実務Q&A

2.販売用商品の自家消費


私は、バイク、自転車の小売業を行っている青色申告者ですが、@仕入原価6万円、販売価格8万円のものを自宅で使用しました。また、A親戚に頼まれて仕入原価16万円、販売価格23万円のものを15万円で譲りましたが、このような場合にはどのように処理すればよいですか。


販売用商品等の棚卸資産を家事用に消費した場合や、著しく低い価格で譲渡したような場合は、記帳をしていない白色申告者は、事業所得の計算上、通常の販売価格で収入金額に算入していますが、帳簿を備え付けて、その帳簿にその商品の仕入以上の金額で、かつ、通常の販売価格の70%相当額以上の金額で、売上に計上して、その記帳に基づいて事業所得の計算をしているときは、その計算が認められます。
問@の自家消費の場合は、
   (借方)               (貸方)
 事業主貸  6万円        売上  6万円
として売上は仕入の6万円で記帳すれば、その利益は発生しません。

同族会社の役員の場合は
   (借方)               (貸方)
 役員報酬  6万円        売上  6万円
として売上は仕入の6万円で記帳し、役員報酬(賞与)6万円として源泉徴収対象の給与として処理します。この金額は、法人所得の計算上損金不算入となります。

問Aの親戚への低廉販売の場合には、原価16万円のものを15万円で原価を割って譲っていますので、このような場合には通常の販売価額の70%相当額161,000円(23万円X70%)を売上として計上すれば認められます。
    (借方)              (貸方)
  現金     150,000円       売上   161,000円
  事業主貸   11,000円

同族会社の役員の場合は
    (借方)              (貸方)
  現金     150,000円       売上   161,000円
  役員報酬   11,000円
として記帳します。役員報酬(賞与)11,000円は、@の場合と同様の経理処理します。

(注) 飲食店や食料品店のように世帯の食生活に直接つながる米、副食材料、酒類等は、もともと世帯が購入すべきものを、事業用仕入と混合経理しているにすぎないと思われるような場合は、自家消費分の仕入価額は、その都度または、1か月分を一括して事業主勘定へ振替えて、売上原価から控除し、売上への計上をしない経理処理方法をとるほうがよい。
   (借方)               (貸方)
  事業主貸    ○○円      仕入    ○○円

同族会社の役員の場合
   (借方)               (貸方)
  役員報酬    ○○円      仕入    ○○円

毎月発生する場合には、その金額は、役員報酬となり源泉徴収の対象として処理します。この場合毎月発生しているので臨時的なものではないので役員賞与との判断には該当しません。よって法人所得の計算上は、損金経理(損金算入)となります。
毎月の金額が多い場合は、その分を役員から会社へ返金してもらうか役員報酬を増額する方法を選ぶほうがよいと思います。役員報酬を増額する場合は、定期総会または、臨時総会開催時に株主総会議事録、役員総会議事録(取締役会議事録)を作成することです。

 

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