実務Q&A

1.販売用の商品の事業用消費


私は文房具用品の卸売り、小売業者ですが、仕入れた商品を時々事業用に使用しています。次のような場合は、どのように処理をすればよいでしょうか。

@一定金額以上の取引額があった小売店には鉛筆1ダースを無償で贈呈している

A本年は、開業10周年に当たるので、使用人及び小売店へ卓上電子計算機(通常販売価格¥3,000-)を記念品として支給した。

B金銭登録機1台を店舗用に使用した。


販売用の商品を広告宣伝用に使用したり、得意先へ中元、歳暮の贈答用としたり、また事業用の固定資産として使用する場合があります。もちろん事業用として使用するのですから、所得の計算上必要経費に算入されます。しかし、これを必要経費に算入しますと、その商品は既に仕入金額に計上されていますから、必要経費の二重計上になってしまいます。したがって、販売商品を事業用に使った場合は、その仕入金額を仕入金額から控除して使用する科目、例えば広告宣伝費に振替計上します。
問@、A、B、の場合は、下記のように処理します。

@鉛筆を得意先へ無償贈呈した際または、1か月分を一括して景品費に振替ます。
  (借方)                (貸方)
  景品費 ○○円           仕入 ○○円

A従業員に支給したものは福利厚生費へ、小売店に贈呈したものは、交際費へ振替えます。
  (借方)                (貸方)
 福利厚生費(10人分)30,000円   仕入 12万円
 交際費   (30人分)90,000円

(注)従業員に対して支給する現物は、原則として給与に加算し、源泉徴収の対象になりますが、創業記念品で、次に掲げる用件のいずれにも該当するものについては、給与として課税しなくてもよい。
(1)その支給する記念品が社会通念上記念品としてふさわしいものであり、かつ、そのものの価格(処分見込価格として時価の70%相当額が5,000円以下のものであること。
(2)創業記念のように一定期間ごとに到来する記念に際し支給する記念品については、創業後相当な期間(おおむね5年の期間)ごとに支給するものであること。

B20万円以上の金銭登録機を店舗用に使用した場合は、資産として備品へ振替え、決算の際に減価償却費を計算して必要経費に計上することになります。ただし、20万円未満の場合は消耗品費へ振替え、必要経費に算入します。
   (借方)               (貸方)
   備品 25万円           仕入 25万円
なお、実務上、商品を事業用として使用した場合は、上記のように仕入金額から控除せずに、その商品の販売価格で売上に計上し、その同じ金額を必要経費に算入する記帳が行われている場合は、この処理方法でもよいことになっています。

 

 

 

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