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224、居住用財産の長期譲渡所得
(軽課所得分の税額計算の特例の対象となる居住用財産の範囲)

225、居住用財産の長期譲渡所得
(軽課所得分の税額計算の特例が適用されない場合)

226、居住用財産の長期譲渡所得
(軽課所得分の税額計算の特例適用の手続き)

227、株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度(対象になる株式)

228、株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度(対象になる譲渡と対象外の譲渡)

229、株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度(譲渡所得等金額の計算)

230、株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度(総収入金額について)

231、株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度(株式の取得価額について)

232、株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度
(取得時期の異なる同じ銘柄の株式等の取得価額)

233、株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度
(概算取得費の特例、ストックオプションにかかる非課税の特例を受けて取得した特定株式の譲渡、)

234、株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度
(借入金の利息の取り扱い)

235、株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度
(譲渡所得金額等の損失の通算)

236、株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度
{特定中小会社の発行株式に係る譲渡損失の繰越控除等・譲渡所得等の特例(1)}

237、株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度
{特定中小会社の発行株式に係る譲渡損失の繰越控除等・譲渡所得等の特例(2)}

238、株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度
(新規公開株式の譲渡の特例)

239、株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度
(課税譲渡所得金額と税額の計算)

240、株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度
(確定申告、受領者の告知・本人確認、支払調書について)

241、上場株式等に係る譲渡所得等の源泉分離課税制度
(対象になる上場株式等)

242、上場株式等に係る譲渡所得等の源泉分離課税制度
(対象になる譲渡)

243、上場株式等に係る譲渡所得等の源泉分離課税制度
(源泉分離課税選択の手続きと廃止手続き)


224、居住用財産の長期譲渡所得
(軽課所得分の税額計算の特例の対象となる居住用財産の範囲)


居住用財産の長期譲渡所得における軽課所得分の税額計算の特例の対象となる居住用財産の範囲について説明してください。


この特例の対象となる居住用財産の範囲は、譲渡の年の1月1日において所有する期間が10年を超える家屋又は土地等のうち下記に記載するいずれかに該当するもので、国内にあるものに限られています。
(1)自己の居住の用に供している家屋、
(2)自己の居住の用に供している家屋でその者の居住の用に供さなくなったもの(その者の居住の用に供されなくなった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に譲渡されるものに限ります。)、
(3)(1)又は(2)の家屋及びその家屋の敷地の用に供されている土地等、
(4)(1)の家屋が災害により滅失した場合、その者がその家屋を引き続き所有していたならば、譲渡の年の1月1日において所有期間が10年を超えることとなるその家屋の敷地の用に供されていた土地等(その災害があった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に譲渡されるものに限ります。)
(居住用資産の長期譲渡所得が有る場合の税額計算の特例の注1)
家屋の敷地となっている土地等だけをその家屋と別に譲渡しても原則としてこの特例の対象となりません。しかし、自己の居住の用に供している家屋または、自己の居住の用に供している家屋でその者の居住の用に供されなくなったもの(その者の居住の用に供されなくなった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に譲渡されるものに限ります。)の家屋(この特例の対象となる家屋に限ります。)を取り壊してその敷地とされていた土地等を譲渡した場合(取り壊しの後、その土地等の上にその土地等の所有者が建物等を建築し、その建物等とともにその土地等を譲渡する場合を除きます。)には、土地等は、@家屋の取り壊しの日の属する年の1月1日で所有期間10年を超えること、Aその土地等の譲渡契約がその家屋の取り壊しの日から1年以内に締結され、かつ、その家屋に居住しなくなった日以後3年を経過する日の属する年12月31日までに譲渡したものであること、B家屋の取り壊しの後、譲渡契約の締結日まで貸し付けその他の用に供されていないことすべての要件を満たせば、この特例の対象となります。(家屋を引き家してその旧敷地を譲渡する場合は、これに該当しません。)
(居住用資産の長期譲渡所得が有る場合の税額計算の特例の注2)
上記(1)から(4)の資産が、その者の居住の用に供している部分に限りこの特例の適用対象になります。(店舗併用住宅等の居住用部分ンかかる家屋及びその敷地とされている土地等も適用対象になります。)
(居住用資産の長期譲渡所得が有る場合の税額計算の特例の注3)
その人が居住の用に供している家屋を2以上有する場合には、そのうちその人が主として居住の用に供している一つの家屋に限りこの特例が適用されます。
(居住用資産の長期譲渡所得が有る場合の税額計算の特例の注4)
家屋と共にその敷地の用に供されている土地等を譲渡する場合は、下記の事柄に注意して下さい。
※ 家屋と土地等のいずれもが譲渡の年の1月1日において所有する期間が10年を超える場合に限り、この特例の適用対象となります。
※ 家屋と土地等のいずれか一方の資産のみについてこの特例の適用対象とすることはできません。土地等のうちに所有期間10年超の部分とその他の部分があるときは、10年超の部分のみが適用対象になります。
(居住用資産の長期譲渡所得が有る場合の税額計算の特例の注5)
税法上、この特例の対象となる居住の用に供している家屋とは、その人が生活の拠点として利用している家屋(一時的な利用を目的とする家屋を除きます。)をいいます。これらに該当するかどうかについては、その人および配偶者等(社会通念上その人と同居することが通常であると認められる配偶者その他の人をいいます。以下同じです。)の日常生活の状況、その家屋への入居目的、その家屋の構造および設備の状況その他の事情を総合的に考慮して判定することになっています。
転勤、転地療養等の事情のため、配偶者と離れ、単身で起居している場合であっても、その事情が解消した後は、配偶者等と起居を共にすることになると認められるときは、配偶者等が居住の用に供している家屋は、その人にとっても、その居住の用に供している家屋として取り扱われることになっています。
下記のような場合には、その居住の用に供している家屋には該当しないことになっています。
♯1、この特別控除の適用を受けるためだけの目的で入居した認められる家屋、その居住の用に供するための家屋の新築期間中だけの仮住まいである家屋その他一時的な目的で入居したと認められる家屋
(注) 譲渡した家屋においての入居期間が短期間であっても、その家屋への入居目的が一時的なものでない場合には、その家屋は(♯1)に該当しません。
♯2、主として趣味、娯楽または保養の用に供する目的で所有する家屋

 

225、居住用財産の長期譲渡所得
(軽課所得分の税額計算の特例が適用されない場合)


軽課所得分の税額計算のこの特例が適用されない場合については、下記の記載をご覧下さい。
(1) 譲渡した相手方が下記のいずれかに該当する場合
♯1、譲渡者の配偶者および直系血族
♯2、譲渡者の親族(♯1、を除きます。以下同じです。)で譲渡者と生計を一つにしている人および譲渡者の親族で居住の用に供している家屋の譲渡がされた後譲渡者とその家屋に居住する人
♯3、譲渡者とまだ婚姻の届け出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある人およびその人の親族でその人と生計を一つにしている人
♯4、♯1から♯3の人および譲渡者の使用人以外の人で譲渡者から受ける金銭その他の財産によって生計を維持している人およびその人の親族でその人と生計を一つにしている人
♯5、譲渡者、譲渡者の♯1、および♯2の親族、譲渡者の使用人若しくはその使用人の親族でその使用人と生計を一つにしている人または譲渡者にかかる♯3または♯4の人を判定の基礎となる法人税法第2条第14号に規定する株主等とした場合に法人税法施行令第4条第2項に規定する特殊関係その他これに準ずる関係のあることとなる会社その他の法人
(2) その譲渡について下記の特例を受ける場合
※1、固定資産の交換の特例
※2、優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の特例
※3、収用等に伴い代替資産を取得した場合の特例
※4、交換処分等に伴い資産を取得した場合の特例
※5、換地処分により取得した居住用財産の買い換え・交換の特例
※6、相続等により取得した居住用財産の買い換え・交換の特例
※7、特定の居住用財産の買い換え・交換の特例
※8、特定の事業用資産の買い換え・交換の特例
※9、既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買い換え・交換の特例
♪、下記の特別な事情がある場合を除きます。
譲渡資産がその人の居住の用に供されていた場合で、その人又はその人と同居を常況とする人の老齢、身体上の障害、中高層耐火建築物の用途が専ら業務用に設計されたものであること、中高層耐火建築物が住宅用に不適当な構造、配置及び利用情況にあると認められることで、その中高層耐火建築物を取得して引き続き居住することが困難であると認められること
※10、特定の交換分合により土地等を取得した場合の課税の特例
※11、大規模な住宅地等造成事業の施行区域内にある土地等の造成のための交換等の特例
※12、認定事業用地適正化計画の事業用用地の区域内にある土地等の交換等の特例
♪1、この特例と居住用財産の買い換え・交換の特例の両方の規定の適用要件を満たしている場合には、どちらか一方を選択して適用することができます。
♪2、譲渡した家屋又はその敷地のうちに居住用部分と非居住用部分とがある場合いは、非居住用部分についてのみ上記※3、※4、(それぞれ代替資産等の特例の適用を受ける場合に限ります。)又は、※8、の特例の適用を受ける場合であっても、居住用部分についてはこの特例の対象とすることができます。
(3) その人が、譲渡の年の前年又は前々年において既にこの特例の適用を受けている場合は、この特例を受けることはできません。

 

226、居住用財産の長期譲渡所得
(軽課所得分の税額計算の特例適用の手続き)


居住用財産の長期譲渡所得における軽課所得分の税額計算の特例適用の手続きについて説明してください。


この特例の手続きを受けるための手続きに関して、下記をご覧下さい。
居住用財産を譲渡をした年分について翌年2月16日から3月15日までの期間に税務署へ確定申告書を提出してこの特例の適用を受けるようにします。
確定申告書一面の特例適用条文記載欄には、措法31条の3、と記載し下記の書類を確定申告書に添付して提出することになっています。
(1) 譲渡資産にかかる登記簿の謄本(抄本)又は閉鎖登記簿謄本(抄本)
(2) 譲渡資産の所在地を所轄する市区長村長から交付を受けたその譲渡者の住民票の写し(譲渡した日から2か月を経過した日以後に交付を受けたものに限ります。)

 

227、株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度(対象になる株式)


株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度におけるその対象になる株式等について説明してください。


この制度は、確定申告をすることによって申告分離課税制度の摘要を受けます。
平成元年4月1日以後に個人が株式等を譲渡した場合の所得については、他の所得と別に分離して、その所得の金額に20%(別途住民税6%)の税率により課税されます。
対象となる株式については、下記をご覧下さい。
♪1、株式(株式の引き受けによる権利及び新株引受権を含みます。)
♪2、出資持分(合名会社、合資会社、有限会社の社員の持分、協同組合の組合員・会員ン持分、特別の法律により設立された法人損田の法人の出資者の持分)
♪3、転換社債・新株引受権付社債(資産の流動化に関する法律第113条の2第1項の転換特定社債及び同法第113条の4第1項の新優先出資引受権付特定社債を含みます。)
♪4、共同組織金融機関の優先出資に関する法律に規定する優先出資(優先出資の引き受けによる権利及び優先出資を引き受けることができる権利を含みます。)及び資産の流動化に関する法律第2条第5項の優先出資(優先出資の引き受けによる権利及び同法第5条第1項二号二2の引受権並びに政令で定めるものを含みます。)
♪5、私募証券投資信託又は非公社債投資信託の受益証券及び特定株式投資信託の受益証券
♪6、社債的受益証券以外の特定目的信託の受益証券
(注) 株式等には、外国法人にかかるものを含みますが、株式・出資形態のゴルフ会員権は、除きます。

 

228、株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度(対象になる譲渡と対象外の譲渡)


株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度における対象になる譲渡と対象外の譲渡について説明してください。


譲渡には、売買以外に、現物出資、代物弁済、交換、法人に対する贈与または遺贈、低額又は無償譲渡なども(※)みなし譲渡として、税法上は譲渡に含まれます。
(※ みなし譲渡) 
資産を贈与したり、著しく低い価額で譲渡した場合などは、下記に掲載しますその資産の時価で譲渡があったものとみなされます。従って、収入金額には、その資産の時価を収入すべき金額とします。
♯1、法人の資産を贈与した場合
♯2、資産を遺贈した場合
(注)法人に対するもの及び個人に対する包括遺贈のうち限定承認に係るものに限ります。
♯3、資産の相続により移転した場合
(注)限定承認に係るものに限ります。
♯4、資産を法人に対し時価の2分の1未満の価額で譲渡した場合
(注1)上記以外の贈与等については、みなし譲渡課税が行われない代わりに、贈与により資産を取得した人が譲与者等の取得費を引き継ぎます。
(注2)個人に対して、時価の2分の1未満の価額で資産を譲渡した場合は、時価ではなく、実際の譲渡価額を収入金額とします。しかし、その結果、その譲渡所得が赤字になっても、その赤字はなかったものとして取扱われます。
下記に掲載しますものは、この制度の対象になりません。
♪1、証券取引法第2条第17条に規定する有価証券先物取引の方法による株式等の譲渡(事業所得、雑所得、となります。)
♪2、 実質的に短期保有の土地等と同じとみなされる株式等の譲渡で、事業等の譲渡に似た有価証券の譲渡に該当するもの(土地等の分離短期譲渡所得です。)
※ 譲渡がなかったものとされる特例
商法による株式交換・株式移転制度により、特定子会社の株主である個人が、その有する特定子会社株式について株式交換が行われたときに特定親会社から新株の割り当て(一定の要件を満たすものに限ります。)を受けたときは、その株式交換等により移転したその特定子会社株式の譲渡はなかったものとして取り扱われます。(特定子会社株式の取得価額の引継ぎにより課税が 繰り延べられます。)ただし、新株の割り当てにより交付金銭等の交付を受けた場合には、その交付金銭等の額に対応する部分はこの制度の対象になります。
また、三角合併方式により創設される銀行持株会社に対する合併新株券の現物出資については、その個人が合併前に所有していた消滅金融機関の株式の取得価額が引き継がれ、株式の現物出資については株式の譲渡はなっかたものとされます。

 

229、株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度(譲渡所得等金額の計算)


株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度おける譲渡所得等金額の計算について説明してください。


税法上、株式等にかかる譲渡所得等の金額は、株式等の譲渡による譲渡所得、事業所得又は雑所得の金額の合計とされます。株式等の譲渡による所得がどの所得に該当するかは、株式等の取引のための施設、その者の職業、売買の規模などの事情を勘案して、営利を目的として継続的に売買されているかどうかにより判断されます。
下記の株式等の譲渡による譲渡所得、事業所得又は雑所得の金額は、それぞれの一般の所得金額の計算と同じようにして求めます。計算式は、下記のとおりです。

(1) 株式等にかかる事業所得又は雑所得の金額 その年の株式等の譲渡にかかる総収入金額 その収入金額にかかる株式等の取得価額、借入金の利子、売買手数料。管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用
(2) 株式等にかかる譲渡所得の金額 その年の株式等の譲渡にかかる総収入金額 その所得の基になった株式等の取得費、その株式等の譲渡に要した額、借入金の利子の合計額

(※)
その株式等の譲渡による所得が譲渡所得となる場合でも、譲渡所得にかかる50万円特別控除や長期譲渡所得にかかる2分の1課税の適用はありません。

 

230、株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度(総収入金額について)


株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度における総収入金額について説明してください。


税法上、株式等の分離譲渡における総収入金額とは、下記のとおりです。
※1、 売買(信用取引を含みます。)・・・・実際の譲渡価額が収入金額です。
※2、 現物出資・・・・出資により取得した株式等の取得時の時価が収入金額です。
※3、 代物弁済・・・・弁済により消滅した債務の消滅時の額が収入金額です。
※4、 交換・・・・交換により取得した財産の取得時の時価が収入金額です。
※5、 みなし譲渡・・・・贈与・譲渡等により移転した財産のその贈与・譲渡等の時の時価上記以外に下記のものも株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度の規定が適用されます。ただしみなし配当の部分は、除かれます。
(※ みなし配当)
会社解散に伴う分配金や合併交付金などのうち下記のものについては、配当所得とみなされます。
(1) 株主が、法人の株式の消却や資本の減少、退社や脱退による持分の払戻し、解散による残余財産の分配及び合併のよって受けた金銭その他の資産の価額の合計額が、その法人の資本等の金額のうち、その法人の株主等の持株又は出資の金額に対応する部分の金額を超える場合のその超える部分の金額
(注) 資本等の金額とは、法人の資本の金額又は出資の金額と法人税法第2条第16号に規定する資本積立金額との合計額をいいいます。
(2) 法人が利益をもって株式の消却をした場合のその消却した株式に対応する資本の金額(株式の消却に充てた利益の金額がその株式に対応する資本の金額に満たない場合には、その利益の金額)のうち、その消却の時において、その株主等の有する消却されなかった株式に対応する部分の金額
(3) 法人税法第2条第18号に規定する利益積立金額を資本又は出資へ組み入れた場合の資本又は出資に組み入れた積立金のうち、その組み入れた時において、その法人の株主等の有する持株又は出資に対応する部分の金額
(4) 精算中の法人が残余財産の一部を分配した後に継続し、又は合併により消滅した場合に、その残余財産の分配がまずその法人の資本等の金額からなされたものとみなした場合において、その分配後の資本等の金額が、その法人が継続又は合併に際し資本等の金額として貸借対照表に計上している金額に不足するときの、その不足額のうち、その法人の株主等の持株又は出資に対応する部分の金額
(5) 法人の合併により株主等が受ける合併交付金などのうち、利益の配当又は剰余金の分配として交付された金額
※ 平成7年11月17日〜平成14年3月31日間の上場会社等の利益をもってする株式の消却の場合や上場会社等の株式の消却の手続きに関する商法の特例に関する法律に基づく資本準備金をもってする株式の消却の場合のみなし配当課税を行わないこととする特例措置の適用を受ける場合には、すべての金額が株式の譲渡として課税されます。)
♪1、 減資払戻し金等
法人の株主等が、その法人の減資、株式の消却又はその法人からの退社・脱退により交付を受けた金銭の額及び財産の価額の合計額
♪2、 精算分配金
内国法人の株主等が、その法人の解散により残余財産の分配として交付を受ける金銭の額及び財産の価額の合計額
♪3、 合併交付金
内国法人の株主等が、その法人の合併により交付を受ける金銭の額及び財産の価額の合計額(被合併法人の株主等に対する利益の配当又は剰余金の分配として交付された金額は含まないことになっています。)
(注1) 私募証券投資信託、非公社債等投資信託又は特定目的信託の終了・一部解約により支払われる金額についてその信託された金額のうちその受益証券にかかる部分の金額までに限り、これを株式等の譲渡所得等の収入金額とみなします。
(注2) ストックオプションの権利行使により経済的利益が非課税とされた特定株式については、保管委託等の解約などがあった場合には譲渡があったものとみなします。

 

231、株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度(株式の取得価額について)


株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度における必要経費(株式の取得価額)について説明してください。


株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度における必要経費は、原則的に総合課税の場合と同じです。主な必要経費は、株式の取得価額、取得時期の違う同一銘柄等の取得価額、概算取得費の特例、ストックオプションにかかる非課税の特例を受けて取得した特定株式の譲渡、借入金の利子の取り扱い、などです。
ここでは、株式の取得価額について説明させて頂きます。
(♪1) 払込により取得した株式等(♪2に該当するものを除きます。)は、 払込金額(払込による取得のために要した費用がられば加算できます。)
(♪2) 有利な発行価額で新株等が発行された場合におけるその発行にかかる払込により取得した株式等(株主等の地位に基づいて取得したものを除きます。)は、 その株式等の払込期日における価額です。
(注) 商法の規定により取締役又は使用人が 株式の譲渡請求権又は新株引受権(ストックオプション)を行使して取得した株式等は、購入代価又は払込価額
(♪3) 購入した株式等は、 購入代価(購入手数料その他の費用を含みます。)です。
(♪4) 相続、贈与等により取得した株式等
♯1、 相続、贈与又は遺贈により取得した株式等は、 被相続人の死亡の時において、その被相続人がその株式等につきよるべきものとされていた評価方法により評価した金額(一般的には、被相続人や贈与者が取得した時の価額です。)
♯2、 著しく低い価額で取得した株式等は、 その対価の額と実質的に贈与を受けたと認められる金額(事業所得、雑所得の金額の計算上総収入金額に算入された金額に限ります。)との合計額です。
(♪5) 転換社債の転換により取得した株式は、 下記の計算式により計算した金額です。

転換社債の転換直前の取得価額


転換により取得した株式の数

(♪6) 増資により取得した株式等は、 下記の計算式により計算した金額です。

旧株及び新株の一株当たりの取得価額

旧株1株当たりの払込金額 {( 新株1株当たりの払込金額 払込による取得のために要した費用 資本に組み入れられた利益積立金額のうち新株1株に対応する部分の金額 × 旧株1株につき取得した新株数

旧株1株につき取得した新株数+1


(♪7) 上記以外の場合は、 取得時おける取得のために通常必要とする価額です。

 

232、株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度
(取得時期の異なる同じ銘柄の株式等の取得価額)


株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度における必要経費(取得時期の異なる同じ銘柄の株式等の取得価額)について説明してください。


株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度における必要経費は、原則的に総合課税の場合と同じです。主な必要経費は、株式の取得価額、取得時期の違う同一銘柄等の取得価額、概算取得費の特例、ストックオプションにかかる非課税の特例を受けて取得した特定株式の譲渡、借入金の利子の取り扱い、などです。
ここでは、取得時期の違う同一銘柄等の取得価額について説明させて頂きます。
二回以上にわたって取得した同一銘柄の株式等の一部を譲渡した場合の取得価額の計算は、下記のとおりです。なお、この計算をするときは、源泉分離課税の適用を受けた株式等の譲渡による所得の基因となった株式等の数及び取得価額を含めて計算します。
♯1、事業所得の場合は、
総平均法(移動平均法は認められていません。)によって1単位当たりの取得価額を計算します。計算式は下記をご覧下さい。

その年1月1日の所有分の取得価額の総額+その年の取得分の取得価額の総額


分子の株式等の総数

♯2、譲渡所得、雑所得の場合は、
その同一銘柄の株式等を最初に取得したとき(その後、既にその株式等を譲渡している場合には、直前の譲渡の時。以下同じです。)からその譲渡の時までの期間を基にして、最初に取得したときにおいて有していたその株式等および期間内に取得した株式等について総平均法に準ずる方法により1単位当たりの取得価額を計算します。

 

233、株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度
(概算取得費の特例、ストックオプションにかかる非課税の特例を受けて取得した特定株式の譲渡、)


株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度における必要経費(概算取得費の特例、ストックオプションにかかる非課税の特例を受けて取得した特定株式の譲渡、)について説明してください。


株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度における必要経費は、原則的に総合課税の場合と同じです。主な必要経費は、株式の取得価額、取得時期の違う同一銘柄等の取得価額、概算取得費の特例、ストックオプションにかかる非課税の特例を受けて取得した特定株式の譲渡、借入金の利子の取り扱い、などです。
ここでは、概算取得費の特例、ストックオプションにかかる非課税の特例を受けて取得した特定株式の譲渡について説明させて頂きます。
♪1、概算取得費の特例は、
株式等を譲渡した場合の譲渡所得、事業所得又は雑所得の金額の計算に際して譲渡による収入金額から控除する取得費の計算を、実額による計算に代えてその譲渡収入金額の5%相当額を必要経費としてもよいことになっています。
♪2、ストックオプション(新株引受権)にかかる非課税の特例を受けて取得した特定株式の譲渡は、
上場株式にかかる譲渡所得等の源泉分離選択課税制度の対象となる譲渡であっても上場株式等にかかる譲渡所得等の源泉分離選択課税制度の適用は、認められず、株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度が適用されます。
(注)上場株式等にかかる譲渡所得等の源泉分離選択課税制度は、平成15年3月31日まで経過措置として適用されます。)
※ 取得価額は、ストックオプションの行使の時の時価ではなくて、実際の譲渡価額または払込価額によります。
※ 特定株式と同じ銘柄の一般株式を併有している場合には、これらの株式はそれぞれ銘柄が異なるものとして、上場株式等にかかる譲渡所得等の源泉分離選択課税制度の不適用の判断や取得価額等の計算等の法令の規定が適用されます。(特定株式と一般株式とは銘柄が異なるものとして評価法を適用して取得価額等を計算します。)

 

234、株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度
(借入金の利息の取り扱い)


株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度における必要経費(借入金の利息の取り扱い)について説明してください。


株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度における必要経費は、原則的に総合課税の場合と同じです。主な必要経費は、株式の取得価額、取得時期の違う同一銘柄等の取得価額、概算取得費の特例、ストックオプションにかかる非課税の特例を受けて取得した特定株式の譲渡、借入金の利子の取り扱い、などです。
ここでは、借入金の利息の取り扱いについて説明させて頂きます。
株式等の取得に要した借入金の利息いついては、その譲渡した年中に支払うべき金額のうち元本所有期間に対応する部分の金額を譲渡収入金額から控除できます。
譲渡した株式等についてその年中に配当がある場合、その譲渡した株式等にかかる借入金の利息は、必ず株式等の譲渡による収入金額から控除することとされていますから、配当所得の計算上において、利息を控除できません。それで借入金の利息を、譲渡した株式等を取得するために要したものとその他のものに区分する必要があります。でも、この区分は一般的に考えて困難です。よって下記に記載します計算方法で計算した金額を株式等にかかる譲渡所得等の金額の計算上控除する借入金の利息の額とすることになっています。

株式等を取得するために要した負債の利息の総額

×

その利息の額を差し引く前の申告分離課税となる株式等の譲渡所得等の金額


配当所得の収入金額

その利息の額を差し引く前の申告分離課税となる株式等の譲渡所得の金額

源泉分離課税を選択した上場株式等の譲渡所得等について下記の(注)により計算した譲渡利益金額およびその利息の額を差し引く前の総合課税の株式等の事業所得等の金額

(注) 上場株式等の譲渡による譲渡利益金額に対して、他の所得と分離して20%の税率で所得税が源泉徴収され課税関係が終了します。よって、確定申告は、行いません。別途住民税は、課税されません。
譲渡利益金額については、下記の区分に応じてそれぞれの金額を計算します。
♪1、 転換社債又は新株引受権付社債の譲渡については、譲渡価額の2.5%相当額
♪2、 信用取引又は発行日取引の決済が行われた場合は、決済にかかる差益の金額
♪3、 ♪1、♪2以外の株式等の譲渡は、譲渡価額の5.25%相当額

 

235、株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度
(譲渡所得金額等の損失の通算)


株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度における譲渡所得金額等の損失の通算について説明して下さい。


株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度における譲渡所得金額等の損失の通算について、説明させて頂きます。
株式等の譲渡所得金額の計算において発生した損失は、下記の記載のとおりです。
♪1、 株式等にかかる譲渡所得、事業所得、雑所得のうちで、その損失と利益を通算します。この場合に、新規公開株式の譲渡所得等の金額があるとき、損失金額は、まず新規公開株式にかかる譲渡所得金額(2分の1する前)から控除します。
♪2、 ♪1の計算で控除しきれない損失金額が残ってもその損失はなかったものとみなされます。株式等にかかる譲渡所得等以外の所得から控除できません。
※ 株式等にかかる譲渡所得以外の所得に発生した損失を株式等にかかる譲渡所得等から控除することもできません。雑損失の繰越控除はできます。

 

236、株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度
{特定中小会社の発行株式に係る譲渡損失の繰越控除等・譲渡所得等の特例(1)}


株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度(特定中小会社の発行株式に係る譲渡損失の繰越控除等・譲渡所得等の特例)について説明してください。


この制度は、一般的にエンジェル税制と呼ばれています。
中小企業の創造的事業活動の促進に関する臨時措置法に規定する特定中小企業に該当する株式会社(特定中小会社)が発行する株式の譲渡損失について、(1)価値喪失株式の損失の特例、(2)譲渡損失の繰越控除の特例、譲渡益については、(3)譲渡益の課税の特例が定められています。
ここでは、(1)価値喪失株式の損失の特例について説明させて頂きます。
特定中小会社の設立のさいに発行された株式又は設立後に発行された株式(特定株式)を払い込みにより取得した居住者(一定の同族会社等を除きます。)について、その設立の日からその株式の上場等の日の前日までの間(適用期間)に、その特定中小会社が解散し精算結了したこと又は破産の宣告を受けたことにより株式としての価値を失ったことにより損失が生じた場合、その年分の株式等に係る譲渡所得等金額の計算上、その株式を譲渡したことにより発生した損失金額とみなされ、他の株式等の譲渡所得等金額から控除し、控除できなかった損失金額は、譲渡損失の繰越控除の特例の適用があります。
※1、 損失とみなされる金額は、上記、経理実務Q&A(232)取得時期の異なる同じ銘柄の株式等の取得価額の♯1、又は♯2、により計算した1株当たりの取得価額にその価値喪失株式の数を乗じて計算します。
※2、 ストックオプション(新株引受権)に係る経済的利益の非課税の特例の適用を受けるものは、特定中小会社の発行株式に係る譲渡損失の繰越控除等・譲渡所得等の特例の適用対象にはなりません。
※3、 この特例の適用を受ける場合、確定申告書に株式等にかかる譲渡所得等の金額の計算明細書、株式異動明細書、その他一定の書類を添付することが必要です。

 

237、株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度
{特定中小会社の発行株式に係る譲渡損失の繰越控除等・譲渡所得等の特例(2)}


株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度(特定中小会社の発行株式に係る譲渡損失の繰越控除等・譲渡所得等の特例)について説明してください。


この制度は、一般的にエンジェル税制と呼ばれています。
中小企業の創造的事業活動の促進に関する臨時措置法に規定する特定中小企業に該当する株式会社(特定中小会社)が発行する株式の譲渡損失について、(1)価値喪失株式の損失の特例、(2)譲渡損失の繰越控除の特例、譲渡益については、(3)譲渡益の課税の特例が定められています。
ここでは、(2)譲渡損失の繰越控除の特例、(3)譲渡益の課税の特例について説明させて頂きます。
(2)譲渡損失の繰越控除の特例
特定中小会社の設立のさいに発行された株式又は設立後に発行された株式(特定株式)を払い込みにより取得した居住者(一定の同族会社等を除きます。)について、適用期限内に払込により取得した特定株式を譲渡したことにより発生した損失金額(価値喪失株式の損失とみなされた金額を含みます。)で、その年分の株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上控除してもなお控除しきれない金額を有する場合、一定の要件のもとで、その控除しきれない金額はその年の翌年以後3年以内の各年分の株式等に係る譲渡所得等の金額から繰越控除をすることができます。
※ この適用を受ける場合、確定申告書に株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書、確定申告書付表(特定投資株式の譲渡損失繰越用)(損失申告の場合)、株式の異動明細書、その他一定の書類を添付することが必要です。
(3)譲渡益の課税の特例
特定中小会社の特定株式を平成12年から平成17年3月31日までの間に払込により取得をした居住者等が、下記の要件のすべてに該当する特定株式の譲渡をそた場合には、一定の要件のもとに、その譲渡による株式等の係る譲渡所得等金額はその2分の1相当額とされます。
♪1、 上場等の日における所有期間が3年を超えるもので、かつ、上場等の日以後1年以内の譲渡されたものであること。
♪2、 証券会社又は外国証券会社に売り委託または譲渡されたものであること。
※ 譲渡益の課税の特例と新規公開株式の譲渡の特例とは両方の適用を受けることができます。

 

238、株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度
(新規公開株式の譲渡の特例)


株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度(新規公開株式の譲渡の特例)について説明してください。


株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度(新規公開株式の譲渡の特例)について適用を受けるためには、下記に記載しますすべてに該当する株式の譲渡については、上記経理実務Q&A、237、株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度{特定中小会社の発行株式に係る譲渡損失の繰越控除等・譲渡所得等の特例(2)}により計算した譲渡所得金額(譲渡益の課税の特例の適用があるときは、その適用後の金額)の2分の1相当額が申告分離課税の対象となります。
♪1、 上場株式(投資法人の投資口を除きます。)又は店頭売買登録銘柄として登録された株式であること
♪2、 上場等の日における所有期間が3年を超えるもので、かつ、上場等の日以後1年以内に譲渡されたものであること
♪3、 証券会社又は外国証券会社に売委託又は譲渡されたものであること

 

239、株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度
(課税譲渡所得金額と税額の計算)


株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度(課税譲渡所得金額と税額の計算)について説明してください。


課税譲渡所得等の金額と所得税額の求め方は、下記をご覧下さい。

(1)

課税譲渡所得等の金額

株式等に係る譲渡所得等の金額

他の所得からの所得控除の控除不足額

(2)

所得税額=課税譲渡所得等の金額×20%(別途に住民税6%)

その年分の課税総所得金額にかかる所得税額から控除しきれない配当控除額、住宅借入金等の特別控除額又は政党等寄付金特別控除額がある場合、株式等に係る課税譲渡所得等に対する所得税額から控除できます。外国税額控除についても、その年分の課税総所得金額にかかる所得税額から配当控除額、住宅借入金等特別控除額、政党等寄付金特別控除額を控除した残額から控除しきれない外国税額控除額がある場合、株式等に係る課税譲渡所得等に対する所得税額から控除することができます。

 

240、株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度
(確定申告、受領者の告知・本人確認、支払調書について)


株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度(確定申告、受領者の告知・本人確認、支払調書)について説明してください。


確定申告を行うに際して、確定申告書に株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書を添付することになっています。なお、損失申告用の確定申告書を提出する場合、確定申告付表(損失申告用)も添付が必要です。

株式等の譲渡をした者で下記の者からその対価の支払を受けるものは、その支払を受けるべき時までに、その支払者に対し、その者の氏名・住所を告知し、かつ、一定の公的書類を提示して本人確認を受けることとされています。
(1) その株式等の譲渡を受けた法人{次の(2)の者を通じてその譲渡を受けたものを除きます。}
(2) その株式等の譲渡について売り委託を受けた証券会社、外国証券会社又は銀行

株式等の譲渡の対価の支払者は、株式等の譲渡の対価の支払調書を所轄税務署に提出することになっています。ただし、同一人に対するその年中の支払額が100万円以下であるときは提出不要となっています。(同一人に対して1回の支払ごとに作成・提出する特例方式の場合の提出不要限度額は30万円以下となっています。)

※ 株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度の適用を受ける株式等に係る譲渡所得等の金額は、控除対象配偶者、扶養親族等の判定の基になる合計所得金額に含まれます。

 

241、上場株式等に係る譲渡所得等の源泉分離課税制度
(対象になる上場株式等)


上場株式等に係る譲渡所得等の源泉分離課税制度(対象になる上場株式等)について説明てください。


株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度(対象になる株式)に規定されている株式等の譲渡(平成元年4月1日以降の株式)については、株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度が適用されます。(経理実務Q&A227を参照してください。)
一方、特定の要件を満たす上場株式等の譲渡については、株式等にかかる譲渡所得等の申告分離課税制度に代えて、その譲渡収入金額の1.05%の源泉徴収だけで課税関係が終了する源泉分離課税を選択することができます。
この対象になる上場株式等については、下記をご覧下さい。
(1) 証券取引所に上場されている株式等
(2) 店頭売買登録銘柄として登録された株式又は店頭売買転換社債
(3) 外国有価証券市場で売買されている株式等
(4) 店頭管理銘柄株式
(5) 証券業協会の定める規則に従い、登録銘柄として証券業協会に備える登録原簿に登録された日本銀行出資券
上場株式でも、上場等の日以前に取得したものを上場等の日以後1年以内に譲渡する場合は、下記に記載あるものを除き、この源泉分離課税の選択は認められていません。
♪1 株式の公開又は株式の募集・売り出しに際し取得した株式で公開後1年以内に譲渡されたもの
♪2 特定株式投資信託の受益証券
♪3 外国の証券取引所に既に上場されている外国株式で日本の証券取引所の上場等の日以前に取得したものを上場等の日以後1年以内に譲渡したもの

 

242、上場株式等に係る譲渡所得等の源泉分離課税制度
(対象になる譲渡)


上場株式等に係る譲渡所得等の源泉分離課税制度における(対象になる譲渡)について説明してください。


上場株式等に係る譲渡所得等の源泉分離課税制度における対象になる譲渡については、下記に記載しますいずれかのものです。

(1) 証券業者に対する譲渡
(2) 証券業者(外国証券業者を含みます。)又は銀行に対する売委託による譲渡
(3) 株式の発行法人に対する端株又は単位株未満株式の買取請求制度による譲渡(上場会社等の利益をもってする株式の消却の場合および上場会社等の株式の消却の手続きに関する商法の特例に関する法律に基づく資本準備金制度をもってする株式の消却の場合のみなし配当の特例措置の適用がある場合には、公開買付に応じて行う株式)

(注) 上場株式等の譲渡による譲渡利益金額に対して、他の所得と分離して20%の税率で所得税が源泉徴収され課税関係が終了します。よって、確定申告は、行いません。別途住民税は、課税されません。
譲渡利益金額については、下記の区分に応じてそれぞれの金額を計算します。
♪1、 転換社債又は新株引受権付社債の譲渡については、譲渡価額の2.5%相当額
♪2、 信用取引又は発行日取引の決済が行われた場合は、決済にかかる差益の金額
♪3、 ♪1、♪2以外の株式等の譲渡は、譲渡価額の5.25%相当額

(注2) 上場株式等に係る譲渡所得等の源泉分離課税制度における対象になる譲渡については、合計所得金額に含まれません。ですから、控除対象配偶者、扶養控除等の判断の基になる所得金額には、含まれません。
また、受領者の告知、本人確認、支払調書の提出の制度の適用はありません。源泉徴収された税金は、確定申告で控除できませんし、還付の対象にもなりません。

 

243、上場株式等に係る譲渡所得等の源泉分離課税制度
(源泉分離課税選択の手続きと廃止手続き)


上場株式等に係る譲渡所得等の源泉分離課税制度(源泉分離課税選択の手続き)について説明してください。


上場株式等に係る譲渡所得等の源泉分離課税制度の適用を受けようとする場合、上場株式に係る譲渡所得等の源泉分離課税選択申告書 をその譲渡のとき(株式等の売買の決済の時、信用取引の決済の時、端株・単位未満株式の対価の支払時)までに、証券業者の営業所等(上記経理実務Q&A242、の(1)から(3)の証券業者・銀行の営業所および発行法人の営業所等)を経由して納税地の所轄税務署長に提出します。
上場株式に係る譲渡所得等の源泉分離課税選択申告書が提出された場合、その提出の時以後その証券業者の営業所等において行われる「対象となる上場株式等」の譲渡については、源泉分離課税の対象となります。
上場株式等を上場等の日以後1年以内い譲渡する場合は、その上場株式等を上場等の日以後に取得したことを証する書類(取引報告書その他これに類する書類でその株式の取得年月日等の一定の事項についての記載があるもの)の提出が必要です。

上場株式に係る譲渡所得等の源泉分離課税選択申告書を提出した証券業者の営業所等において行う上場株式等の譲渡について源泉分離課税の適用を受けることをやめようとする場合、源泉分離課税の廃止申告書 をその適用を受けることをやめようとする上場株式等の譲渡の日までに、その証券業者の営業所等を経由して納税地の所轄税務署長に提出します。源泉分離課税の廃止申告書が提出された場合、その提出の時以後、その証券業者の営業所等において行われる上場株式等の譲渡については、源泉分離課税は適用されないことになります。
再び、源泉分離課税の適用を受けようとするときは、改めて、上場株式に係る譲渡所得等の源泉分離課税選択申告書 をその譲渡のとき(株式等の売買の決済の時、信用取引の決済の時、端株・単位未満株式の対価の支払時)までに、証券業者の営業所等(上記経理実務Q&A242、の(1)から(3)の証券業者・銀行の営業所および発行法人の営業所等)を経由して納税地の所轄税務署長に提出します。

 

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