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有形固定資産の取得

有形固定資産は、建物、備品、車両運搬具、機械、土地、などをいい、これらを取得したときには、それらの各勘定の借方に取得原価で記帳します。この取得原価は、購入代金のほかに購入に要した費用(手数料、改造費用、登記費用、取得費)などを含めます。

【例】
1. 甲自動車販売会社からトラック(営業用)を1台¥2,500,000で購入し、代金は月末に支払うことにした。なお、引取費用¥10,000は現金で支払った。

2. 木製書籍ケース1台¥200,000を買い入れ、代金のうち、¥100,000は小切手を振出して支払い、残額は来月払いとした。なお運搬費¥4,000は現金で支払った。

(仕訳)

1. (借) 車両運搬具

2,510,000

 (貸) 未払金

2,500,000

     現金

10,000

2.     備品

204,000

     未払金

100,000

     現金

4,000

     当座預金

100,000

●参考

1. 営業用のトラック、乗用車、などを購入した場合は、車両運搬具勘定(資産)の借方に記帳します。なお、引取費用も、取得原価に含めます。代金は月末払い(後払い)ですから、未払金勘定(負債)の貸方にその額を記入します。この月末払い代金は、商品売買に基づくものではないので、買掛金勘定(負債)を用いない。

2. 営業用に使用する備品(机、椅子、金庫、書類棚、など)を購入したときは、購入代金ほかに諸費用(据付費、引取費など)を含めた金額を借方に記入します。来月払いの残額は、1.と同様で商品売買に基づく未払いではありません。よって、未払金勘定(負債)の貸方にその残額を記入します。

【問題】
次の取引の仕訳をしてください。   解答例

1. 乙自動車販売会社から、乗用車(営業用)1台¥2,000,000を月末払いの約束で購入した。

2. 営業用机、椅子、を¥800,000で購入し、代金のうち¥200,000は小切手を振出して支払い残額は来月より3回払い(¥200,000づつ分割払い)で支払うこととした。

 

減価償却

1. 直接法
有形固定資産は、長期間使用されるので、その結果、資産の価値が年々減少してきます。毎期の決算時にこの価値の減少額(減価)を経費(費用)として計上し、その減少額を有形固定資産の取得原価から減価させます。この記帳手続を減価償却と言い、毎決算期末に計算された減少額を減価償却費といいます。この減価償却費の計算方法には直接法と間接法とがあります。直接法は、減価償却額を有形固定資産の取得原価から直接差し引く方法で、減価償却費勘定(費用の勘定)を設けその借方に減少額(減価償却費)を記入します。

車両運搬具

取得原価
(買入に要した費用を含む)

減価償却費

← 残高

減価償却費

当期減少額


(仕訳)

 (借方) 減価償却費

○○○

 (貸方) 車両運搬具

○○○

減価償却の計算方法
定額法と定率法とがあります。3級では、定額法によって計算します。

減価償却費=(取得原価−残存価額)/耐用年数  (注)残存価額は取得原価の10%
固定資産を1年間使用しないとき、減価償却費は月割計算します。

【例】
決算(年1回)に際し、取得原価¥2,000,000の乗用車(営業用で残存価額は取得原価の10%、耐用年数5年)を定額法で償却を行った。

(仕訳)

(借方) 減価償却費

360,000

(貸方) 車両運搬具

360,000

減価償却費

2,000,000−200,000

5年

¥360,000

2. 間接法
減価償却額を固定資産の勘定から直接差し引かないで、減価償却費を累計するための勘定(建物減価償却累計額、備品減価償却累計額、車両運搬具減価償却累計額など)を設け、その勘定の貸方に毎期の償却費を記入する方法です。この減価償却累計額勘定は、毎期の償却額を累計するので、この勘定の残高は、減価償却費の合計額を示します。よって、固定資産の借方金額(取得原価を示す)から減価償却累計額勘定の貸方金額を引くと帳簿価額が計算できます。
減価償却累計額勘定は、減価償却引当金勘定を用いることもあります。また、この間接法では、固定資産の勘定の取得原価は、取得時のままで翌期に繰り越されるのが特徴です。

建物

取得原価

減価償却費

当期償却費

減価償却累計額

毎期償却額
毎期償却額
毎期償却額

【例】
決算にあたり、取得原価¥600,000の備品の減価償却を行う。残存価額は取得原価の10%、耐用年数は8年(決算は年1回、間接法による)。

(仕訳)

(借方)  減価償却費

67,500

(貸方)  減価償却累計額

67,500

減価償却費=¥600,000×0,9÷8=¥67,500

 

3.固定資産の売却


固定資産が使用不能になったり、不用になった場合は、売却することがありえます。固定資産を売却した場合、帳簿価格(取得価格−減価償却累計額)と売却価額との間に差額が生じることがあります。売却価額のほうが帳簿価格より高い場合、その差額は、固定資産売却益勘定(収益の勘定)の貸方に記入します。逆に、売却価額が低い場合は、固定資産売却損勘定(費用の勘定)の借方に記入します。

【例】
1. トラック(営業用)を売却し、代金は月末に受け取ることにした。このトラックの取得原価は、¥2,000,000、減価償却累計額は¥1,080,000で売却代金は、¥1,000,000であった。

2. 取得原価¥700,000、減価償却累計額が¥¥315,000の備品を売却し、代金¥350,000は小切手で受け取った。

(仕訳)

1. (借方) 未収金

1,000,000

(貸方) 車両運搬具

2,000,000

       減価償却累計額

1,080,000

     固定資産売却益

80,000

2.      現金

350,000

     備品

700,000

       減価償却累計額

315,000

       固定資産売却損

35,000

●参考

1. トラック(車両運搬具)を売却したので、車両運搬具勘定の貸方に取得原価(¥2,000,000)を記入して減少(消滅)させます。帳簿価格(¥2,000,000−¥1,080,000=¥920,00)と売却額¥1,000,000との差額は¥80,000です。この¥80,000は、収益となりますので、固定資産売却益勘定の貸方に記入します。(売却額が、帳簿価格より高い場合は、収益の発生、その逆は、損失の発生となります。)
なお代金は、月末に受け取る約束ですから、未収金勘定の借方にその金額を記入します。

2. 備品の売却によって備品勘定が減少(消滅)するので、その勘定の貸方に取得原価を記入します。受け取った代金(小切手を受け取り当座預金へは未入金)は、現金勘定の借方に記入します。売却額¥350,000と帳簿価格(¥700,000−¥315,000=¥385,000)の差額¥35,000です。この¥35,000は、損失となりますので、固定資産売却損勘定の借方に記入します。

【問題】
次の取引の仕訳をしてください。    解答例


1. 取得原価¥28,000,000の店舗を¥22,000,000で売却し、代金は、来月末に受け取ることになった。ただし、既償却額¥8,000,000である。

2. 機械が不要となったので、¥100,000で売却した。なお代金は、小切手で受け取り、直ちに当座預金とした。(取得価格¥800,000、減価償却累計額¥660,000、間接法)

3. かねて売却した店舗代金¥10,000,000を小切手で受け取った

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