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製造原価報告書No2

減価償却費、修繕費、租税公課、賃借料、保険料、消耗品費、旅費、

交通費、通信費、棚卸減耗損、雑費、期首仕掛品棚卸高

期末仕掛品棚卸高、原価差異

減価償却費勘定の内容

製造部門の工場用の建物、構築物、機械装置、車両運搬具、工具器具備品、その他の償却資産の減価償却費を処理する勘定です。販売費および一般管理費の減価償却費については、販管費の勘定で処理します。

【仕訳例】

無形固定資産(特許権、実用新案権等)の償却費もこの勘定で処理します。減価償却費は、月末に間接法で計上し、決算時に逆仕訳を行い法定償却額を計上洗い替え処理をします。

※ 建物、及び建物付属設備の購入時の仕訳

    (借方)  建物     (貸方)    当座預金

※ 毎月末に、月次決算の目的で概算償却費を計上する場合

    (借方)  減価償却費  (貸方)  減価償却累計額

※ 決算時に行う仕訳

    (借方)  減価償却費     (貸方)  減価償却累計額 (法定額の計上)

         (借方)  減価償却累計額  (貸方)  減価償却費    (概算償却費戻入)

【税務上の取り扱い】

※ 機械装置の耐用年数は、平均的な使用時間を基礎として定められている。だから、当期の実際の使用時間がこの平均的使用時間を著しく超える場合は、増加償却が認められます。

※ 技術革新によって、機械装置が急速に陳腐化している傾向にありますが、陳腐化によって固定資産の使用可能年数(期間)が法定耐用年数に比べて、著しく短くなった場合には、あらかじめ税務当局の承認を受けて、その資産の使用可能期間を耐用年数として短縮することが認められます。
そのほか、短縮承認のあった事業年度で陳腐化資産の一時償却の適用が受けられます。

※ 減価償却費は、法人が償却費として損金経理することが前提条件となりますが、下記に示すような場合は、償却費という名目で経理していなくても、他の費目で損金経理した場合とか、贈与によって取得した資産を全く計上しなかった場合でも、確定申告書に添付する償却の明細書で償却費として損金経理した金額に含めて計算しているときは認められます。

税務調査で否認された場合でも、損金経理した下記のような金額は、償却費として認められます。

 取得価額に算入しなければならない付随費用を原価外処理した金額。

 圧縮記帳により減額金額が圧縮限度額を超える場合のその超える部分の金額。

 修繕費として経理した金額のうち資本的支出に該当する部分の金額。

 贈与または時価よりも低い金額によって取得した資産について取得価額として計上した金額が、時価(税法上の取得価額)に満たない場合のその差額。

 減価償却資産について計上した除却損または評価損の金額のうち損金算入されない金額。

 小額資産(概ね60万円以下)または耐用年数が3年以下の金額。

※ 総合償却資産は、これを構成する多くの機械などの資産を総合して1つの耐用年数によって償却しますので、個々の資産の帳簿価額はわかりません。この場合、除却、廃棄滅失または譲渡があった場合には、その個々の資産の取得価額の5%相当額で除却額の計算をし処理するのが原則とされています。

※ その他の除却の方法として、未償却残額除却法、配賦簿価除却法があります。

※ 生産を中止した製品の専用金型等のように、たとえその資産について解撤、破砕、廃棄、などの処理をしていない場合であっても、その帳簿価額から処分見込価額を控除した金額の除却(有資除却)が認めれています。

 

修繕費勘定の内容

製造部門における固定資産の維持管理に必要な修繕費、保守料を処理する勘定です。

【例】

※ 屋根の修理、 とゆの修理、 壁の塗り替え、に要する費用

※ 会社所有の自動車の修繕費等

※ 建物の移えい費用および旧資材の70%以上がその性質上再使用可能で、その旧資材をそのまま使用し、かつ同一の規模、構造で再建築する建物の解体移築の費用

※ 機械装置の移設費{集中生産や立地条件の改善のための移設費、多額の据付費を要する機械装置の移築費(例、鍛圧プレス、ガスタンク)}を除きます。

※ 地盤沈下した土地(新たに取得したものおよび評価損をしたものを除く)の原状回復をするための地盛り費用

※ 現に使用している土地の水はけをよくするための砂利、砕石などの敷設費用や砂利道に砂利、砕石などを補充する費用等

【仕訳例】

※ 月末に請求を受け、翌月に支払う場合の仕訳

   (借方)  修繕費     (貸方)    未払費用 (月末時)

   (借方)  未払費用    (貸方)   当座預金  (翌月支払い時)

【税務上の取り扱い】

※ 固定資産が電波障害、日照妨害、風害、騒音などによって機能低下したため、その原因から機能回復のための補償金の交付を受けた場合には、その補償金のうちその機能回復のために支出した部分の金額については、その支出が一般的にみれば資本的支出にあたる場合であっても、これを修繕費として処理することが認められています。

 

租税公課勘定の内容

製造部門の工場、事業所等にかかる固定資産税、不動産取得税等を処理する勘定です。

【例】

※ 事業所税、登録税、印紙税、固定資産税、不動産取得税、

【仕訳例】

※ 販売費および一般管理費の部の租税公課勘定を参考にしてください。

【税法上の取り扱い】

※ 法人税法では、法人が納付する租税公課のうち損金に算入しないものについて規定しています。なお、損金算入される主な租税公課は販管費の租税公課勘定を参考にしてください。

※ 損金に算入しない主な租税公課

● 法人税、都道府県民税、市町村民税の本税

● 各種加算税、延滞税、延滞金。ただし、地方税の納期限の延長にかかる延滞金は損金です。

● 罰金および科料並びに過料(この中には、外国またはその地方公共団体が課する罰金または過料に相当する者が含まれます。

● 法人税から控除する所得税および外国法人税

※ 租税公課の損金算入の時期

● 申告方式による租税(例:事業税、消費税、酒税、事業所税等)については、その租税の納税申告書を提出した事業年度。更正決定のあったものについては、その更正決定のあった事業年度。ただし、収入金額または棚卸資産の取得価額に含めた申告期限未到来の酒税など損金経理により未払金に計上したときは、その未払金に計上した事業年度。

● 賦課課税方式による租税(例:不動産取得税、自動車税、固定資産税および都市計画税など)については、その租税の賦課決定のあった事業年度。ただし、納期の開始した事業年度または実際に納付した事業年度において損金経理をした場合には、その損金経理をした事業年度。

● 特別徴収方式による租税(例:軽油引取税、ゴルフ場利用税など)については、その租税の納付申告書を提出した事業年度とし、更正決定のあったものについては、その更正決定のあった事業年度。ただし、収入金額のうちに納入すべきこれらの租税の金額が含まれている場合、申告期限未到来のものを損金経理により未払金に計上したときは、その未払金に計上した事業年度。

● 国税の利子税、地方税の納期限の延長にかかる延滞金は、納付した事業年度。ただし、その事業年度の期間に対応する未納の金額を損金経理により未払金に計上したときは、その未払金に計上した事業年度。

※ 賃金や給与にかかる所得税の源泉徴収を忘れたため(怠ったため)、所得税法第221条の規定による所得税の強制徴収をされたときは、その金額につきさらに源泉徴収を行うか、もしくは仮払金として経理し、従業員に求償することになります。

 

賃借料勘定の内容

製造部門にかかる不動産の賃借料および機械などの動産のリース、レンタル料の賃借料等を処理する勘定です。

【例】

※ 工場の地代、家賃、宿舎の家賃、

※ 礼金、仲介手数料、

※ 機械、車両等のリース料、レンタル料

【仕訳例】

販売費および一般管理費の部の地代家賃勘定を参考にしてください。

【税務上の取り扱い】

※ リース、ファイナンスのうち、その経済的実態から見て一般の賃貸借と同一視することが不適当と認められるものについては、初めから売買があったものとみなし、あるいはリース料の一部を前払費用として計算する取り扱いとなっているものもあります。

※ 売買とみなされるリース、ファイナンスについて

売買とみなされるリース取引要件

● リース期間中のリース料金の合計額がリース物件の取得価額と付随費用(金利、固定資産税、保険料等の諸掛かり)の概ね全部を支弁するように定められている。

● 途中解約が禁止されているか、または途中解約に際して未経過期間のリース料の概ね全部の支払いを請求されるようになっている。

上記の要件に該当するリース取引のうち、下記5つのいずれかに該当するものが、売買とみなされるリース、ファイナンスです。

● リース期間経過後に、リース物件を無償または無償同然の対価で賃借り人に譲渡し、または名目的な再リース料で再リースすることが予定されている。

● 土地、建物、建物付属設備または構築物(簡単に移設できるものを除く)を対象とするもの。

● 主要部分が賃借り人の用途等に合わせて製作されているため、他に転用することが困難な機械装置を対象とするもの。

● 建設工事用の仮設資材のように、リース物件の特定が不可能な資産を対象とするもの。

●上記4つまでのもの以外で、リース期間がリース物件の法定耐用年数に比べて相当短く定められ、かつ、リース期間経過後、賃借り人にリース物件を購入する権利または義務(購入選択権)があるもの。

 

保険料勘定の内容

製造部門にかかる各種の掛け捨て保険料を修理する勘定です。

【例】

※ 従業員を被保険者とする定期保険料の保険料

※ 自動車損害賠償保険(強制および任意)、その他これに準ずる保険契約に係る保険料

※ 火災保険契約による保険料

【仕訳例】

※ 定期保険料を支払った場合(1年を超える期間に対応する部分の保険料は長期前払い保険料(資産の勘定)で処理します。)

    (借方)    保険料        (貸方)     当座預金

    (借方)  長期前払い保険料   (貸方)     当座預金

※ 自動車損害保険料を支払った場合

    (借方)    保険料        (貸方)     当座預金

※ 自動車事故により受け取った保険金は雑収入に計上、修繕費は、修繕費勘定で処理します。

    (借方)   当座預金      (貸方)    雑収入   (保険金受取時)

    (借方)   修繕費       (貸方)    当座預金  (修理費支払時)

【税務上の取り扱い】 

※ 販売費および一般管理費の部の保険料勘定を参考にしてください。

 

消耗品費勘定の内容

製造部門にかかる消耗品または消耗工具器具で、材料仕入れ勘定で計上しないものを処理する勘定です。1個または1組の取得価額が10万円未満のものを処理します。

【例】

※ 製造部門にかかる事務用消耗品

※ 製造部門にかかる車両のガソリン代、オイル代

※ 製造部門にかかる机、椅子、キャビネット、ロッカー、金庫、会議用テーブル、応接セット

※ 洗濯機、洗剤、清掃用具

※ 材料仕入高勘定で処理される工場消耗品は、製品の基本的実体を形成するものではないが、薬品、油脂類、釘、ネジ、ボロ、研磨材、軍手、長靴などのように製品の製造に際し、または、設備、棚卸資産などの保全管理等のために消耗される物品をこの消耗品勘定で処理します。

【仕訳例】

※ 製造部門にかかる机、椅子、会議用テーブルを購入し、月末に請求を受け、翌月に支払った場合

   (借方)   消耗品費     (貸方)   未払金   (月末時)

   (借方)   未払金      (貸方)   当座預金  (翌月支払時)

※ 製造部門にかかる車両のガソリン代の請求を受け、翌月に支払った場合

   (仕訳は上記と同じです。)

【税法上の取り扱い】

※ 消耗品その他これに準ずる棚卸資産の取得に要した費用の額は、その棚卸資産を消費した日の属する事業年度の損金の額に算入されますが、法人が事務用消耗品、作業用消耗品、包装資材、広告宣伝用印刷物、見本品その他これらに準ずる棚卸資産(各事業年度ごとに概ね一定数量を取得し、かつ、経常的に消費するものに限ります。)の取得に要した費用の額を継続してその取得をした日の事業年度の損金としているときはこの経理が認められます。なお、製品の製造原価に算入されるものは、除かれます。

 

旅費勘定の内容

製造部門にかかる通常、宿泊を伴い旅費規定に基づいて支給する手当(実費の他日当や諸雑費を含む)を処理する勘定です。

【例】

※ 車馬賃、乗車線料金、航空料金

※ 宿泊料金、日当、出張先の諸雑費

※ 海外旅費、支度金、渡航入出国手続き等の費用

【仕訳例】

※ 旅費規定に基づき概算額を出張者に渡した場合

   (借方)    仮払金     (貸方)   現金  

※ 出張者に渡した概算旅費の精算時の仕訳

   (借方)    旅費      (貸方)   仮払金  (旅費相当額)

   (借方)    現金      (貸方)   仮払金  (残金の受け入れ)

【税務上の取り扱い】

※ 機械設備等を輸入するための調査、打ち合せ等に海外渡航する場合の旅費は、機械装置の付随費用として機械設備等の取得価額に算入します。

※ その他海外渡航費については、法人税法基本通達9-7-6から9-7-10を参考にしてください。

 

交通費勘定の内容

製造部門にかかる交通費で、一般に宿泊を伴わない車馬賃の実費の支給額等を処理する勘定です。

【例】

※ 通行料、駐車料、タクシー代、電車、汽車、バス代。

※ 高速道路利用料金、

※ 従業員に支給する通勤費(非課税分)は、この勘定で処理するよりも、人件費の一部として厚生費勘定に計上して処理する方がよいと考えます。

【仕訳例】

※ 電車賃の実費を支払った場合

    (借方)   交通費     (貸方)   現金

※ 高速道路利用料金を現金払いした場合

    (借方)   交通費     (貸方)   現金

 

通信費勘定の内容

製造部門にかかる電信、電話料、郵便料ならびにこれらに類する情報伝達に要する諸費用を処理する勘定です。

【例】

※ 電話料、郵便料、はがき代、切手代等

※ 電話料は、支出時(預金口座振り替え時)に計上することが多いですが、請求書によって毎月の費用を計上するのが望ましい経理処理です。

※ 私用電話について料金を申し受けた場合、雑収入で処理せずに、(借方)現金(貸方)通信費と仕訳し、通信費の戻入と考えて処理するほうが実務的です。

【仕訳例】

※ 電話代の請求を受け、翌月に支払った場合

   (借方)    通信費    (貸方)    未払費用  (月末時)

   (借方)    未払費用  (貸方)     当座預金  (翌月支払時)

 

棚卸減耗損勘定の内容

素材、原料、部品、半製品等の保管運搬中に生じた破損、腐敗、漏洩、蒸発、変質などの原因から生ずる減耗損で原価性を有するものを処理する勘定です。

【例】

※ 棚卸減耗損は帳簿棚卸高と実地棚卸高との差異として捕捉され計上します。

※ 原価性を有する減耗損の判断は、その企業の棚卸資産の管理水準において、通常発生すべき減耗損をいいます。それは会社の体質の良否を判断する基準ともなるものです。よって、棚卸時に、製造原価に含まれていることになるからです。材料仕入高の受け払いの記録を継続的に行っているときは、あえて仕訳を示しますと下記のとおりです。なお、材料仕入高の継続記録を行わず実地棚卸により製造原価を確定する場合は、下記の仕訳は発生し得ないものです。

   (借方)  棚卸減耗損    (貸方)   材料仕入高

 

雑費勘定の内容

製造部門にかかる費用で、ここまでに示してきたどの勘定科目にも属さないものを処理する勘定です。しかし、支出金額が相当額に上る場合には、独立した勘定科目名を設定して処理します。

【例】

※ 生け花代、植木賃借り代、床マットリース代、

※ ごみ焼却費、清掃費、

【仕訳例】

※ 販売費および一般管理費の部の雑費勘定を参考にしてください。

 

期首仕掛品棚卸高勘定の内容

貸借対照表の仕掛品(半製品)の前期末残高を当期の製造原価に算入するための処理をする勘定です。

【仕訳例】

※ 前期より繰り越した仕掛品を製造原価に算入するために振り替える仕訳

   (借方)   期首仕掛品棚卸高  (貸方)   仕掛品        (繰越仕掛品)

※ 月次決算を指向し、月末の概算棚卸高を計上する場合

   (借方)   仕掛品         (貸方)   期末仕掛品棚卸高 (月末概算分)

 

期末仕掛品棚卸高勘定の内容

期末に、製造途中になった仕掛品(半製品)を貸借対照表に計上して、当期の製品製造原価の計算のために除く処理(除算)し、原価の確定を処理する勘定です。

【仕訳例】

※ 毎月末の行う仕訳(毎月末に概算棚卸高を洗い替え処理するための仕訳)

  (借方)  期末仕掛品棚卸高  (貸方)  仕掛品        (前月概算額戻入)

  (借方)  仕掛品         ,(貸方)  期末仕掛品棚卸高 (当月末概算額計上)

※ 決算時に行う仕訳

  (借方)  期末仕掛品棚卸高  (貸方)  仕掛品        (前月末概算額戻入)

  (借方)  仕掛品         (貸方)  期末仕掛品棚卸高 (実地棚卸高計上)

 

原価差異

実際原価制度において原価の一部を予定価格等で記入した場合における原価と実際の発生額との間に発生する差額を原価差異として考えます。

【税法上の取り扱い】

※ 原価計算上、会社が標準原価または予定原価により製造原価を計算している場合、実際原価との差額は、売上原価と期末棚卸資産にそれぞれ適正に配賦しなければならない。(法人税法基本通達5-3-1)

※ 法人の計算した製造原価が、税法上の製造原価と一致しない場合でも、その法人の計算した製造原価が適正な原価計算の基礎によっている場合は、企業会計尊重の立場から、税法上もその法人の計算した製造原価を、税法上の製造原価として認めています。(法人税法施行令32A)

※ 原価差額が総製造費用の1%以内の場合も、確定申告書に計算明細を明らかにすることを条件に調整を要しないこととされています。(法人税法基本通達5-3-3)

※ 工場ごとに原価差額の調整を行っている場合は、工場ごとに原価差額が総製造費用の1%以内かどうかを判定し、1%以内の工場については調整を省略することができる。

※ 原価差額の調整は本来ならば、仕掛品、半製品、および製品の順に行いますが、簡便法として一括した当期の原価差額を下記の計算式により期末棚卸資産に配賦することが認められる。

原価差額

×

期末製品・半製品・仕掛品の合計額

期末棚卸資産への配賦額

売上原価+期末製品・半製品・仕掛品合計

ただし、法人が変動費だけで原価計算する直接原価計算制度を採用しているときは、この簡便法の適用は税務当局の承認が必要です。(法人税法基本通達5-3-5)

 

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