現金過不足2
現金過不足は3級の出題範囲ですが、2級では、その不一致の原因が、不足額と過剰額の2つ以上の理由による場合が出題されている。この場合でも、それぞれの原因となった該当する勘定に記入して、現金過不足勘定を減少(消滅)させる仕訳をおこなえばよいことになります。
【例】
かねて、現金過不足勘定に記入しておいた現金不足額¥4,000の原因は、調査の結果、利息の現金受取額¥2,400と郵便切手の現金支払額¥6,400の記入洩れであることが判明しました。 |
解答 |
(借方) |
通信費 |
6,400 |
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(貸方) |
受取利息 |
2,400 |
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現金過不足 |
4,000 |
●参考
利息の受取額の記入洩れは現金の過剰の原因であり、郵便切手代支払の記入洩れは現金不足の原因です。この例では、現金過剰¥2,400と現金不足¥6,400の2つの誤りから差し引き現金不足¥4,000が生じて、現金過不足勘定の借方に記入されている。そこで、「(貸方) 現金過不足 ¥4,000」と仕訳して現金過不足勘定を消滅させて、記入洩れになっている受取利息勘定の貸方と通信費勘定の借方に記入するために「(借方)通信費 ¥6,400 (貸方) 受取利息 ¥2,400」と仕訳をします。
【銀行勘定調整表】
企業の当座預金勘定残高と銀行が発行する残高証明書残高が一致しないときは銀行勘定調整表を作成して、その原因を突き止め、調整しなければなりません。
ここでは、3級にはない銀行勘定調整表のポイントをつかんでください。あとは、3級の復習です。
銀行勘定調整表の様式
1.当座預金出納帳の残高から出発して銀行の残高に合わせる方法
2.銀行の残高証明書から出発して当座預金出納帳に合わせる方法
3.当座預金出納帳の残高と銀行の残高証明書との両方から合わせる方法
企業残高基準
銀行勘定調整表
平成12年8月31日 (単位:千円)
当座預金勘定残高 |
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730,000 |
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加算 |
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売掛代金回収未通知 |
50,000 |
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未取付小切手 |
80,000 |
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未渡り小切手 |
100,000 |
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230,000 |
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960,000 |
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減算 |
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時間外預入れ |
130,000 |
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電話料金支払未通知 |
10,000 |
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140,000 |
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銀行残高証明書残高 |
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820,000 |
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銀行残高基準
銀行勘定調整表
平成12年8月31日 (単位:千円)
銀行残高証明書残高 |
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820,000 |
加算 |
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時間外預入れ |
130,000 |
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電話料金支払未通知 |
10,000 |
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140,000 |
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960,000 |
減算 |
売掛代金回収未通知 |
50,000 |
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未取付小切手 |
80,000 |
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未渡り小切手 |
100,000 |
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230,000 |
当座預金勘定残高 |
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730,000 |
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企業残高・銀行残高区分調整
銀行勘定調整表
平成12年8月31日 (単位:千円)
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銀行残高証明書残高 |
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当座預金勘定残高 |
8月31日現在残高 |
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820,000 |
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730,000 |
加算 |
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時間外預入れ |
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130,000 |
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|
売掛代金回収未通知 |
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50,000 |
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未渡り小切手 |
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100,000 |
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950,000 |
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880,000 |
減算 |
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未取付小切手 |
|
80,000 |
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電話料金支払未通知 |
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10,000 |
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調整後残高 |
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870,000 |
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870,000 |
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銀行残高と企業帳簿残高の一致しない主な理由:
1.企業で当座預金の預入れの記帳をしたが銀行で銀行で未記帳の場合-----企業で小切手の預入れの記帳をしたが、まだ取り立てが済んでいないので、銀行は未記帳のとき
2.企業で当座預金の払い戻しの記帳をしたが、銀行で未記帳の場合-----企業で小切手振り出して当座預金の減少の記帳をしたが、銀行でまだ支払っていないとき
3銀行で預入れの記帳をしたが、企業で未記帳の場合-----銀行で当座振込の記帳を行ったが、企業で未記入のとき
4.銀行で当座預金からの支払の記帳をしたが、企業が未記帳の場合-----銀行が支払手形の期日支払や電気代などの自動支払(口座振替)の記帳を行ったが、企業が未記帳のとき
【例】
銀行勘定調整表を作成して、当座勘定の残高¥620,000と銀行の残高証明書の金額¥892,500との不一致の原因を調べたところ、仕入先ST商会に対して掛け代金の支払のために振り出した小切手¥200,000がまだ銀行で支払われていないほか、得意先TA商店から売掛代金として当座振込された¥80,000と自動支払(口座振替)された電気料¥7,500とが当社で未記帳であることが判った。
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【解答】
(借方) |
当座預金 80,000 |
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(貸方) |
売掛金 80,000 |
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水道光熱費 7,500 |
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当座預金 7,500 |
振り出した小切手が銀行で未払いのために、企業の残高と銀行残高が不一致となっている場合には、修正の仕訳を行う必要はない。これは、不一致の原因が誤りや記帳洩れによるものではなく、企業と銀行の記帳時期のずれによるもので、そのままのしておいても小切手を銀行で支払えば一致するからである。得意先からの売掛金の当座振込と電気料の自動支払については、当社の記入洩れであるから、それぞれの取引の発生を仕訳する
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