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製造原価

期首材料棚卸高、材料仕入高、期末材料棚卸高、賃金、賞与、雑給、

法定福利費、厚生費、特許権使用料、試験研究費、退職金、外注加工費

電力費、ガス代、水道料、運賃

期首材料棚卸高勘定の内容

貸借対照表の原材料の前期末残高を当期の材料費に繰入処理をするための勘定です。

【仕訳例】

※ 前期繰越の原材料を振替る仕訳

   (借方)  期首原材料棚卸高   (貸方)   原材料  (前期繰越分)

※ 月次決算を指向し、当月末の概算棚卸額を計上する仕訳

   (借方)  原材料          (貸方)   期末材料棚卸高 (月末概算分)

 

材料仕入高勘定の内容

材料費は、原価計算基準においては直接材料費と間接材料費に区分しています。しかし、実務では、直接材料費と間接材料費をこの勘定で処理します。

【例】

※ 主要材料

生産に直接消費され、製品の基本的実体となり、再現するもので、例えば、家具製造の木材、製鋼業の鉄鉱やコークスなどです。

※ 主要材料に属する購入部品

そのまま製品に取り付けられ、その構成部分となる物品

※ 間接材料費に属する補助材料費

生産を間接的に補助するために消費されるもので、主要材料と同じように製造に使われるけれども製造過程において補助的に消費され、製品の実体となって再現しないもので、例えば、一般に消耗品、貯蔵品等で、機械油、動力用燃料、ボロ、磨粉、紙やすり等

※ 消耗工具器具備品で間接材料費に属するもの。耐用年数1年未満または1個または1組が10万円未満の工具、器具備品。

【仕訳例】

※ 締め日は、毎月20日と定めると21日から月末までの購入高は、材料仕入伝票により計算します。計算した金額は、買掛金集計表に記載し合計額を下記のように処理します。

   (借方)   材料仕入高    (貸方)  買掛金

※ 計上に関しては、受入基準、検収基準により合理的、継続的に処理した日とします。

※ 本支店間および支店間取引は、支店勘定仕入商品勘定を参考にしてください。

※ 間接材料費については、消耗品費勘定を利用して処理しても差し支えありません。

※ 材料の在庫高の数量を前もって定めておき、最小限になったとき、または最小限に接近したとき、材料購入の手続を行う(社内ルールを定めて置くことが望ましい方法です。)

【税法上の取り扱い】

※ 購入した棚卸資産の取得価額

棚卸資産のうち商品や原材料は普通購入によって取得される。

購入した棚卸資産の取得価額には、購入代価に取得運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税等のほか資産を消費し、または販売するために要した直接要した費用を含めなければならない。

小額の付随費用、移管費用、保管費用が棚卸資産の購入代価の概ね3%以内であるときは、これらの費用を取得価額に算入しないことができます。

 

期末材料棚卸高勘定の内容

期末に在庫として残っ原材料を貸借対照表に計上して、当期材料消費高を確定する勘定です。

【仕訳例】

※ 月次決算を指向し、毎月末の在庫高を計上する場合

    (借方)  原材料       (貸方)  期末材料棚卸高 (当月概算額の計上)

    (借方)  期末材料棚卸高 (貸方)  原材料       (前月末概算額戻入)

※ 決算時の場合

    (借方) 期末材料棚卸高  (貸方)  原材料       (前月末概算額戻入)

    (借方) 原材料        (貸方)  期末材料棚卸高 (実地棚卸高計上)

 

賃金勘定の内容

直接製造部門の人件費のうち、臨時雇用賃金及び臨時的給与を除いた者、及び間接費部門の人件費のうち一般に給料として取り扱われるものを処理する勘定です。

【例】

※ 工員に対して支払われる労務費(基本賃金、時間外手当、作業手当、等)

※ 間接に製造のために要する労務費(事務員給与、技術者給与等)

【仕訳例】

※ 毎月20締めで、月末支給の場合

   (借方)  賃金      (貸方)  法定福利費   (社会保険料)

   (借方)  賃金      (貸方)  預り金      (源泉税、住民税)

   (借方)  賃金      (貸方)  当座預金    (手取り支給額)

 

賞与勘定の内容

退職金を除く臨時的給与を処理する勘定です。

【例】

※ 7月、12月及び決算における賞与等

【仕訳例】

   (借方)  賞与     (貸方)   法定福利費   (社会保険料)

   (借方)  賞与     (貸方)   預り金      (源泉税)

   (借方)  賞与     (貸方)   現金       (手取り支給額)

 

雑給勘定の内容

臨時雇用の工員(パート、アルバイトを含みます)、社外の労務者などに支払われる賃金です。ただし、雇用契約により正社員ではない者でも継続的に勤務する者は、賃金勘定で処理します。

【例】

※ 検査工、倉庫整理、清掃等に従事してもらうために雇用した臨時雇用に支払われる賃金又は給与

【仕訳例】

雑給を支払った場合の仕訳

   (借方)  雑給      (貸方)   現金   (手取り支給額)

   (借方)  雑給      (貸方)   預り金  (源泉税)

 

法定福利費勘定の内容

工場使用人に対し、法令によって強制賦課される社会保険料、雇用保険料、労災保険料の会社負担分を処理する勘定です。

【例】

※ 社会保険料の会社負担分

※ 労災保険料の負担額全額

【仕訳例】

※ 保険料の納付期日に、小切手で納付した時の仕訳

    (借方)  法定福利費    (貸方)   当座預金

※ 納付日に納付できなかった場合

    (借方)  法定福利費    (貸方)   未払費用 

【税務上の取り扱い】

※ 社会保険料、労災保険料の損金算入の時期は、下記のとおりです。

1、健康保険、厚生年金の保険料はその保険料等の計算の対象となった月の末日。

2、健康保険の特別保険料はその保険料にかかる賞与等の支払をした日。

3、労働災害保険料のうち、被保険者が負担すべき部分の金額は立替金とし、その他の部分の金額は概算保険料の申告書を提出した日又は納付した日の事業年度の損金に算入されます。

概算保険料の額が確定保険料の額に満たない場合の不足額のうち、当該法人が負担すべき金額は、確定保険料の申告書を提出した日またはこれを納付した日の属する事業年度の損金に算入することができる。また、不足額を未払金として計上することも認められます。超過額が生じた時は確定保険料の申告書を提出した日の益金の額に算入することになっています。

 

厚生費勘定の内容

従業員に対する慰安、娯楽等の費用、および医療、慶弔見舞などに支出する費用を処理する勘定です。

【例】

※ 慶弔見舞金規定に基づく慶弔金

※ 定期検診費用

※ 社員旅行、忘年会、新年会等の費用

※ 創業記念品(5年以上の期間と処分見込み価額が10,000円以下非課税)

※ 作業着

※ 医療衛生費、保健費

※ 図書購入費、研修会参加費用

※ 日直、宿直料、1日につき4,000円までの金額は非課税

※ 夜間勤務者の食事代、 現物支給

※ 支給する食事については支給を受ける人が食事代の50%以上を負担していれば原則として課税されません。ただし、会社負担額が月額3,500円を超えるときは会社が負担した金額の全額を給与として課税されます。

※ 社内互助会への補助金

【仕訳例】

※ 社員旅行費用を前もって旅行業者に支払った場合

    (借方)  仮払金     (貸方)   当座預金  (小切手にて支払い)

※ 旅行中に、費用として現金を携行時

    (借方)  仮払金     (貸方)   現金

※ 上記費用の精算時

    (借方)  厚生費     (貸方)   仮払金 

    (借方)  現金      (貸方)   仮払金

【税務上の取り扱い】

※ 厚生費の税務上の取り扱いについては、現物給与の取り扱いについて特に注意してください。源泉税の課税および非課税について法の規定があります。

※ 会社が支出する退職金共済掛け金等の掛け金は、払込をしていない場合は未払金として損金算入できません。なお、被共済者には役員である部長、支店長、工場長等の使用人の職務を有している者も含まれます。

 

特許権使用料勘定の内容

他人の有する特許権を用いて製品を製造する場合に支払う使用料を処理する勘定です。

【例】

※ 他人の所有する工業所有権の使用料

※ 他人の所有する特許権、実用新案権等の使用料

※ 他人の所有するノウハウ等の賃借料

【仕訳例】

※ 製品の製造に寄与する特許権等の使用料は、その料率が生産数量単位当りで定められているもの、一定の期間定額支払のもの、最低額と生産数量に比例するものとの併用もの、利益の額を基準とするもの、などがあります。

※ 費用を支払った場合

   (借方)  特許権使用料     (貸方)  当座預金

※ 費用の効果が翌事業年度に及ぶ場合には、その取り扱いに注意してください。

 

試験研究費勘定の内容

試験研究費とは、製品の製造又は技術の改良、考案もしくは発明に係る試験研究のために要する費用と規定しています。租税特別措置法42の4C1、租税特別措置法施行令27の4Aを参考にしてください。

【例】

※ 試験研究費とは、製品の製造又は技術の改良、考案もしくは発明に係る試験研究のために要する費用と規定されていますので、その試験研究を行うために要する原材料、人件費および経費が対象となります。なお、人件費は、専門的知識をもって当該試験研究の業務に専ら従事する者に限り当該経費の対象となります。

【仕訳例】

※ 蕎麦屋を経営しておられる店主さんが、蕎麦の打ち方、そばつゆ、だし等のとり方の研究ために支出する費用は、試験研究費に該当するものです。

   (借方)  試験研究費    (貸方)   現金

【税務上の取り扱い】

租税特別措置法、施行令、施行規則、基本通達の規定を参考にして判断ください。

 

退職金勘定の内容

経常的な退職金の支給額を処理する勘定です。

【例】

※ 退職者に対する退職金の支給。

※ 退職金の異常多額の支給または退職給与規定の改定による退職給与引当金への多額繰入は、この勘定で処理せず、特別損失の部で勘定科目を設け処理するようにします。

【仕訳例】

退職金の支給について、所得税、住民税の課税対象となる場合、税額表から徴収額を算出して預かり、翌月10日までに納付します。

    (借方)  退職金     (貸方)    預り金   (源泉税、住民税預かり時)

    (借方)  退職金     (貸方)    当座預金 (手取り支給額)

【税務上の取り扱い】

※ 会社が中小企業退職金共済制度又は適格退職年金制度への移行、定年延長に伴い退職給与規定を制定又は改定し、使用人に対して退職金の打ち切り支給をし、そのことについて相当の理由があり、その後は既往の在職年数を加味しないこととしているときは、未払い金に計上したものを除き、損金算入が認められています。この場合、打ち切り支給には、法人が退職給与を打ち切り支給したこととしてこれを未払い金等に計上した場合は含まれません。

※ 法人の使用人が、その法人の役員となった場合において、退職給与規定に基づき、使用人期間分の退職金を支給したときは、損金算入が認めれれます。

※ 個人事業を引き継いで設立された法人が、個人事業当時から引継ぎ在職する使用人の退職により退職金を支給した場合、その退職が設立後相当期間経過後に行われたものであるときは、損金算入が認められます。

 

外注加工費勘定の内容

社外の外部の業者に材料を供給して加工してもらい、半製品又は部分品として引き取る場合に、支払う加工賃を処理する勘定です。

【例】

※ 外注加工を依頼するのに際し、素材又は販加工品を無償で支給し、加工賃を支払う場合。

※ 支給する物品の紛失、損傷等について責任の帰属を明確にするため、支給材料を外注先へ売却し、外注先から製品を買う、有償支給の形式を採用する場合。

【仕訳例】

※ 無償支給の場合の仕訳

    (借方)   外注加工費    (貸方)  買掛金   (月末時)

    (借方)   買掛金       (貸方)  支払手形 (翌月支払時)

※ 有償支給の場合

    (借方)  売掛金       (貸方)  売上    (材料支給時)

    (借方)  外注加工費    (貸方)  買掛金   (依頼品完成納入)

    (借方)  買掛金       (貸方)  売掛金   (材料代と相殺)

    (借方)  買掛金       (貸方)  当座預金  (差引き支払額)

 

電力費勘定の内容

電気の消費料又は生産設備を稼動させるためのエネルギー源を処理する勘定です。この電力費は、水道料、ガス代などと同様に軽量器によって消費量が測定されるために測定経費と呼ばれています。

【仕訳例】

電力会社の料金計算日(検針日)と会社の原価計算上の締め日とが一致しないことが多く実際の消費高と支払い高との差額が月末時には未払いとなります。

    (借方)  電力費     (貸方)   未払費用

 

ガス代勘定の内容

ガスの消費料を処理する勘定で、間接部門の照明、冷暖房のためのエネルギー源となる場合は固定費となります。

【仕訳例】

月末までに請求を受け翌月に小切手にて支払った場合

   (借方)  ガス代      (貸方)   未払費用  (月末時)

   (借方)  未払費用    (貸方)    当座預金  (翌月支払時)

 

水道料勘定の内容

製造部門にて冷却、洗浄等に大量に消費する場合、当該勘定科目ですべて処理します。なお、小額の場合は、代替科目として販売費および一般管理費の部の水道光熱費勘定で処理することができます。

【仕訳例】

電力費、ガス代、水道光熱費の各勘定の仕訳例を参考にしてください。

 

運賃勘定の内容

製品の倉庫への運搬、機械の移動、外注の材料や仕掛品の運搬などに支払う運賃を処理する勘定です。

【例】

商品仕入時の引取運賃は商品仕入勘定、材料の買入時の引取運賃は材料仕入勘定、製品販売時の発送運賃は発送配達費勘定、の各勘定で処理し、これらの運賃はここでの当科目とは区別して処理します。

【仕訳例】

製品を倉庫へ運搬を依頼し、運賃を小切手にて支払った場合

    (借方)  運賃       (貸方)   当座預金

月末に運送業者から請求を受け、翌月に支払った場合

    (借方)  運賃       (貸方)   未払費用  (月末時)

    (借方)  未払費用    (貸方)   支払手形  (翌月支払時)

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