実務Q&A

13.借入金の両建て経理の場合の支払利息

(問)
衣料品雑貨の店を経営しています。店舗改装のため500万円の資金が必要となり、某銀行に融資の申し入れを行ったところ担保として300万円を定期預金に差し入れて欲しいとのことでした。そこで800万円の借入契約を行って300万円の定期預金をしました。こんな場合、借入金800万円のうち定期預金とされた300万円に対する支払利息を必要経費に損金算入できませんか。

(答)
事業資金を金融機関から借り入れる場合に、その借入金の返済能力、担保力の見合いおいて、事例のような両建て取引の方法を金融機関が求める場合が多くあります。このような場合に、これを拒否するとその資金借入の目的を達成できないことが明白のとき、その借入契約金額である800万円は事業遂行に関連があると認められるので、その借入総額にかかる支払利息を所得の必要経費に算入することは認められると思われます。
ただし、借入者に十分な別の担保力があり、また他に融資を受ける手段が多くある場合、単に取引先の金融機関の都合に従って、借入を実行し、形式上担保として定期預金をしたにすぎないと判断される場合または借入金に家事関連のものが含まれていると認められる場合は、定期預金にした300万円は事業に関連のない両建経理と考えられるので、300万円に対する支払利息は必要経費に算入できません。
事業の用に供する建物などの固定資産を取得するための借入金の利息については、原則としてその支出をした年分の必要経費に算入します。ただし、その資産の使用開始の日までの期間に対応する部分の金額については建物等の取得価格に算入することもできます。
上記ただし書きの取得費算入の取扱いには、新規開業等で、開業期間まで収益がなく、この期間に対応する支払利息は、建物の取得価格に計上して留保するのが合理的であるとの趣旨によるものであって、あなたの場合の支払利息は従来から事業が行われており、店舗改装中は単なる休業期間中であって、その間に発生する維持管理の一般経費に該当すると考えられます。支払利息は必要経費として損金算入できます。

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