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171、分離課税譲渡所得{居住用財産の3000万円特別控除(特例の内容)}

172、分離課税譲渡所得{居住用財産の3000万円特別控除
    (居住の用に供している家屋の範囲)}

173、分離課税譲渡所得{居住用財産の3000万円特別控除(適用の手続き)}

174、分離課税譲渡所得(居住用財産の3000万円特別控除)
    特例が適用されない場合

175、分離課税譲渡所得(特殊な場合の特別控除)
    土地収用法等に基づいて土地建物等の資産を収用などされた場合

176、分離課税譲渡所得(特殊な場合の特別控除)
    国等や都市基盤整備公団などが行う特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合

177、分離課税譲渡所得(特殊な場合の特別控除)
    特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合

178、分離課税譲渡所得(特殊な場合の特別控除)
    農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合

179、分離課税譲渡所得(特別控除を差し引く順序)

180、分離課税譲渡所得と総合課税の譲渡益又は譲渡損との損益計算

181、分離課税譲渡所得と総合課税の譲渡益又は譲渡損との損益計算の計算例

182、譲渡所得の特別控除額の異なる譲渡グループの所得金額の構成

183、譲渡所得において同種の固定資産を交換した場合の特例

184、譲渡所得において同種の固定資産の交換した場合の特例の適用が受けられる場合について

185、相続等により取得した居住用財産の買い換え・交換の特例

186、相続等により取得した居住用財産の買い換え・交換の特例(譲渡資産の範囲)

187、相続当により取得した居住用財産の買い換え・交換の特例(買換資産の範囲)

188、相続等により取得した居住用財産の買い換え・交換の特例(特例の不適用)

189、相続等により取得した居住用財産の買い換え・交換の特例(申告の手続き)

190、相続等により取得した居住用財産の買い換え・交換の特例(更正の請求及び修正申告)


171、分離課税譲渡所得{居住用財産の3000万円特別控除(特例の内容)}


居住用財産の3000万円特別控除の特例の内容について説明してください。


個人が、所有する当該資産の譲渡所得金額から下記のいずれかの要件に該当する場合に、3000万円の特別控除が受けられる制度です。
※1、その居住の用に供している家屋を譲渡した場合
(注) その居住の用に供している家屋とは、その家屋のうちにその居住の用以外のように供している部分があるときは、その居住の用に供している部分に限り、また、その人がその居住の用に供している家屋を2以上所有している場合には、これらの家屋のうち、その人が主としてその居住の用に供していると認められる一つの家屋に限ります。以下同様です。
※2、(※1)の家屋とともにその敷地の用に供されている土地等の譲渡をした場合
(注) 譲渡所得の基因となる不動産等の貸付けを含みます。以下同様です。
※3、下記のいずれかに該当する家屋または土地等を、これらの家屋がその個人の居住の用に供されなくなった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に譲渡した場合
♯1、災害により滅失した居住用家屋の敷地の用に供されていた土地等
♯2、従来居住の用に供していた家屋で居住の用に供されなくなったもの
♯3、(※2)の家屋の敷地の用に供されている土地等で、(♯2)の家屋とともに譲渡されたもの

(注1) 居住用家屋を取り壊してその敷地とされていた土地等を譲渡した場合の取り扱いは、居住用財産の長期譲渡所得がある場合の税額計算の特例と同じです。

(居住用資産の長期譲渡所得が有る場合の税額計算の特例)
家屋の敷地となっている土地等だけをその家屋と別に譲渡しても原則としてこの特例の対象となりません。しかし、自己の居住の用に供している家屋または、自己の居住の用に供している家屋でその者の居住の用に供されなくなったもの(その者の居住の用に供されなくなった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に譲渡されるものに限ります。)の家屋(この特例の対象となる家屋に限ります。)を取り壊してその敷地とされていた土地等を譲渡した場合(取り壊しの後、その土地等の上にその土地等の所有者が建物等を建築し、その建物等とともにその土地等を譲渡する場合を除きます。)には、土地等は、@家屋の取り壊しの日の属する年の1月1日で所有期間10年を超えること、Aその土地等の譲渡契約がその家屋の取り壊しの日から1年以内に締結され、かつ、その家屋に居住しなくなった日以後3年を経過する日の属する年12月31日までに譲渡したものであること、B家屋の取り壊しの後、譲渡契約の締結日まで貸し付けその他の用に供されていないことすべての要件を満たせば、この特例の対象となります。(家屋を引き家してその旧敷地を譲渡する場合は、これに該当しません。)

(注2) 同年中に譲渡した居住用財産の譲渡所得のうちに、短期譲渡所得と長期譲渡所得とがある場合は、特別控除額は、分離短期譲渡所得→分離長期譲渡所得の順に控除します。

 

172、分離課税譲渡所得{居住用財産の3000万円特別控除
    (居住の用に供している家屋の範囲)}


居住用財産の3000万円特別控除の対象となる居住の用に供している家屋の範囲について説明してください。


税法上、居住の用に供している家屋とは、その人が生活の拠点として利用している家屋(一時的な利用を目的とする家屋を除きます。)をいいます。これらに該当するかどうかについては、その人および配偶者等(社会通念上その人と同居することが通常であると認められる配偶者その他の人をいいます。以下同じです。)の日常生活の状況、その家屋への入居目的、その家屋の構造および設備の状況その他の事情を総合的に考慮して判定することになっています。
転勤、転地療養等の事情のため、配偶者と離れ、単身で起居している場合であっても、その事情が解消した後は、配偶者等と起居を共にすることになると認められるときは、配偶者等が居住の用に供している家屋は、その人にとっても、その居住の用に供している家屋として取り扱われることになっています。
下記のような場合には、その居住の用に供している家屋には該当しないことになっています。
♯1、この特別控除の適用を受けるためだけの目的で入居した認められる家屋、その居住の用に供するための家屋の新築期間中だけの仮住まいである家屋その他一時的な目的で入居したと認められる家屋
(注) 譲渡した家屋においての入居期間が短期間であっても、その家屋への入居目的が一時的なものでない場合には、その家屋は(♯1)に該当しません。
♯2、主として趣味、娯楽または保養の用に供する目的で所有する家屋

 

173、分離課税譲渡所得{居住用財産の3000万円特別控除(特例の手続き)}


居住用財産の3000万円特別控除の特例の手続きについて説明してください。


この居住用財産の3000万円特別控除は、対象となる資産を譲渡した年分の確定申告書の一面の「特例適用条文の欄」に措法35条と記入し、下記の書類を確定申告書に添付した場合に限り適用されます。
♯1、譲渡した居住用財産にかかる譲渡所得計算書
♯2、譲渡資産の所在地の所轄市区町村長から交付を受けた住民票の写し(譲渡日から2か月を経過した日以後に交付を受けたものに限ります。)
(注) この特例対象資産を譲渡した人が、その資産の所在地を所轄する市区町村の住民台帳に登録されていないため、(♯2)の住民票の写しの交付を受けられない場合において、その譲渡者が下記の書類を確定申告書に添付したときは、確定申告書に(♯2)の住民票の写しの添付があったものとして取り扱われます。
※1、譲渡者の戸籍の附表の写し(譲渡日から2か月を経過した日後に交付を受けたものに限ります。)
※2、譲渡者がその資産の所在地を所轄する市区町村の住民基本台帳に登録されていなかった事情の詳細を記した書類
※3、譲渡者がその資産に居住していた事実を明らかにする書類

 

174、分離課税譲渡所得(居住用財産の3000万円特別控除)
    特例が適用されない場合


居住用財産の3000万円特別控除が適用されない場合について説明してください。


この特例が適用されない場合について、下記に記載する場合に該当するときは、この特別控除の適用を受けることができないことになっています。
※1 譲渡した相手方が下記のいずれかに該当する場合
♯1、譲渡者の配偶者および直系血族
♯2、譲渡者の親族(♯1、を除きます。以下同じです。)で譲渡者と生計を一つにしている人および譲渡者の親族で居住の用に供している家屋の譲渡がされた後譲渡者とその家屋に居住する人
♯3、譲渡者とまだ婚姻の届け出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある人およびその人の親族でその人と生計を一つにしている人
♯4、♯1から♯3の人および譲渡者の使用人以外の人で譲渡者から受ける金銭その他の財産によって生計を維持している人およびその人の親族でその人と生計を一つにしている人
♯5、譲渡者、譲渡者の♯1、および♯2の親族、譲渡者の使用人若しくはその使用人の親族でその使用人と生計を一つにしている人または譲渡者にかかる♯3または♯4の人を判定の基礎となる法人税法第2条第14号に規定する株主等とした場合に法人税法施行令第4条第2項に規定する特殊関係その他これに準ずる関係のあることとなる会社その他の法人
※2 その譲渡について下記の特例の適用を受ける場合
♯1、固定資産の交換の特例
♯2、収用等に伴い代替資産を取得した場合の特例
♯3、交換処分等に伴い資産を取得した場合の特例
♯4、換地処分等に伴い資産を取得した場合の特例
♯5、収用交換等の場合の5000万円特別控除
♯6、相続等により取得した居住用財産の買い換え交換の特例
♯7、特定の居住用財産の買い換え交換の特例
♯8、特定の事業用資産の買い換え交換の特例
♯9、既成市街地等内に有る土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買い換え交換の特例
♯10、特定の交換分合により土地等を取得した場合の特例
♯11、大規模な住宅等造成事業の施行区域内にある土地等の造成のための交換等の特例
♯12、認定事業用地適正化計画の事業用地の区域内にある土地等の交換等の特例
※3 譲渡者がその年の前年または前々年において既にこの特例控除の適用を受けている場合
※4 譲渡者がその年の前年または前々年において既に※2の♯6、♯7または特定の居住用財産の買い換え等の場合の譲渡損失の繰越控除の特例の適用を受けている場合

 

175、分離課税長期譲渡所得(特殊な場合の特別控除)
    土地収用法等に基づいて土地建物等の資産を収用などされた場合


土地収用法等に基づいて土地建物等の資産を収用等された場合の、分離長期譲渡所得の特別控除について説明してください。


この特別控除は、長期譲渡所得の100万円特別控除に代えて、適用されるもので、短期譲渡所得についても差し引くことができます。
特別控除額は、5000万円です。この適用を受けるための手続きとしては、この特別控除を適用しても、なお確定申告をしなければならない人は確定申告書の一面の「特例適用条文の欄」に措法33条の4と記入します。そして、添付書類として「譲渡所得計算明細書」「公共事業用資産の買取等の申し出証明書」「公共事業用資産の買取等の証明書」「収用証明書」を確定申告書に添付することで控除の適用が受けられます。
この適用を受けられない場合については、下記をご覧ください。(下記に掲載します特例の適用を受ける場合にはこの特例は適用されません。)
♯1、収用等に伴い代替資産を取得した場合の特例
♯2、交換処分等に伴い資産を取得した場合の特例
♯3、居住用財産の譲渡所得の特別控除
♯4、相続等により取得した居住用財産の買い換え・交換の特例
♯5、特定の居住用財産の買い換え・交換の特例
♯6、既成市街地等内に有る土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買い換え・交換の特例
♯7、大規模な住宅地等造成事業の施行区域内ある土地等の造成のための交換等の特例
♯8、認定事業用地適正化計画の事業用地の区域内にある土地等の交換等の特例

 

176、分離課税長期譲渡所得(特殊な場合の特別控除)
    国等や都市基盤整備公団などが行う特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合


国等や都市基盤整備公団などが行う特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合について説明してください。


この特別控除は、長期譲渡所得の100万円特別控除に代えて、適用されるもので、短期譲渡所得についても差し引くことができます。
特別控除額は、2000万円です。この適用を受けるための手続きとしては、この特別控除を適用してもなお確定申告をしなければならない人は、確定申告書の一面の「特例適用条文の欄」に措法34条と記載します。そして、添付書類として「譲渡所得計算明細書」「買取証明書」「事業証明書」を確定申告書に添付することでこの特別控除が受けられます。
この適用を受けられない場合については、下記をご覧ください。
この特別控除は、下記の特例の適用をうける場合には適用がありません。
♯1、相続等により取得した居住用財産の買い換え・交換の特例
♯2、特定の居住用財産の買い換え・交換の特例
♯3、既成市街地等内に有る土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買い換え・交換の特例
♯4、大規模な住宅地等造成事業の施行区域内に有る土地等の造成のための交換等の特例
♯5、認定事業用地適正化計画の事業用地の区域内に有る土地等の交換等の特例
♯6、特定の事業用資産の買い換え・交換の特例
♯7、特定の交換分合により土地等を取得した場合の特例

 

177、分離課税長期譲渡所得(特殊な場合の特別控除)
    特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合


特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合について説明してください。


この特別控除は、長期譲渡所得の100万円特別控除に代えて、適用されるもので、短期譲渡所得についても差し引くことができます。
特別控除額は、1500万円です。この適用を受けるための手続きとしては、この特別控除を適用してもなお確定申告をしなければならない人は、確定申告書の一面の「特例適用条文の欄」に措法34条の2と記載します。そして、添付書類として「譲渡所得計算明細書」「買取証明書」「事業証明書」を確定申告書に添付することでこの特別控除が受けられます。
この適用を受けられない場合については、下記をご覧ください。
この特別控除は、下記の特例の適用を受ける場合には適用されません。
♯1、相続等により取得した居住用財産の買い換え・交換の特例
♯2、特定の居住用財産の買い換え・交換の特例
♯3、既成市街地等内に有る土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買い換え・交換
♯4、大規模な住宅地等造成事業の施行区域内に有る土地等の造成のための交換等の特例
♯5、認定事業用地適正化計画の事業用地の区域内に有る土地等の交換等の特例
♯6、特定の事業用資産の買い換え・交換の特例
♯7、特定の交換分合により土地等を取得した場合の特例

 

178、分離課税長期譲渡所得(特殊な場合の特別控除)
    農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合


農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合について説明してください。


この特別控除は、長期譲渡所得の100万円特別控除に代えて、適用されるもので、短期譲渡所得についても差し引くことができます。
特別控除額は、800万円です。この適用を受けるための手続きとしては、確定申告書の一面の「特例適用条文の欄」に措法34条の3と記載します。そして、添付書類として「譲渡所得計算明細書」「勧告並びに調停調書等の写し」を確定申告書に添付することでこの特別控除が受けられます。
この適用が受けられない場合については、下記をご覧ください。
この特別控除は、下記の特例の適用を受ける場合には適用されません。
♯1、既成市街地等内に有る土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買い換え・交換の特例
♯2、大規模な住宅地等造成事業の施行区域内に有る土地等の造成のための交換等の特例
♯3、認定事業用地適正化計画の事業用地の区域内に有る土地等の交換等の特例
♯4、特定の事業用資産の買い換え・交換の特例
♯5、特定の交換分合により土地等を取得した場合の特例

 

179、分離課税譲渡所得(特別控除を差し引く順序)


分離課税譲渡所得の特別控除を差し引く順序について説明してください。


課税譲渡所得金額とは、譲渡所得金額(収入金額-必要経費=差し引き金額)から特別控除額を差し引いた金額が、分離課税の土地建物等の譲渡における課税譲渡所得金額です。この特別控除額を差し引くには、その年中に譲渡した土地等が2以上あって、それぞれ異なった特別控除の適用が有る場合には、次の定められている順序や限度に基づいて計算します。
♯1、その年中の譲渡所得金額を、それぞれ異なった特別控除額の適用を受けるグループごとに分けます。
(ここで店舗兼用住宅の敷地が特定土地区画整理事業や特定住宅地造成事業のために買い取られたときは、居住部分の敷地について居住用財産の3000万円控除を受けると共に、その他の部分の土地について2000万円控除又は1500万円控除の適用があります。ただし、通算して年5000万円を超える特別控除の適用を受けるとはできません。)
♯2、1つのグループないでは、収用等の場合の5000万円特別控除については、@分離短期(一般所得<最低40%課税>→軽減所得<最低20%課税>)→A総合課税短期→B総合課税長期→C山林所得→D分離長期(一般所得→特定所得→軽課所得)の順に差し引きます。
その他の特別控除については、@分離短期(一般所得<最低40%課税>→軽減所得<最低20%課税>)→A分離長期(一般所得→特定所得→軽課所得)の順に差し引きます。また、100万円控除は、分離短期から差し引くことはできません。
(注) 分離短期の内では一般所得→軽減所得の順に、分離長期の内では、一般所得→特定所得→軽課所得の順に差し引きます。
♯3、特別控除額の合計額が5000万円に達するまで下記の表の準序にて、@収用交換等の場合の5000万円控除、A居住用財産の3000万円控除、B特定土地区画整理事業等の場合の2000万円控除、C特定住宅地造成事業等の場合の1500万円控除、D農地保有の合理化等の場合の800万円控除、E分離長期譲渡所得の100万円控除の順にそれぞれの特別控除額を差し引きます。このように控除を行い、特別控除額の合計額が5000万円になれば、打ち切られます。

↓控除の区分

所得の区分→

分離短期譲渡所得

総合短期譲渡所得

総合長期譲渡所得

山林所得

分離長期譲渡所得

収用交換等の場合の5000万円控除

@

A

B

C

D

居住用財産の3000万円控除

E

−−−−

−−−−

−−−−

F

特定土地区画整理事業等の場合の2000万円控除

G

−−−−

−−−−

−−−−

H

特定住宅地造成事業等の場合の1500万円控除

I

−−−−

−−−−

−−−−

J

農地保有合理化等の場合の800万円控除

K

−−−−

−−−−

−−−−

L

分離長期譲渡所得の100万円控除

−−−−

−−−−

−−−−

−−−−

M

 

180、分離課税譲渡所得と総合課税の譲渡益又は譲渡損との損益計算


分離課税譲渡所得と総合課税の譲渡益又は譲渡損との損益計算について説明してください。


総合課税の譲渡所得(土地建物以外の資産の譲渡)と分離課税の土地建物等の譲渡の双方がある場合、それぞれの所得計算の段階で損失が発生しているときは、その損失を下記の順序で他の譲渡所得(又は譲渡益)から差し引きします。この場合に、分離課税の土地建物等の長期譲渡所得や短期譲渡所得のなかに軽減税率適用所得とその他の所得が有る場合には、まずそれぞれの所得を区分して計算します。その相互間でまず損益計算を終わらせます。
♯1、短期譲渡損失が有る場合
♪1、土地建物の譲渡損は、土地建物等以外の資産の短期の譲渡益から差し引きます。
♪2、土地建物等以外の資産譲渡損は、土地建物にかかる(A)最低40%課税の短期譲渡所得(一般所得)→(B)最低20%課税の短期譲渡所得(軽減所得)の順序で差し引きします。
♯2、長期譲渡損失がある場合
♪1、土地建物等の譲渡損は、土地建物等以外の資産の長期の譲渡益から差し引きします。
♪2、土地建物等以外の資産の譲渡損は、土地建物等にかかる(A)一般の土地建物等にかかる長期譲渡所得→(B)優良住宅地の造成等のために譲渡した土地等のかかる長期譲渡所得(特定所得)→(C)居住用財産にかかる長期譲渡所得(軽課所得)の順に差し引きします。
♯3、(♯1)の計算でなお損失がある場合、土地建物等の長期譲渡所得{(A)一般の土地建物等にかかる長期譲渡所得→(B)優良宅地の造成等のために譲渡した土地等にかかる長期譲渡所得→(C)居住用財産にかかる長期譲渡所得の順に)→土地建物等以外の資産の長期譲渡益の順序で差し引きします。
♯4、(♯2)の計算でなお損失が有る場合は、土地建物等の短期譲渡所得(最低40%課税→最低20%課税の順に)→土地建物等以外の資産の短期譲渡益の順序で差し引きします。

 

181、分離課税譲渡所得と総合課税の譲渡益又は譲渡損との損益計算の計算例


分離課税の土地建物等の譲渡所得と総合課税の譲渡益又は譲渡損との損益計算の計算例を示してください。


早速ですが、下記の計算例をご覧ください。なお、ご覧頂く際には、経理実務Q&A 180 分離課税の土地建物等の譲渡所得と総合課税譲渡益又は譲渡損との損益計算の説明を参考にしてください。

所得

物件

収入金額

必要経費

譲渡損益の計算

通算

損益計算後の所得
分離課税短期譲渡 土地 1000万円 940万円

―→60

―→

10

―→

10

490

家屋 700万円 750万円

―→
50

総合課税短期譲渡 車(1) 140 180

40

―→

20

―→
車(2) 150 130

20

分離課税長期譲渡 土地 700 200

500

―→

500

―→

500

家屋 100 100

0

総合課税長期譲渡 機械装置 50 90

40

―→

130

――→

130

書画骨董 200 30

170

―→

 

182、譲渡所得の特別控除額の異なる譲渡グループの所得金額の構成


譲渡所得の特別控除額の異なる譲渡グループの所得金額の構成について説明してください。


譲渡所得における損益通算は、分離課税長期、分離課税短期、総合課税長期、総合課税長期の四つのグループを単位にして行われます。税率の軽減される所得があるときは、最終的に七つのグループに分かれます。したがって一区分の所得計算上発生した損失を他の区分のに属する所得から控除するときは、その区分に属する譲渡所得がどのような内容の資産の譲渡による所得かを問いません。どのような特別控除の対象になる所得なのかを問わないということです。
同じ区分に属する譲渡所得が2以上の種類の特別控除の適用対象となるときは、損益通算後残った所得がその特別控除の対象となる所得であるかを決めておかなければ、特別控除後の所得(長期譲渡所得、課税短期)が計算できないことになります。
仮に、分離課税譲渡所得に、居住用財産を譲渡した場合の3000万円特別控除の対象となる所得と収用交換等の場合の5000万円特別控除の対象となる所得の両方が含まれている時には、特別控除による負担軽減措置をより適用するという税法の趣旨から、それぞれの金額の範囲内において、まず収用交換等の場合の5000万円控除の対象となる資産の譲渡益からなるものとし、次に居住用財産を譲渡した場合の3000万円控除、特定土地区画整理事業等の場合の2000万円控除、特定住宅造成事業等の場合の1500万円控除、農地保有の合理化等の場合の800万円控除、分離長期譲渡所得の100万円控除の対象となる資産の譲渡益の順で損益通算後の譲渡益を構成しているとみます。この考え方は、損益通算の行われる場合や純損失の繰越控除の場合にも同様に適用されます。
(例)事業所得等の計算上発生した損失を譲渡所得から控除する場合

 

183、譲渡所得において同重の固定資産を交換した場合の特例


譲渡所得において同種の固定資産を交換した場合の特例の内容について説明してください。


固定資産(土地、借地権、耕作権、建物、機械装置など)を、これらの同種の固定資産と交換し、交換によって取得した新しい資産を交換によって譲渡した資産の交換直前の用途と同じ用途に使用した場合で、しかも交換のときにおける取得した資産の価額と譲渡した旧資産の価額との差額がこれらの価額のうち多い方の金額の20%以内のときは、交換に伴って受け取った差金などについてだけ課税されます。したがって、この条件に該当する交換について交換差金等を受け取らない場合には、課税されません。しかし、その差額が20%を超える場合には、この特例の適用は行われません。交換によって譲渡した資産の全体について課税されます。
また、申告の手続きとして、確定申告書一面の特例適用条文欄に所法58条と記入し、譲渡所得計算明細書を申告書に添付する必要があります。
居住用財産の交換の特例の適用が受けられる場合には、交換差額が20%を超えても、その特例が適用されます。
♯♯、買い換えの特例における譲渡資産に該当する資産(交換譲渡資産)と買い換え資産に該当する資産(交換取得資産)との交換をした場合(交換に伴い交換差金を取得し、または支払う場合を含む。)又は交換譲渡資産と交換取得資産以外の資産との交換を行い、かつ、交換差金を取得した場合(他資産との交換の場合)には、下記の譲渡及び取得があったものとみなして、買い換えの特例と同じ内容の交換の特例が適用されます。
※1、交換譲渡資産(他資産との交換の場合は、交換差金に対応する部分で下記の算式で計算した金額に限る。)は、その交換の日に、同日その資産の価額に相当する金額で譲渡をしたものとみなされます。

交換譲渡資産の価額

×

交換差金の額


交換により取得した他資産の価額+交換差金の額

※2、交換取得資産は、その交換の日に、同日のその資産の価額にそ相当する金額で取得したものとみなされます。
この交換の特例には、下記のいずれかの特例の適用を受ける場合には適用されません。
♪1、交換処分等に伴い資産を取得した場合の特例
♪2、特定の居住用財産の交換の特例
♪3、特定の事業用資産の交換の特例
♪4、既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための交換の特例
♪5、大規模な住宅地等造成事業の施行区域内にある土地等の造成のための交換の特例
♪6、認定事業用地適正化計画の事業用地の区域内にある土地等の交換の特例
♪7、固定資産の交換の特例
♪8、特定の交換分合により土地等を取得した場合の特例

 

184、譲渡所得において同種の固定資産を交換した場合の特例が適用される場合について


譲渡所得において同種の固定資産を交換した場合の特例が適用される場合について説明してください。


この特例の適用を受けるためには、下記に示しますすべての要件に該当する場合に適用があります。
(※1) 交換により譲渡した資産と交換により取得した資産が、♪1、土地や借地権(建物や構築物の所有を目的とする地上権や借地権に限られる。)、耕作権、♪2、建物や建物附属設備、構築物、♪3、機械装置、♪4、船舶、♪5、鉱業権(租鉱権、採石権その他土石を採掘や採取する権利を含みます。)で、相互に同じ種類の資産であること
(注)同じ種類の資産とは、♪1から♪5までの区分の別に、それぞれその区分に属する資産をいいます。(下表を参照してください。)
(※2) 交換による譲渡資産または取得資産は、それぞれ交換のために取得したものではなくて、かつ、1年以上所有していたものであること。 なお、交換の相手方については、制限がありません。相手が個人、会社、公益法人、地方公共団体であっても関係なくこの特例の適用があります。
(※3) 交換により取得した資産を交換により譲渡した資産の譲渡直前の用途と同じ用途に使用すること
(注) 同じ用途であるかどうかは、下表の資産の種類ごとに、用途の区分欄のそれぞれの用途と概ね同じ用途であるかどうかによって判断します。
店舗兼用住宅のように、店舗と住宅とに併用されている建物は、居住専用または店舗とみて下表の用途の区分を判断してもよいことになっています。

資産の種類

用   途   の   区   分

土   地

♪1宅地、♪2田畑、♪3鉱泉権、♪4池沼、♪5山林、♪6牧場や原野、♪7その他

建   物

♪1居住用、♪2店舗や事務所の用、♪3工場の用、♪4倉庫の用、♪5その他の用

機械装置

減価償却資産の耐用年数等に関する省令-別表第二の設備の種類ごとの用

船   舶

♪1船舶、♪2運送船、♪3作業船、♪4その他

(※4) 交換のときにける譲渡した資産の価額と価額と取得した資産の価額との差額が、これらの価額のうち多い方の金額の20%以内であること
(注) 譲渡した資産の価額及び取得した資産の価額は、交換の時におけるそれぞれ時価で、通常の取引価額をいいますが、交換当事者間で合意されたその資産の価額が交換をするに至った事情に照らし合理的に算定されていると認められるものであるときは、その合意された価額が通常の取引価額と異なるときであっても、この特例の適用上は、これらの資産の価額は当事者間で合意された価額によることになっています。

 

185、相続等により取得した居住用財産の買い換え・交換の特例


相続等により取得した居住用財産の買い換え・交換の特例について説明してください。


この特例は、所有期間が10年を超え父母又は祖父母から相続等により取得した居住期間30年以上の譲渡資産を譲渡し、その譲渡をした年の前後1年以内の3年間に買い換え資産を取得し、かつ、その取得をした年の翌年12月31日(買い換え資産を取得した年が譲渡資産を譲渡した年の前年であるときは、その譲渡した年の翌年12月31日)までにその人の居住の用に供したとき、又は供する見込みであるときは、♪1その譲渡資産の譲渡のよる収入金額が買い換え資産の取得価額以下の場合、その譲渡資産の譲渡がなかったものとし、♪2その収入金額がその取得資産を超える場合、その譲渡資産のうち超える金額に相当する部分についてのみ譲渡があったものとして長期譲渡所得の計算を行うことができます。
なお、この特例の適用を受けて取得した家屋については、住宅借入金等特別控除の適用を受けることができません。
(1) 譲渡資産の譲渡価額と買い換え資産の取得価額が同額か、買い換え資産の取得価額のほうが多い場合は、課税されません。
(2) 譲渡資産の譲渡価額が買い換え資産の取得価額より多い場合は、下記の収入金額から必要経費を差し引いて、課税対象となる譲渡所得金額を計算します。

1 収入金額=譲渡資産の譲渡価額−買い換え資産の取得価額
2 必要経費

(譲渡資産の取得費+譲渡費用) ×

譲渡資産の譲渡価額−買い換え資産の取得価額


譲渡資産の譲渡価額

課税対象となる譲渡所得の金額=1−2

(注) この特例の適用を受ける譲渡については長期譲渡所得の100万円特別控除の適用を受けることができません。しかし、その譲渡が優良宅地の造成等のための土地等の譲渡に該当すれば、軽減税率の適用は受けられます。

 

186、相続等により取得した居住用財産の買い換え・交換の特例(譲渡資産の範囲)


相続等により取得した居住用財産の買い換え・交換の特例の譲渡資産の範囲について説明してください。


この対象となる譲渡資産は、譲渡した年の1月1日において所有期間が10年を超える家屋及びその家屋の敷地の用に供されている土地等(土地または借地権などの土地の上に存する権利をいいます。)で、その人の父母又は祖父母が居住の用に供していたものを相続等(相続または遺贈をいいます。)により所得したもので、下記の(1)から(4)のものがそうです。
(注) 父母又は祖父母から相続等により取得したものについては、下記のいずれかに該当する家屋又は土地等をいいます。
§1、父母又は祖父母が相続開始の日まで居住の用に供していた家屋又は土地等
§2、§1の家屋を相続等により取得した後、取り壊し・滅失等があった場合は、相続等により取得した者が遅滞なく同一敷地内で建て替えた家屋
§3、§2の家屋の建て替えの場合に、その建て替えにより取得(借地権の更改等)した借地権
§4、§1の家屋又は土地等(§2の家屋又は§3の借地権を含みます。)につき、その相続等により所得した後、土地区画整理法による土地区画整理事業、新都市基盤整備法による土地整理若しくは大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法による住宅街区整備事業又は都市再開発法による第一種市街地再開発事業が施行された場合いおいて、その換地処分又は権利変換により取得した家屋又は土地等
§5、§4の土地区画整理事業、土地整理又は住宅街区整理事業に伴う換地処分により取得した土地等の上に遅滞なく建築された家屋
(1) その人の居住の用に供している家屋(その人が居住の用に供している期間が30年以上ものに限ります。)で国内にあるもの
(注1) 上記家屋は、その人の居住用部分に限り、居住用家屋が2以上ある場合、主としてその人の居住の用に供している一つの家屋に限ります。(買い換え資産でも同じです。)
(注2) 居住期間とは、その家屋のある場所(換地処分等により取得した家屋については、その換地処分等にかかる旧家屋のあった場所を含みます。)に居住していた期間をいいます。その場所に居住しなかった期間が途中にある場合は、その期間を除きます。 
(2) (1)の家屋でその人の居住の用に供されなくなったもの(その居住の用に供されなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡されるものに限ります。)
(3) (1)又は(2)の家屋及びその家屋の敷地の用に供されている土地等
(注1) 上記家屋が取り壊された場合、その取り壊された年中に、上記の土地等の譲渡があったときは、その土地等(取り壊し後に貸し付けその他業務の用に供しているものを除きます。)は、譲渡資産に該当します。
(注2) 上記家屋を取り壊してその敷地とされていた土地等を譲渡した場合の取り扱いは、居住用財産の長期譲渡所得がある場合の税額計算の特例と同じです。{経理実務Q&A171、居住用財産の3000万円特別控除(特例の内容)}に掲載の(居住用財産の長期譲渡所得がある場合の税額計算の特例)を参照してください。
(4) その人の(1)の家屋が災害により滅失した場合において、その家屋を引き継ぎ所有していれば、譲渡した年の1月1日において所有期間が10年を超える家屋の敷地の用に供されていた土地等(その災害のあった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡されるものに限ります。)

 

187、相続等により取得した居住用財産の買い換え・交換の特例(買換資産)


相続等により取得した居住用財産の買い換え・交換の特例の対象となる買い換え資産の範囲について説明してください。


この特例の対象となる買い換え資産は、下記の要件のいずれにも該当するものが特例の対象です。
(1) その人の居住の用に供する家屋またはその家屋の敷地の用に供する土地等で国内にあるもの
(2) 譲渡資産の譲渡をした年の前年1月1日からその譲渡をした年の12月31日までの間に取得をし、かつ、その譲渡をした年の翌年12月31日までの間にその居住の用に供したものまたは供する見込みのもの
(注1) 譲渡をした年の翌年中に買い換え資産を取得する見込みであり、かつ、その取得をした年の翌年の12月31日までに買い換え資産を居住の用に供する見込みである場合は、税務署長の承認を受けて、上記(2)の取得期限及び居住期限をそれぞれ1年間延長することができます。
(注2) 上記(1)の資産のうちその人の居住の用以外の用に供する部分は除かれます。2以上の家屋を取得(建設を含みます。)した場合には、主としてその人の居住の用に供する一つの家屋に限ります。

1/1                12/31 1/1                12/31 1/1                12/31 1/1               12/31

前  年

譲渡の年

翌  年

翌々年

←――――――――― 取得期間  ―――――――――――→

       取得の日(居住の用に供すべき期限)
         ――――――――――――――――――――→

                  取得の日(居住の用に供すべき期限)
                      ●
――――――――――――――→

                                 取得の日(居住の用に供すべき期限
                                          ●
―――――――――――→

                                 全部取得の日(居住の用に供する期限
                                          ●
―――――――――――→

      一部取得の日                    全部取得の日(居住の用に供する期限)
          ●  ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―● 
―――――――――――→

 

188、相続等により取得した居住用財産の買い換え・交換の特例(特例の不適用)


相続等により取得した居住用財産の買い換え・交換の特例において特例が適用が受けられない場合について説明してください。


譲渡した資産が下記のような場合には、この特例の適用を受けることができません。
 譲渡した相手方が下記のいずれかに該当する場合
(1) 譲渡者の配偶者及び直系血族
(2) 譲渡者の親族{(1)の人を除きます。)}で譲渡者と生計を一つにしている人及び譲渡者の親族で居住の用に供している家族の譲渡がされた後、譲渡者とその家屋に居住する人
(3) 譲渡者とまだ婚姻の届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある人及びその人の親族でその人と生計を一つにしている人
(4) (1)〜(3)の人及び譲渡者の使用人以外の人で譲渡者から受ける金銭その他の財産によって生計を維持している人及びその人の親族でその人と生計を一つにしている人
(5) 譲渡者、譲渡者の(1)及び(2)の親族、譲渡者の使用人若しくはその人の使用人の親族でその使用人と生計を一つにしている人又は譲渡者にかかる(3)又は(4)の人を判定の基礎となる法人税法第2条第14号に規定する株主等とした場合に法人税法施行令第4条第2項に規定する特殊の関係その他にこれに準ずる関係にあることとなる会社その他の法人
 その譲渡について下記の特例の適用を受ける場合
(1) 収用などの場合の買い換え・交換との特例
(2) 収用当により資産を譲渡した場合などの5000万円、2000万円、1500万円特別控除
(3) 特定の事業用資産の買い換え・交換の特例等
(注) 譲渡する居住用財産に居住する部分と居住用以外の部分があるときには居住用部分がこ特例の適用対象となりますので、この特例の適用対象とされない居住用以外の部分(例:事業用部分)については、特定事業用資産の買い換え・交換の特例の対象とすることができる場合があります。
(4) 大規模な住宅地等造成事業の施行区域内にある土地等のための交換等の特例
(5) 認定事業用地適正化計画の事業用地の区域内にある土地等の交換等の特例
 その年に居住用財産の3000万円特別控除、居住用財産の長期譲渡所得に対する軽減税率、特定の居住用財産の買い換え・交換の特例、特定の居住用財産の買い換え等の場合の譲渡損の繰越控除の適用を受ける場合
(注) この買い換えの特例と居住用財産の3000万円特別控除及び居住用財産の長期譲渡所得に対する軽減税率とは選択適用とされています。いずれか有利な方を納税者が選んで申告できます。
譲渡した資産の収入金額の一部については買い換え特例を適用した上で、収入金額のうち課税される部分について3000万円特別控除等の適用を受けるということはできません。譲渡には、贈与、代物弁済によるもの除外されます。これらによるものは特例の適用はありませんが、譲渡所得の基因となる不動産の貸し付けは、譲渡に含まれますから、この特例の適用があります。
所得には、贈与、代物弁済によるものは除外されます。建設によるものは含まれます。

 

189、相続等により取得した居住用財産の買い換え・交換の特例(申告の手続き)


相続等により取得した居住用財産の買い換え・交換の特例における申告手続きについて説明してください。


申告には確定申告書を用い同申告書の一面「特例適用条文」の欄に 措法36条の2 と記入し、(1)譲渡所得計算明細書、(2)買い換え資産の取得を証明する登記簿の謄本(抄本)、(3)買い換え資産の所在地を管轄する市区町村長から交付を受けた買い換え資産の取得者の住民票の写し(確定申告書の提出の日までにまだ居住の用に供していない場合には、その旨及び居住予定年月日を記載した書類)及び(4)譲渡資産の区分に応じて下記の書類を確定申告書に添付することになっています。
 相続等により取得した譲渡資産
♪1、譲渡資産にかかる登記簿謄本(抄本)または閉鎖登記簿謄本(抄本)、(以下、登記簿謄本といいます。)その他これに類する書類でその譲渡資産の所有期間が10年を超えるものであること及び譲渡者がその譲渡資産を父母又は祖父母から相続等により取得したことを明らかにするもの
♪2、譲渡資産の所在地を管轄する市区町村長から交付を受けた譲渡者の住民票の写し(譲渡日から2か月を経過した日以後に交付を受けたものに限ります。)戸籍の附表の写し(以下、住民票の写しといいます。)その他これに類する書類で、譲渡者がその譲渡資産を居住の用に供していた期間が30年以上であることを明らかにするもの
♪3、譲渡資産の所在地を管轄する市区町村長から交付を受けた被相続人(遺贈者)の住民票の写しその他のれに類する書類で、相続開始のときにおいてその被相続人がその譲渡資産を居住の用に供していたことを明らかにするもの
 相続等により取得した後、下記の要件に該当する譲渡資産
(注) 父母又は祖父母から相続等により取得したものについては、下記のいずれかに該当する家屋又は土地等をいいます。
§1、父母又は祖父母が相続開始の日まで居住の用に供していた家屋又は土地等
§2、§1の家屋を相続等により取得した後、取り壊し・滅失等があった場合は、相続等により取得した者が遅滞なく同一敷地内で建て替えた家屋
§3、§2の家屋の建て替えの場合に、その建て替えにより取得(借地権の更改等)した借地権
§4、§1の家屋又は土地等(§2の家屋又は§3の借地権を含みます。)につき、その相続等により所得した後、土地区画整理法による土地区画整理事業、新都市基盤整備法による土地整理若しくは大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法による住宅街区整備事業又は都市再開発法による第一種市街地再開発事業が施行された場合いおいて、その換地処分又は権利変換により取得した家屋又は土地等
§5、§4の土地区画整理事業、土地整理又は住宅街区整理事業に伴う換地処分により取得した土地等の上に遅滞なく建築された家屋

♪1、譲渡資産にかかる登記簿謄本等その他これに類する書類で、その譲渡資産の所有期間が10年を超えるものであること(その譲渡資産が換地処分等により取得したものであるときは、更にその譲渡資産が換地処分等により取得したものであること)を明らかにするもの
♪2、父母または祖父母から相続等により取得した土地建物等(建て替え等前の土地建物等)にかかる登記簿謄本等がその他これに類する書類で、譲渡者がその土地建物等を相続等により取得したことを明らかにするもの
♪3、譲渡資産(♪2の土地建物等を含む。)の所在地を管轄する市区町村長から交付を受けた譲渡者の住民票の写し等その他これに類する書類で、譲渡者がその土地建物等を居住の用に供していた期間が30年以上であることを明らかにするもの
♪4、♪2の土地建物等の所在地を管轄する市区町村長から交付を受けた父母又は祖父母からの相続等にかかる被相続人(遺贈者)の住民票の写し等その他これに類する書類で、相続開始の時においてその被相続人がその土地建物等居住の用に供していたことを明らかにするもの

 

190、相続等により取得した居住用財産の買い換え・交換の特例(更正の請求及び修正申告)


相続等により取得した居住用財産の買い換え・交換の特例における更正の請求及び修正申告について説明してください。


相続等により取得した居住用財産の買い換え・交換の特例における更正の請求については下記をご覧ください。
※ 買い換え資産を取得する見込みで税務署長の承認を受けた 取得価額の見込み額 が買い換え資産の 実際取得価額 より少なかった場合には、買い換え資産を取得した日から4か月以内に更正の請求書を所轄税務署に提出して税金の還付を受けることができます。
※ 相続等により取得した居住用財産の買い換え・交換の特例を受けた場合で、下記の事情に該当することになった場合には、それぞれの日までに 修正申告書 を提出して差額税金を納める必要があります。
(1) 譲渡資産を譲渡した年中およびその前年中に買い換え資産の全部を取得してこの特例の適用を受けた人が、譲渡した年の翌年12月31日までに買い換え資産をその人の居住の用に供しない場合や供しなくなった場合には、その譲渡した年の翌々年4月30日まで
(2) 下記のいずれかに該当することとなった場合には、それぞれ次の日から4か月以内の日まで
♪1、買い換え資産の取得価額が税務署長の承認を受けたその見積もり額に対して不足額を生じることになったときは、その買い換え資産の取得をした日
♪2、譲渡資産を譲渡した年の翌年12月31日までに買い換え資産の取得をしていないときは、譲渡資産を譲渡した年の翌年12月31日
♪3、買い換え資産の取得後、譲渡資産を譲渡した年の翌々年12月31日までに買い換え資産をその人の居住の用に供しないときや供しなくなったときは、譲渡資産を譲渡した年の翌々年12月31日

 

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