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前渡金、前払費用、短期貸付金

前渡金勘定の内容

商品などの棚卸資産の購入代金を、商品購入前に支払った場合に、その支払った代金をこの前渡金勘定で処理します。

【仕訳例】

購入代金の前渡時の仕訳

(借方) 前渡金  ○○○○   (貸方) 当座預金   ○○○○

商品等を受け取った場合の仕訳

(借方) 仕入   ○○○○   (貸方)  前渡金    ○○○○ 先に支払分を充当
     .仕入   ○○○○         .買掛金    ○○○○ 未払い分

 

前払費用

前払費用勘定の内容

一定の契約に基づき継続的に役務の提供受けるために支出した費用のうち当期の事業年度終了までにまだ役務の提供を受けていない役務に対応するものを言います。

【例】

地代家賃の前払い、 支払利息、割引料の前払い、 掛け捨て保険の前払い、 その他の役務の前払い

【仕訳例】

代金支払い時
(借方)  保険料

○○○

(貸方)  当座預金

○○○

決算日の仕訳
(借方)  前払費用

○○○

(貸方)  保険料

○○○

代金支払い時
(借方)  地代家賃

○○○

(貸方)  当座預金

○○○

決算日の仕訳
(借方)  前払費用

○○○

(貸方)  地代家賃

○○○

前期から繰り越された前払費用を各勘定に振り替える仕訳(翌期の決算日に仕訳)
(借方)  保険料

○○○

(貸方)  前払費用

○○○

(借方)  地代家賃

○○○

(貸方)  前払費用

○○○

【税務上の取り扱い】

※役務の提供を受けていない場合、その前払い代金は、損金算入をすることができませんが、前払費用の計上額で、その支払った日から一年以内に提供を受ける役務係るものを支払った場合において、その支払った額相当額を継続して支払った日の損金に算入した時は、この損金経理が認められることになっています。ただし、不相当な多額の剰余金が生じていると認められる場合には、そのとき以後の通常の費用は剰余金が適正になるまでは、前払費用に計上しなければなりません。

※ 一年を超えて提供を受ける役務の前払いは、その超える部分を長期前払費用に計上します。

法基通2-2-14、法基通9-7-15の3

(短期の前払費用) 
2−2−14 前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち当該事業年度終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう。以下2−2−14において同じ。)の額は、当該事業年度の損金の額に算入されないのであるが、法人が、前払費用の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、これを認める。(昭55年直法2−8「七」により追加、昭61年直法2−12「二」により改正)
(注) 
 例えば借入金を預金、有価証券等に運用する場合のその借入金に係る支払利子のように、収益の計上と対応させる必要があるものについては、後段の取扱いの適用はないものとする。 

(同業団体等の会費)

9−7−15の3 法人がその所属する協会、連盟その他の同業団体等(以下9−7−15の3において「同業団体等」という。)に対して支出した会費の取扱いについては、次による。(昭55年直法2−15「十六」により追加) 
(1) 
 通常会費(同業団体等がその構成員のために行う広報活動、調査研究、研修指導、福利厚生その他同業団体としての通常の業務運営のために経常的に要する費用の分担額として支出する会費をいう。以下9−7−15の3において同じ。)については、その支出をした日の属する事業年度の損金の額に算入する。ただし、当該同業団体等においてその受け入れた通常会費につき不相当に多額の剰余金が生じていると認められる場合には、当該剰余金が生じた時以後に支出する通常会費については、当該剰余金の額が適正な額になるまでは、前払費用として損金の額に算入しないものとする。 
(2) 
 その他の会費(同業団体等が次に掲げるような目的のために支出する費用の分担額として支出する会費をいう。以下9−7−15の3において同じ。)については、前払費用とし、当該同業団体等がこれらの支出をした日にその費途に応じて当該法人がその支出をしたものとする。 

イ  会館その他特別な施設の取得又は改良 
ロ  会員相互の共済 
ハ  会員相互又は業界の関係先等との懇親等 
ニ  政治献金その他の寄附 

(注) 1 
 通常会費として支出したものであっても、その全部又は一部が当該同業団体等において(2)に掲げるような目的のための支出に充てられた場合には、その会費の額のうちその充てられた部分に対応する部分の金額については、その他の会費に該当することに留意する。ただし、その同業団体等における支出が当該同業団体等の業務運営の一環として通常要すると認められる程度のものである場合には、この限りでない。 


 (1)の場合において、同業団体等の役員又は使用人に対する賞与又は退職給与の支給に充てるために引き当てられた金額で適正と認められるものは、剰余金の額に含めないことができる。

 

短期貸付金

短期貸付金勘定の内容

金銭消費貸借に基づいて行う貸付取引のうち決算日以後一年以内に返済を受ける期限がくるものをこの勘定で処理します。

【例】

※ 短期貸付金勘定が増加する取引

現金、小切手などを先方に貸し付けたことによる増加

売掛金の振り替えによる増加

立替金の振り替えによる増加

※ 短期貸付金の減少する取引

現金、小切手などの回収によっての減少

当方(自己)の債務と相殺したことによる減少

貸倒れにより貸金の減少に伴う短期貸付金の減少

【仕訳例】

短期貸付金勘定の増加取引の場合

(借方) 短期貸付金  ○○○  (貸方) 当座預金  ○○○

短期貸付金の減少取引の場合

(借方) 当座預金   ○○○  (貸方) 短期貸付金 ○○○

短期貸付金については、貸付証書、貸付条件、回収の状況などを常に把握しておくことが重要です。

遅延利息の有無、担保物件の取得価額が適正かの判断をする、債務免除などを、貸付先にその返済能力がなくなった場合に備えておきます。

【税務上の取り扱い例】

貸付金等から受け取る受取利子は、原則としてその利子の計算期間の経過に応じその年度の益金の額に算入します。ただし、通常の法人が、その有する貸付金から生ずる利子で支払期日が1年以内の一定の期間ごとに到来するものの額につき、継続して支払期日の日の属する事業年度の益金に算入したときはこれを認める。と規定しています。

従業員が住宅取得のために使用者である法人から資金を借りた場合、使用者である法人が従業員から受け取る貸付金利子は、使用者における借入金の平均調達金利 など合理的と認められる貸付利率を定め、これにより利息を徴している場合に生じる経済的利益。 と規定しています。

法人は、経済合理性を有するとの判断から、下記のような特別の場合を除いて利子収入があり、利子相当額の給与の支給があったものとされ源泉所得税を納付しなければなりません。

災害、疾病等によって臨時的に多額な生活資金を要することとなり、返済期間として合理的と認められる期間内に受け取る経済的利益。

上記以外の貸付金について1事業年度5,000円以下の経済的利益

法基通2-1-24、措置法29、措令19-2、所基通36-28、

 

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