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手形の取引(2)
手形の割引
手形を裏書譲渡する場合の1つとして、手形を取引銀行などに裏書譲渡して、手形の満期日前に運転資金を得るために買い取ってもらうことがしばしばあります。この行為を手形の割引といいます。割引日から満期日までの利息を手形金額に応じて支払います。この利息は、手形金額から差し引きされて手取金額が当座預金に入金されます。
(実務では、手形金額がそのまま当座預金に入金されて、同日、利息額が当座預金から引き落とされます。これは、取引銀行とその旨契約しておきます。なぜなら手形金額は、いつもきりのよい手形金額ばかりではないから、利息を手形金額から差引きされると検算やチェックがスムーズできない場合がたぶんにあるからです。)
この利息は割引料といい、割引料勘定(費用の勘定)の借方に記入します。
手形を割引いたときの仕訳
(借方) |
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(貸方) |
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当座預金 |
○○○ |
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受取手形 |
○○○ |
割引料 |
○○ |
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割引料の計算式
【例】
1大阪商店は先に受取った和歌山商店振出しの約束手形¥300,000を取引銀行で割引し、割引料¥2,800を差し引かれ、手取金は当座預金とした。
2富山商店は、東京商店から受取っていた約束手形¥400,000を取引銀行で割引し、手取金は当座預金とした。割引料は年利5%、割引日数は60日。
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(仕訳) |
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(借方) |
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(貸方) |
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1 |
当座預金 |
297,200 |
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受取手形 |
300,000 |
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割引料 |
2,800 |
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2 |
当座預金 |
396,713 |
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受取手形 |
400,000 |
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割引料 |
3,287 |
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●参考
1手形の割引は、手形債権の消滅と受取手形の減少だから、受取手形勘定の貸方に記入します。満期前に手形金額を現金化するので手形割引日から満期日までの期間の利息を支払います。これが割引料で、割引料勘定(費用の勘定)の借方に記入します。
2割引日から満期日までの割引料を自分で計算する問題です。
割引料----¥400,000×0,05×60日÷365=¥3,287
手取金----¥400,000-¥3,287=¥396,713
【問題】
次の取引の仕訳をしてください。
取 引 解答例 |
山形商店は、先に受取った山口商店振出しの約束手形¥350,000を銀行で割引、割引料¥3,700を差し引かれ、手取金は当座預金とした。 |
金融手形(融通手形)
金銭の借用書の代わりに、約束手形を証書として短期間の資金調達を行う場合があります。このときに、約束手形を振出したり、受取ったりすることが生じるが、商品の売買によっての手形の貸借でないため、受取手形勘定や支払手形勘定を用いないで、借入金勘定又は、手形借入金勘定、貸付金勘定または手形貸付金勘定で処理します。
金融のために振出される手形を金融手形または融通手形といいます。
【例】
1、銀行から¥1,000,000を借入、約束手形を振出した。利息を差し引かれた手取金は当座預金とした。借入期間91日、利率4%である。
2銀行から¥400,000を借入、2か月後に満期となる約束手形を振出した。なお、利息¥3,000を差し引かれ、手取金は、当座預金とした。
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(仕訳) |
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(借方) |
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(貸方) |
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1 |
当座預金 |
990,028 |
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借入金
(手形借入金) |
1,000,000 |
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支払利息 |
9,972 |
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2 |
当座預金 |
397,000 |
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借入金
(手形借入金) |
400,000 |
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支払利息 |
3,000 |
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●参考
1資金を借りる目的で約束手形を振出す場合、受取手形勘定や支払手形勘定は発生しない。借入金または手形借入金といった負債の勘定をおこして、振出したときにはその貸方に記入し、返済した時には、その借方に記入します。この手形での借入も割引と同様に、借入期間に対する利息の支払を行い、その利息を差引きし、手取金は当座預金に入金するのがふつうです。
利息の計算式は、手形の割引料と同じです。端数が出る場合は、円未満切り捨てします。
2利息がすでに求められている問題です。支払利息勘定の借方に¥3,000を記入し、手形金額から差し引かれた手取金を当座預金に入金したので、当座預金勘定の借方に\397,000を記入し、支払手形でなく借入金勘定(手形借入金勘定)の貸方に¥400,000と記入します。
【問題】
次の取引の仕訳をしてください。
取 引 解答例 |
1 |
銀行から¥450,000を借り入れ、3か月後満期の約束手形を振出した。なお、利息の¥3,000を差し引かれ、残金は当座預金とした。 |
2 |
有価証券を担保として銀行から¥900,000の借り入れを行った。この借入金に対しては約束手形を振出し、利息を差し引かれた手取金は当座預金とした。借入期間は、73日で、利率は4%である。 |
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