処理したような場合、この据付費は、機械装置の取得価額を構成する費用なので、この取り扱いの適用は、されません。よって、修繕費に計上して損金経理することはできないことになります。

 

110、税法上の資本的支出と修繕費の取り扱いについて、設備の更新と法人税法基本通達の関係

【問】
税法上の資本的支出と修繕費の取り扱いについて、設備の更新と法人税法基本通達の関係について説明してください。

【答】
税法上のこの取り扱いは、法人の所有する固定資産の修理、改良のために支出した金額を対象に規定されています。ですから、すでに所有する固定資産を除却して新品の固定資産を調達する場合などの設備の更新については、適用されないことになっています。
例えば、 概ね3年以内の期間を周期として行われることが既往の実績からみて明らかである場合 と規定されていますが、耐用年数2年の減価償却資産に関して、耐用年数が経過したことに伴い、買い換えた場合などは、設備の更新ですから、この規定の適用はありません。
次に、前期末における取得価額の概ね10%相当額以下 と規定されていますが、パソコン10台(前期末における取得価額の合計額200万円)の10%相当額20万円を支出して古いパソコンを1台を新品に買い換えたような場合は、設備の更新ですから、この規定の適用はありません。

 

111、税法上の資本的支出と修繕費の取り扱いにおいて、修繕費に含まれる費用としての機械装置の移設費用

【問】
税法上の資本的支出と修繕費の取り扱いにおいて、修繕費に含まれる費用としての機械装置の移設費用の取り扱いについて説明してください。

【答】
税法上の資本的支出と修繕費の取り扱いにおいて、機械装置の移設に要した費用は、原則として損金算入されることになっています。この場合、解対費に相当する費用も含まれますが、下記に記載する「集中生産を行う等のための機械装置の移設費」の規定のいずれかに該当する場合の、当該移設費用は、修繕費として損金経理できないことになっています。
※ 集中生産またはよりよい立地条件において生産を行うなどのため、一つの事業場の機械装置を他の事業場に移設した場合
※ ガスタンク、鍛圧プレス等多額の据付費を要する機械装置を移設した場合
(注) 収用換地等の場合の所得の特別控除の収用換地等に伴い移設した場合には除かれます。
上記の二つのどちらかに該当する機械装置を移設した場合の運賃、据付費などその移設に要した費用(解対費は除かれます。)の支出額は、その機械装置の取得価額に算入され、当該機械装置の移設直前の帳簿価額のうちに含まれている据付費(旧据付費)は、損金算入されます。この場合、その移設費の額の合計額が当該機械装置の移設直前の帳簿価額の10%に相当する金額以下の時は、旧据付費を損金算入しないで、この当該移設費用を移設した日の属する事業年度において、損金算入することができます。
(注) 主として新規の生産設備の導入に伴い、既存の生産設備の配置換えのために行う移設は、原則として集中生産又はよりよい立条件において生産を行うための移設には、当たらないと注意書きの規定がなされています。

 

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