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繰延資産(創業費、試験研究費) 流動負債の勘定科目 創業費勘定の内容 会社の設立に必要な費用である創立費と、会社の成立後、営業を開始するまでの間の開業準備費用である開業費とを処理する勘定です。 【例】 ※ 法人設立のための法令用紙、定款認証の収入印紙、公証人の認証料 ※ 会社設立のための登録免許税 ※ 株式払込金の保管手数料、書類作成手数料 ※ 開業準備中の電気、ガス、水道、電話、建物の賃貸料など 【仕訳例】 ※ 創業費を支出した時の仕訳 (借方) 創業費 (貸方) 当座預金 ※ 創立費は会社成立後、開業費は開業後、5年以内に毎期決算にて、均等額以上(初年度全額償却も可)の償却をしなければなりません。仕訳は下記のとおりです。 (借方) 創業費償却 (貸方) 創業費
試験研究費勘定の内容 新製品の試験的製作または新技術の研究のために支出した費用です。現に生産している製品または採用している技術の改良のために支出する費用は損金(必要経費)として会計処理します。 【仕訳例】 試験研究費の支払があった時の仕訳 (借方) 試験研究費 (貸方) 当座預金 支出後、5年以内に毎期決算にて、均等額以上(初年度全額償却も可)の償却をしなければなりません。ただし、全額償却以前に試験研究が成功し、無形固定資産を取得した時は、未償却残高を無形固定資産の勘定に振り替えます。たとえば、特許権を取得した場合の仕訳は、下記のとおりです。 (借方) 特許権 (貸方) 試験研究費 試験研究が成功しても無形固定資産を取得しないときや、失敗したときなどは、そのまま償却を続けます。
流動負債 債務で、その履行期が決算から1年以内に到来するものを処理する勘定です。特に税務上は、負債の真実性を重視します。架空負債の計上、負債の過大計上が監視される。企業は、内部統制を活用し、負債の真実性を保持するように経理を行います。 支払手形勘定の内容 仕入先との通常の営業取引に基づいて発生した手形債務を処理します。また、設備の建設、固定資産または有価証券の購入その他通常の取引以外の取引を営業取引と区別して把握できるようにしておくのが望ましい経理処理です。 【例】 ※ 約束手形の振り出し ※ 為替手形の引受け 【仕訳例】 手形の振り出しまたは引受け時の仕訳 (借方) 買掛金 (貸方) 支払手形 手形の決済時の仕訳 (借方) 支払手形 (貸方) 当座預金 手形の書き換えのときの仕訳(旧手形を回収して、新手形を振り出し) (借方) 支払手形 (貸方) 支払手形
買掛金勘定の内容 仕入先との通常、一般的な営業取引の基づいて発生した買掛の債務(外注費の買掛債務を含む)を処理する勘定です。 【例】 ※ 商品仕入に関する買掛 ※ 外注加工費の買掛(主に材料は当方もちのもの) 【仕訳例】 商品を掛買いした場合 (借方) 商品仕入高 (貸方) 買掛金 買掛金を小切手で支払った時の仕訳 (借方) 買掛金 (貸方) 当座預金 買掛金を手形で支払った時の仕訳 (借方) 買掛金 (貸方) 支払手形 【買掛金計上の時期】 搬入の日として、入荷基準等を採用して経理処理を行います。 【買掛金の締め日】 毎月末の日とします。 【税務上の取り扱い】 事業年度の終了の日までに仕入代金が確定していないときは、同日の現況によりその金額を見積もるものとします。その後確定した場合には確定した日の属する事業年度の損益にその差額を算入します。 法基通2-2-1 (注)売掛金勘定の「税務上の取り扱い」と「経理処理方法」も参考にしてください。
短期借入金勘定の内容 決算日以後1年以内に返済期限が到来する借入金を処理する勘定です。なお、借入の時点から判断(計算)して最終返済時が決算日以後1年を超えるものは、完済するまで長期借入金に計上します。 【例】 ※ 金融機関との金銭消費貸借契約に基づく証書借入金 ※ 金融機関を受取人とする手形借入金(主に単名手形の割引) 【仕訳例】 借り入れ時の仕訳 (借方) 当座預金 (貸方) 短期借入金 返済時の仕訳 @ (借方) 短期借入金 (貸方) 当座預金 A (借方) 支払利息 (貸方) 当座預金 (注)@の仕訳は、元金のみ返済の時の仕訳 書き換えをした場合 (借方) 短期借入金 (貸方) 短期借入金 ※ 同族会社では、その会社の役員一族が資金を借入金に計上し、その使途、借入先等を明確にしていない場合が多々あります。資金の源泉を明確にするために証憑書類の監査、検証が重要となります。 ※ 借入金の中には、簿外の預金を担保に借入をする場合があります。 差入れた担保は、明瞭に把握できるようにしておきます。 ※ 借入金のな中には、返済期限を過ぎても、返済しないで負債のまま計上しているものがあります。役員、使用人、その他金融機関以外の個人からの借入金は、返済条件に従って返済しているか確認し、処理することが望ましい経理処理です。
未払金勘定の内容 通常の営業取引以外の取引によって生じた車両運搬具、器具、備品等の購入(取得)による未払い等で決算日以後1年内に支払われるものを処理する勘定です。 【例】 ※ 車両運搬具、器具、備品等の購入による未払い等 ※ 上記のものまたはこれに準ずるもので買掛金以外の未払い 【仕訳例】 車両運搬具を、一部代金を分割払いの約束で、購入した場合 (借方) 車両運搬具 (貸方) 当座預金 ※ 毎月作成する試算表において、当期利益を正確に判断するため、発生主義を採用します。また、厳密に発生主義を解釈して用いると機能性が失われるので、現金主義も通常の経理処理上で利用されています。 例1: 掛買いで支払額が常時一定額以上(例:5万円以上)と見込まれる場合は、発生主義を用い毎月洗い替えます。 例2: 掛買いで支払額が常時一定額未満(例:5万円未満)と見込まれる場合は、現金主義より処理します。 ※ 個人より法人への譲渡資産−譲渡負債=差額(未払金)は、早い時期に支払いし、資金不足のときは、契約書を作成して、長期借入金へ振り替えるようにします。 未払金および未払費用の着眼は、「債務確定の確実性」、「計上基準の妥当性」、「計上額の真実性」、「勘定分類の妥当性」等を考慮して経理処理をします。 債務確定の確実性・・・・・確定決算、損金経理、証憑書類の保存 計上基準の妥当性・・・・・計上基準の定められている租税公課等は、法人税基本通達9−5−1(租税の損金算入の時期)法基通9−5−2(事業税の損金算入の時期の特例)を参考にしてください。 寄付金は、支払基準によって経理処理されます。よって、未払金として損金計上することは、認められていません。そして、その支払は現実に金銭等の支払を意味し、手形を振り出して支払ったり、手形に裏書して支払った場合も支払ったことにはなりません。
未払費用勘定の内容 通常の営業取引のうち継続的な役務の提供を受けることを内容とする契約に基づいて決算日までに提供されたものなどを処理する勘定です。 【例】 ※ 人件費(販売員給与、役員報酬、事務員給与) ※ 電気代、ガス代、水道料等 ※ 運賃、地代家賃等 【仕訳例】 人件費で、月末締め日の翌月払いとしている場合は、発生主義によって処理します。 月末時の仕訳 (借方) 販売員給与 (貸方) 未払費用 翌月の仕訳 (借方) 未払費用 (貸方) 販売員給与 (借方) 販売員給与 (貸方) 当座預金 (借方) 当座預金 (貸方) 預り金 (市民税、源泉税等) 【税務上の取り扱い】 ※ 当該事業年度終了の日までに当該費用のかかる債務が成立していること ※ 当該事業年度終了の日までに当該債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること ※ 当該事業年度終了の日までにその金額を合理的に計算(算定)することができるもの (債務の確定の判定)法基通2-2-12
前受金勘定の内容 得意先との通常の営業取引に基づいて生じた商品の前受代金を処理する勘定です。 【例】 ※ 商品の販売契約に基づく販売代金(対価)の前受代金 【仕訳例】 前受金を受け取った時の仕訳 (借方) 現金・当座預金 (貸方) 前受金 商品を先方に引き渡した時の仕訳 (借方) 前受金 (貸方) 商品売上 商品を先方に引渡し、差額代金を掛けとした場合 (借方) 前受金 (貸方) 商品売上
預り金勘定の内容 通常の取引に関連して発生する預り金で決算日以後1年以内に返済されるもの、および、法令の規定による預り金で決算日以後1年以内に納付されるものを処理する勘定です。 【例】 ※ 社会保険料、厚生年金、雇用保険料 ※ 給与および賞与の源泉所得税、特別徴収住民税 ※ 報酬料金などから徴収した所得税 ※ パートタイム給与から徴収した源泉所得税 ※ 退職所得の源泉所得税と住民税 【仕訳例】 ※ 給与支給時に預かり処理(未払費用計上されていいない場合) (借方) 販売員給与 (貸方) 当座預金 (注)社会保険料は、原則として預り金勘定で処理しますが、上記の仕訳のように(貸方)に法定福利費勘定で処理することが実務上よくあります。翌月に会社負担分を含めた社会保険料を納付する際に、差し引き計算をしなければならない。この処理をするために、前もって(貸方)に法定福利費の勘定にしておけば、(借方) 法定福利費 (貸方) 当座預金 と仕訳した時点で差し引きされるからです。 ※ 源泉所得税納付時の仕訳 (借方) 預り金 (貸方) 当座預金 ※ 報酬料金支払いに係る預り金{報酬料金勘定(費用の勘定)を設定した場合} (借方) 報酬料金 (貸方) 当座預金 (注)預り金の納付仕訳は、源泉所得税納付時の仕訳と同じです。 【税務上の取り扱い】 ※ 利益処分による配当、役員賞与で支払確定の日から1年を経過しても支払いがない時は、1年を経過した日に支払いがあったものとして源泉所得税を納付しなければなりません。 ※ 源泉所得税預り金の納付に関して常時給与の受給者が9人以下の場合には、納期の特例の適用(1〜6月分は、7月10納付、7〜12月分は、翌年1月10日納付)があります。適用を受けるには、税務署長へ届出が必要です。 所法181、183、216、217、措法41の6、国税通則法10
仮受金勘定の内容 取引先等から受け入れた金額を、取引内容から判断して、一時的なもの、金額が不確定な場合等にその仮受金を処理する勘定です。 【例】 ※ 不確定の金額を受領した場合 ※ 送金受け入れ額が、売掛金の受け入れ、または、仮払金の受け入れなのか、わからない場合 【仕訳例】 仮受金受け入れ時 (借方) 現金または当座預金 (貸方) 仮受金 仮受金の内容がわかった時点で、当該勘定科目へ振り替えの仕訳 (借方) 仮受金 (貸方) 売掛金 ※ 仮受金は、未決算の勘定です。中間決算、確定決算では、その取引の実体に即した勘定科目に振り替えることが重要です。
割引手形勘定の内容 金融機関等で割引した手形を処理する勘定です。 【例】 ※ 手形上の権利の売買である受取手形の割引 【仕訳例】 ※ 受取手形を割り引いたときは、直接法で処理せず、間接法で処理します。 (借方) 当座預金 (貸方) 割引手形 ※ 割引手形が決済期日に決済された時点での仕訳 (借方) 割引手形 (貸方) 受取手形 ※ 不渡手形が発生したときは、その時点で不渡手形勘定に振り替えます。 @未割引手形が不渡手形となった場合 (借方) 不渡手形 (貸方) 受取手形 A 不渡手形が発生し、金融機関等から買い戻し請求され、手形代金と利息手数料を支払った場合 (借方) 不渡手形 (貸方) 当座預金
本店勘定 勘定の内容、仕訳例等、支店勘定を参考にしてください。
法人税等充当金勘定の内容 確定申告に基づいて納付する法人税、都道府県民税、市町村民税の未納額をこの勘定で処理します。 【例】 ※ 当期の確定法人税、都道府県民税、市町村民税 予定(中間)申告の法人税、都道府県民税、市町村民税は、法人税充当額(費用の勘定)で処理し、予定(中間)申告事業税は、租税公課で処理します。なお、法人税充当額で処理した合計金額は、当該事業年度の損金不算入ですから、所得に加算されます。 【仕訳例】 ※ 各税を納付した時の仕訳 @法人税、法人都道府県民税、法人市町村民税の納付 (借方) 法人税等充当金 (貸方) 当座預金 A法人事業税の納付 (借方) 租税公課 (貸方) 当座預金 ※ 延納をした場合、国税は本税と利子税とを納付した場合でも本税が納付されたものとしますが、地方税は分納の都度、本税と延滞金を納付しなければならないことになっています。 ※ 地方税の分納仕訳 @地方税の本税納付 (借方) 法人税充当金 (貸方) 当座預金 A地方税の延滞金の納付 (借方) 租税公課 (貸方) 当座預金 ※ 国税を分納する場合 @利子税を含む毎月の分納 (借方) 法人税充当金 (貸方) 当座預金 A分納最後の時利子税額を振り替え (借方) 租税公課 (貸方) 法人税充当金
賞与引当金勘定の内容 従業員に対する賞与に引当、負債性引当金を処理する勘定です。 【例】 賞与引当金の繰入、戻入額の計上 【仕訳例】 ※ 月末にその月分の賞与見積額を計上 (借方) 従業員賞与 (貸方) 賞与引当金 ※ 賞与支給時に、賞与引当金全額(最初の支給時には前期繰越の引当金を含む)を取り崩し、賞与を支給した時の仕訳 (借方) 賞与引当金 (貸方) 従業員賞与 (戻入仕訳) ※ 決算時には、見積額の引当金を取り崩し、税法上の賞与引当金を計上します。 (借方) 賞与引当金 (貸方) 従業員賞与 【税法上の取り扱い】 ※ 賞与引当金は、平成10年の税制改正により廃止されましたが、平成10年4月1日から平成15年3月31日までの間に開始する事業年度については、一定の金額の繰入を認める経過措置が設けられています。 (注) 税法上の諸規定については、旧法人税法54条、旧法人税法施行令103条、法人税法基本通達21−3−5、21−3−13、21−3−14、21−3−15、平成10年法法改正附則6、平成10年法令改正附則11を参考にしてください。 賞与引当金の廃止について |