有価証券勘定の内容
事業年度終了後、一年以内の間に売買もしくは処分する目的で保有する株式および債権を処理します。
【例】
国債、地方債、特別の法律により法人の発行する債券(例:ワリショー)
社債
特別の法律により設立された法人の発行する出資証券
株券または新株の引受け権を表示する証書
証券投資信託または貸付信託の受益証券
【取引処理方法】
有価証券購入時の仕訳例は、下記を参考にしてください。
(借方) 有価証券 ○○○ (貸方) 当座預金 ○○○ |
※ 購入手数料は取得価格に加算します。
有価証券売却時の仕訳は、次のように処理します。
(借方) 当座預金 ○○○ (貸方) 有価証券 ○○○ |
.当座預金 ○○○ 有価証券売却益 ○○○ |
※ 有価証券の評価は、有価証券の種類、銘柄ごとに選定します.
確認するための書類は、次のようなものがあります。
買付報告書、売買契約書、領収書、株券、議事録等
※ 売買の方法には、次のものがあります。
現物取引、 信用取引
※ 有価証券のうち保管、持ち出し証券については、担保差入れの有無、保護預けの有無を確認する必要があります。
※ 有価証券を取得しながら、立替金、仮払金、貸付金として勘定科目処理をしている例もありますが、有価証券勘定で内容を検討することが重要です。
【税法上の取り扱い】
※ 有価証券の譲渡による収益の帰属は、原則として引渡しの日(契約の日から4日以内の受渡しが慣行)の年度の益金の額の算入します。
※信用取引をした場合の収益の帰属は決済を行った日の年度の益金の額に算入。
※有価証券の譲渡による損益
法人税法基本通達2-1-22、2-1-23〜2-1-23の4
(有価証券の譲渡による損益の計上時期)
2 −1−22 有価証券の譲渡による法第61条の2第1項《有価証券の譲渡損益の益金算入等》に規定する譲渡利益額又は譲渡損失額(以下2−1−23の3までにおいて「譲渡損益の額」という。)の計上は、同項の規定に基づき原則として譲渡に係る契約の成立した日に行うこととなるのであるから、次に掲げる場合には、それぞれ次に掲げる日に譲渡損益の額を計上する。(昭55年直法2−8「六」により追加、平12年課法2−7「二」、平14年課法2−1「七」により改正) (1)
証券業者等に売却の媒介、取次ぎ若しくは代理の委託又は売出しの取扱いの委託をしている場合 当該委託をした有価証券の売却に関する取引が成立した日
(2)
相対取引により有価証券を売却している場合 証券取引法第41条《取引報告書の交付》に規定する取引報告書に表示される約定日、売買契約書の締結日などの当該相対取引の約定が成立した日
(3)
その譲渡損益の額が次によるものである場合 次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定める日 イ
資本若しくは出資の減少、株式(出資を含む。以下2−1−22において同じ。)の消却又は社員の退社若しくは脱退によるものについては、これらの事実があった日
ロ その法人の有していた株式を発行した法人の合併によるものについては、合併期日
ハ その法人の有していた株式を発行した法人の分割型分割によるものについては、分割期日
ニ 解散による残余財産の分配によるものについては、その分配の開始の日(その分配が数回に分割してされた場合には、それぞれの分配の開始の日)
ホ
株式交換又は株式移転によるものについては、株式交換期日又は株式移転期日
(有価証券の譲渡による損益の計上時期の特例)
2 −1−23 有価証券の譲渡損益の額は、原則として譲渡に係る契約の成立した日に計上しなければならないのであるが、令第119条の2第2項本文又は第3項《有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出の方法》に規定する区分に応じ、法人が当該譲渡損益の額(事業年度終了の日において未引渡しとなっている有価証券に係る譲渡損益の額を除く。)をその有価証券の引渡しのあった日に計上している場合には、これを認める。(平12年課法2−7「二」により追加)
(注)
1 有価証券の取得についても、原則として取得に係る契約の成立した日に取得したものとしなければならないのであるが、その引渡しのあった日に取得したものとして経理処理をしている場合には、事業年度終了の日において未引渡しとなっている有価証券を除き、本文の譲渡の場合と同様に取り扱う。この場合、 同条第1項の規定の適用についても同様とする。
2 本文及び(注)1の取扱いは、譲渡及び取得のいずれについてもこれらの取扱いを適用している場合に限り、継続適用を条件として認めるものとする。
(短期売買業務の廃止に伴う売買目的有価証券から満期保有目的等有価証券又はその他有価証券への区分変更)
2 −1−23の2 令第119条の11《有価証券の区分変更によるみなし譲渡》の表の第1号中欄のロに規定する短期売買業務の全部を廃止したことという事実は、反復継続して行う有価証券の売買を主たる業務として又は従たる業務として営んでいる法人が、その業務を行っている事業所、部署等の撤収、廃止等をし、当該法人が当該業務そのものを行わないこととしたことをいうのであるから、単に、保有する同号上欄に掲げる売買目的有価証券の売却を行わないこととしたことは上記の事実に該当しないことに留意する。(平12年課法2−7「二」により追加)
(注)
本文の適用は、事業所ごと、かつ、令第119条の12第1号《売買目的有価証券の範囲》に規定する「専担者売買有価証券」、2−3−27《短期売買目的で取得したものである旨を表示したものの意義》に定める「短期売買有価証券」又は令第119条の12第2号に規定する「信託財産に属する有価証券」の区分ごとに判定する。
(現渡しの方法による決済を行った場合の損益の計上時期)
2−1−23の3 法第61条の2第9項《信用取引等の譲渡利益額又は譲渡損失額》に規定する信用取引の方法により株式の売付けを行った場合において、いわゆる現渡しの方法による決済を行ったときは、当該取引に係る譲渡損益の額は、当該決済に係る約定が成立した日に計上する。(平12年課法2−7「二」により追加、平14年課法2−1「七」により改正)
(売却及び購入の同時の契約等のある有価証券の取引)
2 −1−23の4 同一の有価証券(法第61条の3第1項第1号《売買目的有価証券の期末評価額》に規定する売買目的有価証券を除く。)が売却の直後に購入された場合において、その売却先から売却をした有価証券の買戻し又は再購入(証券業者等に売却の媒介、取次ぎ若しくは代理の委託をしている場合の当該証券業者等からの購入又は当該証券業者等に購入の媒介、取次ぎ若しくは代理の委託をしている場合の当該購入を含む。)をする同時の契約があるときは、当該売却をした有価証券のうち当該買戻し又は再購入をした部分は、その売却がなかったものとして取り扱う。(平12年課法2−7「二」により追加)
(注)
1
同時の契約がない場合であっても、これらの契約があらかじめ予定されたものであり、かつ、売却価額と購入価額が同一となるよう売買価額が設定されているとき又はこれらの価額が売却の決済日と購入の決済日との間に係る金利調整のみを行った価額となるよう設定されているときは、同時の契約があるものとして取り扱う。
2 本文の適用を受ける取引に伴い支出する委託手数料その他の費用は、当該有価証券の取得価額に含めない。
3
購入の直後に売却が行われた場合の当該購入についても同様に取り扱う。
棚卸資産(商品)
商品勘定の内容
販売を目的として保有している購入した物品を処理します。
【取引処理方法】
仕訳例(決算日の在庫高を計上)
(借方) 商品 ○○○○ (貸方) 期末棚卸高 ○○○○ |
仕訳例(期首に振り替える場合の仕訳)
(借方) 期首棚卸高 ○○○○ (貸方) 商品 ○○○○ |
※ 実地棚卸によって、保有している購入物品を把握します。
※ 実地棚卸の原始記録には、通し番号、実施者氏名、所在地などを記入して保存します。棚卸表に転記、整理しても原始記録は廃棄せずに保存しておきます。
※ 仕入商品の未着品等について、損金計上しておきながら売上や棚卸商品に計上していない場合は、要注意です。棚卸資産の計上もれに注意してください。
※ 取得価格に含める費用
1. 引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税等の購入に要した費用(直接付随費用)
2. 買入事務、検収、整理、選別手入れに要した費用
3. 移管するために要した運賃、荷造り費等(移管費用)
4. 保管費用
【税法上の取り扱い】
1. 2〜4の付随費用が、棚卸資産の購入代価のおおむね3%以内であるときは、これらの費用を取得価格に算入しないことができます。
2. 棚卸資産で、下記の事実がある場合、損金算入を条件に評価換えをすることができます。
※ 当該資産が災害により著しく損傷したこと。
※ 当該資産が著しく陳腐化したこと。
※ 組織変更、更正手続きによる開始決定または商法による整理命令により資産の評価換えの必要があったこと。
3. 科学的原因、物理的原因によって破損、瑕疵、 たなざらし、型崩れ、等により通常の価額では販売できないもの、または経済的な環境の変化に伴って、その価値が著しく減少したものについては、法人の選定した評価法によらず破損資産等の期末時価をもって評価することが認められています。この場合、破損資産等と他の棚卸資産と分別経理をしなければなりません。破損の状態、型崩れの程度等を破損資産ごとに記録し期末時価の計算を明確にします。
4. 投売り、値引、特販をしたような場合、値引額、売上額、チラシ、などの証拠を保存しておくとよいでしょう。
5. 棚卸は実地棚卸により行い、評価方法の届出をしていない場合は、最終仕入原価法により評価します。評価方法の変更は、「合理的な理由と相当期間(3年)経過後でなければ認められない」とされています。
法33、法33-2、
法令68、
法基通5-1-1、法基通5-2-19、法基通9-1-3、9-1-4、9-1-5, 9-1-6, 9−1−6の2〜 9−1−6の11