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260、損益通算(変動所得の損失、被災事業用資産の損失がある場合)

261、損益通算の結果、損失が残る場合

262、損益通算(不動産所得に係る場合の特例)

263、損失の繰越(平成12年以前3年間に発生した繰越損失控除)

264、損失の繰越控除の仕方

265、損失の翌年への繰越と平成13年に生じた損失の繰越

266、被災事業用資産の損失

267、損失の繰り戻し(平成13年に生じた純損失の繰り戻し)

268、損失の繰り戻し(前年分の所得金額からの損失控除の仕方)

269、損失の繰り戻しによる還付金額

270、特定の居住用財産の買い換え等の場合の譲渡損失の繰越控除の特例

271、特定の居住用財産の買い換え等の場合の譲渡損失の繰越控除の特例(特定譲渡)

272、特定の居住用財産の買い換え等の場合の譲渡損失の繰越控除の特例(譲渡資産の範囲)

273、特定の居住用財産の買い換え等の場合の譲渡損失の繰越控除の特例(買い換え資産の範囲)

274、特定の居住用財産の買い換え等の場合の譲渡損失の繰越控除の特例(住宅借入金)

275、特定の居住用財産の買い換え等の場合の譲渡損失の繰越控除の特例(居住用財産の譲渡損失の金額)

276、特定の居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除の特例を受けるための手続等

277、特定の居住用財産の買い換え等の場合の譲渡損失の繰越控除の特例(翌年に以後に繰越控除するとき)

278、所得から差し引かれる金額(雑損控除)

279、所得から差し引かれる金額{雑損控除(損害の原因、損害を受けた資産の種類、家族の所有する資産に損害を受けた場合)

280、所得から差し引かれる金額{雑損控除(雑損失の繰越控除、申請手続き)

281、所得から差し引かれる金額(医療費控除)

282、所得から差し引かれる金額(医療費控除の範囲)

283、所得から差し引かれる金額{医療費控除(介護保険サービース費用の取扱)


260、損益通算(変動所得の損失、被災事業用資産の損失がある場合)


変動所得の損失、被災事業用資産の損失がある場合の損益通算について説明してください。


第一グループ(利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、雑所得)のなかの所得金額に変動所得金額の計算上発生した損失及び変動所得以外の普通所得金額の計算上発生した損失がある場合、又は普通所得金額の計算上発生した損失のうちに被災用資産の損失金額がある場合は、はじめに、変動所得金額の計算上発生した損失金額が残るように、次に、被災事業用資産の損失金額が残るように、下記の手順にて損益通算を行います。
♪1、 控除する所得(損失)は、普通所得金額の計算上発生した損失金額(被災事業用資産の損失金額を除きます。)
♪2、 控除する所得(損失)は、普通所得金額の計算上発生した損失金額のうちの被災事業用資産の損失金額
♪3、 控除する所得(損失)は、変動所得金額の計算上発生した損失金額

(注1) 変動所得は、事業所得や雑所得のうちで、年によって収入に激しい(著しい)変動がある下記の所得を言います。
(1) 漁業やのりの採取から発生する所得
(2) はまち、まだい、ひらめ、かき、うなぎ、帆立貝、真珠貝の養殖から発生する所得
(3) 原稿又は作曲料の報酬に係る所得
(4) 著作権の使用料(印税)に係る所得
※1、漁業による所得とは、魚類、貝類などの水産動物を捕獲してそのまま販売したり、又は簡単な加工を施して販売する場合の所得を言います。鯉などの養殖販売による所得や相当規模の販売所などをもって販売する場合の所得は含まれません。
昆布、わかめ、てんぐさ等の採取による所得もこれに含まれません。
※2、原稿料、印税などによる所得は、これを業としないため雑所得となる場合でも変動所得となります。著作権そのものを移転することによって発生する譲渡所得、原稿料は、変動所得に該当しません。
(注2) 被災事業用資産の損失は、下記のような資産について発生した損失を被災事業用資産の損失と言います。
(1) 棚卸資産(商品、製品、原材料、お米、麦、等の収穫物、貯蔵物の肥料、まだ収穫していない稲、麦、野菜も含まれます。)
(2) 山林
(3) 事業用固定資産(事業に使用している店舗、機械、車両、競走馬、等です。事業とよぶに至らない程度の業務に使用している固定資産の災害による損失は雑損控除の対象になります。)
(注3) 山林所得金額の計算上発生した損失を通算する場合、その損失額のなかに被災事業用資産の損失金額とそれ以外の損失金額がある場合も上記の内容に準じて、それ以外の損失金額を先に控除します。

 

261、損益通算の結果、損失が残る場合


損益通算の結果、損失が残る場合について説明してください。


(総所得金額に属する各種所得金額間の損益通算)、(分離課税の譲渡所得金額がある場合の損益通算)、{山林所得金額(損失)、退職所得金額がある場合の損益通算}、(変動所得の損失、被災事業用資産の損失がある場合の損益通算)、の4つの損益通算を行ってもまだ損失金額が残る場合、その残った金額の合計額を純損失金額といいます。
純損失金額は、一定の場合、翌年以降へ繰越又は前年分へ繰り戻すことができます
また、純損失金額が計上される場合には、申告書Bと損失用を使用します。
(注) 青色申告者以外は、純損失の繰越や、変動所得、被災事業用資産の損失金額以外の純損失の繰越は、原則として認められていませんので注意してください。
青色申告者が繰り越すことのできる損失金額は、(雑損失)、{純損失金額(居住用財産の買い換え等の場合の譲渡損失金額を除きます。}です。繰り越すための要件としては、損失用と申告書Bを確定申告期限内に税務署に提出します。
白色申告者が繰り越すことのできる損失金額は、(雑損失)、(純損失金額のうち、変動所得の損失と被災事業用資産の損失の金額)です。
※ 損失の繰越・繰り戻しにつきましては、別の機会に掲載させて頂きます。

 

262、損益通算(不動産所得に係る場合の特例)


損益通算(不動産所得に係る場合の特例)について説明してください。


損益通算の特例として、不動産所得金額の計算上発生した損失金額がある場合、その年分の不動産所得金額の計算上必要経費に算入した金額のうち不動産所得を発生するべき業務の用に供する土地等(土地又は土地の上に存する権利)を取得するために要した負債利子の金額がある場合、その損失の金額のうちその負債利子の金額に相当する部分の金額として、下記の金額は発生していなかったものとして取り扱われ、損益通算の対象外となります。
♪1、その年分の不動産所得の必要経費に算入した土地等の取得のための負債利子の金額が不動産所得の計算上発生した損失金額を超える場合は、 その損失金額
♪2、その年分の不動産所得の必要経費に算入した土地等の取得のための負債利子金額が不動産所得の計算上発生した損失金額以下の場合は、 その損失金額のうちその負債利子金額に相当する金額
不動産所得を発生すべき業務の用に供する土地等をその土地等の上に建築された建物とともに取得した場合(一つの契約により同一の者から譲り受けた場合に限ります。)、これらの資産を所得するための負債の金額を資産の別に区分することが困難な場合には、その負債金額は、まず、建物の取得の対価に充てられたものとして上記の金額を計算することができます。
業務用と非業務用とに併用される建物等をその敷地の用に供されて土地等とともに取得した場合、その建物等及び土地等の取得の対価の額とこれらの資産のために要した負債の金額を業務用部分と非業用部分とに分けて、業務用部分の金額を基として、この特例を適用します。

 

263、損失の繰越(平成12年以前3年間に発生した繰越損失控除)


損失の繰越(平成12年以前3年間に発生した繰越損失控除)について説明してください。


損失の繰越は、損益通算によって、各種所得金額は、総所得金額、分離課税の短期(長期)譲渡所得金額、山林所得金額、退職所得金額のグループに一応分類され、普通はこれらの所得金額及び申告分離課税の株式等の譲渡所得等の金額から所得控除額を差し引く処理をします。
平成12年以前3年間に発生した損失で平成13年分に繰越されたものがある場合には、所得控除を差し引く前にその損失を整理しておきます。また、平成13年分に損失が発生している場合、その損失を平成14年に繰り越すか、平成12年に繰り戻すかの手続きを確定申告期限までに済ませておく必要があります。
※1、申告分離課税の株式等の譲渡所得等の金額は、繰越雑損失に限り控除対象となります。
※2、特定中小会社の発行株式にかかる譲渡損失については繰越控除の特例があります。
繰越損失を控除した場合、申告書の該当欄にその控除後の所得金額を書き、その上部に控除した繰越損失額を△印をつけて記載します。
平成12年以前3年間に発生した雑損失、純損失の金額で平成12年までに引ききれなかった金額のうち、下記に記載の分け方に応じた金額を損益通算後の所得金額から一定の順序にて差し引きします。
※ 青色申告者の場合
差し引くことのできる前年からの繰越損失金額
♪1、雑損失金額、♪2、純損失金額
※白色申告者の場合
差し引くことのできる前年からの繰越損失金額
♪1、雑損失金額、♪2、純損失金額のうち、変動所得の損失と被災事業用資産の損失金額
差し引くための決まりについては、損失の発生した年に損失の金額を記載した損失用の申告用紙(青色申告者は、青色申告用)を申告期限内に提出していて、かつ、その後のの年に引き継いで損失用の申告又はその他の確定申告書を提出していることとされています。
(注1)青色申告者の純損失金額は、居住用財産の買い換え等の場合の譲渡損失金額は含まれません。
(注2)特定の居住用財産の買い換え等の場合の譲渡損失金額の繰越控除については、別の機会に掲載いたします。
(注3)被災事業用資産の損失とは、商品などの棚卸資産や店舗、機械等の事業用資産(事業用の競走馬を含みます。)又は山林の被災による損失額を言います。

 

264、損失の繰越控除の仕方


損失の繰越控除の仕方について説明してください。


損失をH13年分に繰越した場合、その雑損失金額や純損失金額は、下記の順序で控除することになっています。
(1) 2以上の年分に発生した損失金額控除は、H10年分→H11年分→H12年分の順位控除してゆきます。
(2) 同じ年に雑損失と純損失の金額がある場合は、純損失金額→雑損失金額の順位控除してゆきます。
(3)純損失金額控除は、純損失金額をその年の総所得金額、分離課税の短期譲渡所得金額又は長期譲渡所得金額、山林所得金額及び退職所得金額の計算上控除する順序は下記をご覧ください。
※1、その年分の所得が総所得金額であり、純損失金額が総所得金額の計算上発生した損失部分の金額
※2、その年分の所得が短期譲渡所得金額であり、純損失金額が短期譲渡所得金額の計算上発生した損失部分の金額
※3、その年分の所得が長期譲渡所得金額であり、純損失金額が長期譲渡所得金額の計算上発生した損失部分の金額
※4、その年分の所得が山林所得金額であり、純損失金額が山林所得金額の計算上発生した損失部分の金額
※5、その年分の所得が総所得金額であり、純損失金額が超短期所有の土地等に係る事業所得等の金額の計算上発生した損失部分の金額
※6、その年分の所得が総所得金額であり、純損失金額が土地等に係る事業所得等の金額の計算上発生した損失部分の金額
※7、その年分の所得が長期譲渡所得金額であり、純損失金額が短期譲渡所得金額の計算上発生した損失部分の金額
※8、その年分の所得が短期譲渡所得金額であり、純損失金額が長期譲渡所得金額の計算上発生した損失部分の金額
※9、その年分の所得が短期譲渡所得金額であり、純損失金額が総所得金額の計算上発生した損失部分の金額
※10、その年分の所得が長期譲渡所得金額であり、純損失金額が総所得金額の計算上発生した損失部分の金額
※11、その年分の所得が総所得金額であり、純損失金額が総所得金額の計算上発生した損失部分の金額
※12、その年分の所得が退職所得金額であり、純損失金額が総所得金額の計算上発生した損失部分の金額
※13、その年分の所得が短期譲渡所得金額であり、純損失金額が超短期所有の土地等に係る事業所得等の金額の計算上発生した損失部分の金額
※14、その年分の所得が長期譲渡所得金額であり、純損失金額が超短期所有の土地等に係る事業所得等の金額の計算上発生した損失部分の金額
※15、その年分の所得が山林所得金額であり、純損失金額が超短期所有の土地等に係る事業所得等の金額の計算上発生した損失部分の金額
※16、その年分の所得が退職所得金額であり、純損失金額が超短期所有の土地等に係る事業所得等の金額の計算上発生した損失部分の金額
※17、その年分の所得が短期譲渡所得金額であり、純損失金額が土地等に係る事業所得等の金額の計算上発生した損失部分の金額
※18、その年分の所得が長期譲渡所得金額であり、純損失金額が土地等に係る事業所得等の金額の計算上発生した損失部分の金額
※19、その年分の所得が山林所得金額であり、純損失金額が土地等に係る事業所得等の金額の計算上発生した損失部分の金額
※20、その年分の所得が退職所得金額であり、純損失金額が土地等に係る事業所得等の金額の計算上発生した損失部分の金額
※21、その年分の所得が総所得金額であり、純損失金額が短期譲渡所得金額の計算上発生した損失部分の金額
※22、その年分の所得が山林所得金額であり、純損失金額が短期譲渡所得金額の計算上発生した損失部分の金額
※23、その年分の所得が退職所得金額であり、純損失金額が短期譲渡所得金額の計算上発生した損失部分の金額
※24、その年分の所得が総所得金額であり、純損失金額が長期譲渡所得金額の計算上発生した損失部分の金額
※25、その年分の所得が山林所得金額であり、純損失金額が長期譲渡所得金額の計算上発生した損失部分の金額
※26、その年分の所得が退職所得金額であり、純損失金額が長期譲渡所得金額の計算上発生した損失部分の金額
※27、その年分の所得が総所得金額であり、純損失金額が山林所得金額の計算上発生した損失部分の金額
※28、その年分の所得が短期譲渡所得金額であり、純損失金額が山林所得金額の計算上発生した損失部分の金額
※29、その年分の所得が長期譲渡所得金額であり、純損失金額が山林所得金額の計算上発生した損失部分の金額
※30、その年分の所得が退職所得金額であり、純損失金額が山林所得金額の計算上発生した損失部分の金額

分離譲渡所得からの控除は、分離長期譲渡所得については 一般の土地等建物等→優良宅地の造成等のために譲渡した土地等→居住用財産にかかる長期譲渡所得の順に、また、分離短期譲渡所得については最低40%課税→最低20%課税の順に控除します。

(4) 雑損失金額の控除は、総所得金額→分離課税の短期譲渡所得金額(最低40%課税→最低20%課税の順に)→分離課税の長期譲渡所得(一般の土地建物等→優良住宅地の造成のために譲渡した土地等)→居住用財産にかかる長期譲渡所得の順に)→申告分離課税の株式等の譲渡所得等の金額→山林所得金額→退職所得金額の順に控除します。

 

265、損失の翌年への繰越と平成13年に生じた損失の繰越


損失の翌年への繰越と平成13年に生じた損失の繰越について説明してください。


繰越損失を控除してもなお平成13年分所得が赤字になる場合、その赤字金額を更に平成14年以降に繰越することができるようになっています。ただし、平成10年に生じた損失は平成13年限りで繰越は打ち切りです。よって、繰越はできないことになります。
平成13年に生じた損失の繰越は、損益通算の結果が赤字になった場合のその赤字金額(純損失金額)、雑損控除を合計所得金額から引ききれなかった場合の引ききれなかった部分の金額(繰越雑損失金額)は、下記の記載に応じた金額の範囲で平成14年以降に繰越することができます。
※ 青色申告者
♯、繰り越すことができる損失金額
♪1、雑損失金額
♪2、純損失金額(居住用財産の買い換え等の場合の譲渡損失金額を除きます)
※ 白色申告者
♯、繰り越すことができる損失金額
♪1、雑損失、
♪2、純損失金額のうち変動所得の損失と被災事業用資産の損失金額
♯、繰り越すための条件
申告書Bと損失用(青色申告者については、青色申告用)の用紙を確定申告期限内に提出することが条件です。

特定の居住用財産の買い換え等の場合の譲渡損失金額の繰越控除については、別の機会に掲載いたします。

 

266、被災事業用資産の損失


被災事業用資産の損失について説明してください。


被災事業用資産の損失は、下記のような資産について災害によって生じた損失を被災事業用資産の損失と言います。
(1) 棚卸資産(商品、製品、原材料、お米、麦、等の収穫物、貯蔵物の肥料、まだ収穫していない稲、麦、野菜も含まれます。)
(2) 山林
(3) 事業用固定資産(事業に使用している店舗、機械、車両、競走馬、等です。事業とよぶに至らない程度の業務に使用している固定資産の災害による損失は雑損控除の対象になります。)
損失の金額は、これらの資産を取得するために要した価値を基にして計算した金額に、これらの資産の取り壊しや除却のための費用、資産にかかる災害の拡大又は発生を防止するために緊急に必要な措置を行うための費用及び災害後1年以内に支出した修繕費などの現状回復の費用(これらを災害関連費用といいます。)を加え、保険金や損害賠償金などで補填された金額を差し引いて計算します。計算に際しての注意事項は、下記をご覧ください。
(1)棚卸資産(未収穫農作物を除きます。)の災害損失金額は、下記の区分によって、それぞれ下記の金額です。
♪1、滅失した棚卸資産〜〜災害直前に、評価可能な評価方法で評価したものとして計算した金額
♪2、価値が減少した棚卸資産〜〜♪1、によって計算した金額が、被災直後の処分可能価額を越えている場合のその超えている部分の金額
(2)未収穫農作物の災害損失金額は、その農作物にかかった種苗代、肥料代、人件費、等の費用合計額が収穫できた部分の農作物の収穫時における価額の合計額を超えている場合のその超えている部分の金額となります。
(3)事業用固定資産の災害損失金額は、事業所得金額の計算上必要経費となる資産損失の計算と同じ方法で計算した金額とのなります。
(4)災害の発生した年の翌年に支出した災害関連費用は、翌年の被災事業用資産の損失として取り扱われます。ただし、災害後1年を経過した後に支出した費用は災害事業用資産の損失には含まれません。
(5)災害関連費用には、上記のほか、下記のような費用も含まれます。
§1、災害により滅失した資産の登記、登録の抹消費用
§2、災害による建物などの倒壊で、第三者に損害を与えた場合や災害により事業に関連して保管していた第三者の物品に損害を与えた場合に支出した損害賠償金などで、故意に又は重過失に基づかないもの
§3、災害を受けたことにより自己の雇用する使用人を、専ら災害を受けた資産の取り壊しや除去又は現状回復等の作業に従事させたことによって支払った給料等
§4、災害を受けた賃借店舗等について支出した修繕費等で、家主に対して有益費の請求を行なわないもの
§5、災害により行方不明になった船舶、牛、馬、などの事業用資産の捜索費用

 

267、損失の繰り戻し(平成13年に生じた純損失の繰り戻し)


損失の繰り戻し(平成13年に生じた純損失の繰リ戻し)について説明してください。


損失の繰り戻しができるのは、青色申告者に与えられた特典です。青色申告者については、平成13年に発生した純損失金額を平成13年以降3年間に繰り越して控除することができます。平成12年分についても青色申告書を提出している場合には、その純損失金額の全部を又は一部を平成12年分の課税所得金額から控除した段階で平成12年分の所得税額を計算しなおして、その差額税額につて還付を受けることもできます。
この場合には、確定申告期限内に損失用と申告書Bを提出すると同時に、純損失の繰り戻しによる所得税の還付請求書を提出することが必要です。
この繰り戻しについては、上記の他に平成13年中に廃業、死亡などのため、平成12年分に生じた純損失金額を平成14年以降3年間に繰り越すことができなくなっても、平成11年分について青色申告書をて提出していたことがあきらかな場合、その平成12年分に生じた純損失金額を平成11年分に繰り戻すことができます。この場合の手続きも上記の場合と同じです。

 

268、損失の繰り戻し(前年分の所得金額からの損失控除の仕方)


損失の繰り戻し(前年分の所得金額からの損失控除の仕方)について説明してください。


損失の繰り戻し(前年分の所得金額からの損失控除の仕方)については、下記をご覧ください。
総所得金額の計算上の損失、分離課税の譲渡損失金額の計算上の損失、山林所得金額計算上の損失、退職所得金額の別に応じ、下記の順序で控除してゆきます。
♪1、その年分の前年分の所得の内容が総所得金額の場合であり、純損失金額の内容が、総所得金額計算上発生した損失の部分の金額
♪2、その年分の前年分の所得の内容が短期譲渡所得金額であり、純損失金額の内容が、短期譲渡所得金額の計算上発生した損失の部分の金額
♪3、その年分の前年分の所得の内容が長期譲渡所得金額であり、純損失金額の内容が、長期譲渡所得の金額の計算上発生した損失の部分の金額
♪4、その年分の前年分の所得の内容が山林所得金額であり、純損失金額の内容が、山林所得金額の計算上発生した損失の部分の金額
♪5、その年分の前年分の所得の内容が長期譲渡所得金額であり、純損失金額の内容が、短期譲渡所得金額の計算上発生した損失の部分の金額
♪6、その年分の前年分の所得の内容が短期譲渡所得金額であり、純損失金額の内容が、長期譲渡所得の金額の計算上発生した損失の部分の金額
♪7、その年分の前年分の所得の内容が短期譲渡所得金額であり、純損失金額の内容が、総所得金額計算上発生した損失の部分の金額
♪8、その年分の前年分の所得の内容が長期譲渡所得金額であり、純損失金額の内容が、総所得金額計算上発生した損失の部分の金額
♪9、その年分の前年分の所得の内容が山林所得金額であり、純損失金額の内容が、総所得金額計算上発生した損失の部分の金額
♪10、その年分の前年分の所得の内容が退職所得金額であり、純損失金額の内容が、総所得金額計算上発生した損失の部分の金額
♪11、その年分の前年分の所得の内容が総所得金額の場合であり、純損失金額の内容が、短期譲渡所得金額の計算上発生した損失の部分の金額
♪12、その年分の前年分の所得の内容が山林所得金額であり、純損失金額の内容が、短期譲渡所得金額の計算上発生した損失の部分の金額
♪13、その年分の前年分の所得の内容が退職所得金額であり、純損失金額の内容が、短期譲渡所得金額の計算上発生した損失の部分の金額
♪14、その年分の前年分の所得の内容が総所得金額の場合であり、純損失金額の内容が、長期譲渡所得の金額の計算上発生した損失の部分の金額
♪15、その年分の前年分の所得の内容が山林所得金額であり、純損失金額の内容が、長期譲渡所得の金額の計算上発生した損失の部分の金額
♪16、その年分の前年分の所得の内容が退職所得金額であり、純損失金額の内容が、長期譲渡所得の金額の計算上発生した損失の部分の金額
♪17、その年分の前年分の所得の内容が総所得金額の場合であり、純損失金額の内容が、山林所得金額の計算上発生した損失の部分の金額
♪18、その年分の前年分の所得の内容が短期譲渡所得金額であり、純損失金額の内容が、山林所得金額の計算上発生した損失の部分の金額
♪19、その年分の前年分の所得の内容が長期譲渡所得金額であり、純損失金額の内容が、山林所得金額の計算上発生した損失の部分の金額
♪20、その年分の前年分の所得の内容が退職所得金額であり、純損失金額の内容が、山林所得金額の計算上発生した損失の部分の金額

 

269、損失の繰り戻しによる還付金額


損失の繰り戻しによる還付金額について説明してください。


青色申告の特典として、下記の算式によって計算した金額に相当する所得税の額について還付を請求することができるようになっています。ただし、この金額が前年分の税額控除後の所得税の額を超えるときは、その所得税の額が還付される金額の限度となります。

前年分の税額控除前の所得税額 前年分の課税所得金額から純損失金額を控除した金額に前年分の税率を適用して算出した税額控除前の所得税額 所得税の還付限度額
前年分の税額控除後(定率減税後)の所得税額を限度とします。
♪1、平成12年分に発生した純損失金額を平成11年分に繰り戻す場合は、平成11年度改正後の新税率と定率減税を加味して行います。
♪2、純損失金額のうち、繰り戻すことができなかった(繰り戻さなかった)部分の金額は、翌年に繰り越すことができます。

 

270、特定の居住用財産の買い換え等の場合の譲渡損失の繰越控除の特例


特定の居住用財産の買い換え等の場合の譲渡損失の繰越控除の特例について説明してください。


個人が、平成10年1月1日から平成15年12月31日までの間に「譲渡資産」の譲渡(その個人の親族等に対する譲渡などの一定のものを除きます。)をした場合において、譲渡した年の前年の1月1日からその特定譲渡をした年の翌年12月31日までの間に「買換資産」(新たな居住用財産)の取得(建設を含みます。また、贈与による取得及び金銭債務の弁済に代えてする代物弁済としての取得は除かれます。)をし、かつ、その取得をした年の翌年12月31日までの間に居住の用に供したとき又は供する見込みであるときは、その特定譲渡をした年において生じた純損失の額のうち、その居住用財産の特定譲渡による譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額に係るものとして一定の方法により計算した金額(「特定居住用財産の譲渡損失の金額」といいます。)について、一定の要件によって、その年の翌年以後3年内の各年分の総所得金額等の計算上一定の方法により繰越控除する特例の適用を受けることができます。
この特例を受けるためには、居住用財産の譲渡の契約締結日の前日において、その売却する居住用財産に対し住宅借入金等があるなど一定の要件を満たしている必要があります。また、居住用財産の売却金額のうちに土地又は土地の上に存する権利(借地権等)の面積が500平方メートルを超えるものが含まれている場合、その土地又は土地の上に存する権利のうち500平方メートルを超える部分に相当する金額が除かれます。
特定の居住用財産の譲渡損失の金額が生じた年の翌年以後3年内の各年分のうち、合計所得金額が3,000万円を超える年分については、この特例の適用を受けることはできません。
下記のいずれかにあてはまる場合、この特例の適用を受けることはできません。

(♪1) この特例の適用を受けて繰越控除しようとする年又はその前年以前において、既に生じている他の特定居住用財産の譲渡損失の金額についてこの特例の適用を受ける場合又は受けている場合

(♪2) 譲渡資産の特定譲渡をした年の前年又は前々年において行った資産の譲渡について次の規定の適用を受けている場合
(1)居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の軽減税率の特例
(2)居住用財産の譲渡所得の3,000万円特別控除
(3)相続等により取得した居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例
(4)相続等により取得した居住用財産を交換した場合の長期譲渡所得の課税の特例
(5)特定の居住用財産の買換え等の場合の長期譲渡所得の課税の特例

(♪3) この特例の適用を受けることができる最初の年又はその翌年以後において、その適用に係る買換資産の取得(増改築等は含まれません。)について住宅借入金等特別控除の適用を受ける場合
(注)平成11年1月1日以後に譲渡をした住宅に係る譲渡損失については、この制度と住宅借入金等特別控除制度との併用が認められています。

 

271、特定の居住用財産の買い換え等の場合の譲渡損失の繰越控除の特例(特定譲渡)


特定の居住用財産の買い換え等の場合の譲渡損失の繰越控除の特例適用対象となる特定譲渡について説明してください。


特例の適用対象となる「特定譲渡」は、通常一般的な売却のほか、借地権の設定などの譲渡所得の基因となる不動産等の貸付けを含むものとされますが、その個人の親族等に対する譲渡及び贈与又は出資による譲渡は除かれます。
なお、その年中において特定譲渡が2以上ある場合には、確定申告書に添付する「居住用財産の譲渡損失の金額の計算に関する明細書」及び「翌年以後に繰り越される特定居住用財産の譲渡損失の金額の計算書」にいずれか一の特定譲渡を選定して記載することとされています。
(注)「親族等」とは、下記の記載に掲げる者をいいます。
1、 その個人の配偶者及び直系血族
2、 その個人の親族(1に該当する者を除きます。以下2において同じ。)でその個人と生計を一にしている者及びその個人の親族で譲渡資産である家屋の譲渡がされた後その個人とその家屋に居住をする者
3、 その個人とまだ婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者及びその者の親族でその者と生計を一にしている者
4、 1から3に該当する者及びその個人の使用人以外の者でその個人から受ける金銭その他の財産によって生計を維持している者及びその者の親族でその者と生計を一にしている者
5、 その個人、1及び2に該当する親族、その個人の使用人若しくはその使用人の親族でその使用人と生計を一にしている者又はその個人に係る3及び4に該当する者を判定の基礎となる株主等とした場合に同族関係その他これに準ずる関係のあることとなる会社その他の法人

 

272、特定の居住用財産の買い換え等の場合の譲渡損失の繰越控除の特例(譲渡資産の範囲)


特定の居住用財産の買い換え等の場合の譲渡損失の繰越控除の特例(譲渡資産の範囲)について説明してください。


譲渡資産の範囲で特例の適用対象となる「譲渡資産」とは、個人が有する家屋又は土地等(土地又は土地の上に存する権利をいいます。以下同じです。)でその年1月1日において所有期間が5年を超えるもののうち下記に掲げるものをいいます。
(♪1)
譲渡する個人が居住の用に供している家屋で国内にあるもの(居住の用に供している家屋を2以上有する場合には、主として居住の用に供している一の家屋に限ります。また、譲渡する家屋のうちに居住の用以外の用に供している部分がある場合、居住の用に供している部分に限ります。)
(♪2)
(♪1)の家屋でその個人の居住の用に供されなくなったもの(その個人の居住の用に供されなくなった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に譲渡されるものに限ります。)
(♪3)
(♪1)又は(♪2)の家屋及びその家屋の敷地の用に供されている土地等
(♪4)
譲渡する個人の(♪1)の家屋が災害により滅失した場合において、その個人がその家屋を引き続き所有していたならば、譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるその家屋の敷地の用に供されていた土地等(その災害があった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に譲渡されるものに限ります。)

 

273、特定の居住用財産の買い換え等の場合の譲渡損失の繰越控除の特例(買い換え資産の範囲)


特定の居住用財産の買い換え等の場合の譲渡損失の繰越控除の特例(買い換え資産の範囲)について説明してください。


特定の居住用財産の買い換え等の場合の譲渡損失の繰越控除の特例における買換資産の範囲で特例の適用対象となる「買換資産」とは、個人が居住の用に供する家屋で次に掲げるもの(居住の用に供する家屋を2以上有する場合には、これらの家屋のうちその者が主としてその居住の用に供すると認められる一の家屋に限リます。)又はその家屋の敷地の用に供する土地等で、国内にあるものをいいます。
(1)一棟の家屋の床面積のうちその個人が居住の用に供する部分の床面積が50平方メートル以上であるもの
(2)一棟の家屋のうち、独立部分を区分所有する場合には、その独立部分の床面積のうちその個人が居住の用に供する部分の床面積が50平方メートル以上であるもの

 

274、特定の居住用財産の買い換え等の場合の譲渡損失の繰越控除の特例(住宅借入金)


特定の居住用財産の買い換え等の場合の譲渡損失の繰越控除の特例における適用対象となる住宅借入金について説明してください。


特定の居住用財産の買い換え等の場合の譲渡損失の繰越控除の特例の対象となる住宅借入金は、次の3つの要件のすべてに当てはまる借入金又は債務(利息に対応するものを除きます。)です。
(1) 住宅の新築や取得又は住宅の敷地の用に供される土地等の取得をするために直接必要な借入金又は債務でなければなりません。
(2) 償還期間が10年以上の割賦償還の方法により返済されるもの又は割賦払いの期間が10年以上の割賦払いの方法により支払われるものであること。割賦償還又は割賦払いの方法とは、返済又は支払の期日が、月や年など1年以下の期間を単位として、おおむね規則的に定められている方法です。そして、それぞれの期日における返済額又は支払額が、あらかじめ具体的に定められていなければなりません。10年以上の期間とは、その住宅ローン等の最初の返済又は支払の時から返済が終了する時までの期間が、10年以上であることです。
(3) 一定の者からの借入金又は債務であること。
一定の者からの借入金又は債務とは、上記(1)に要する資金に充てるために、銀行、信用金庫、農業協同組合、住宅金融公庫、年金福祉事業団などから借り入れた借入金や給与所得者がその人の使用者から借り入れた借入金などで、上記(2)に該当するものをいいます。
対象となる住宅ローン等については、借入先等から「住宅借入金等の残高証明書」が交付されます。対象となる住宅ローン等かどうかは、この証明書の交付を受けれるかどうかで確認してください。

 

275、特定の居住用財産の買い換え等の場合の譲渡損失の繰越控除の特例(居住用財産の譲渡損失の金額)


特定の居住用財産の買い換え等の場合の譲渡損失の繰越控除の特例(居住用財産の譲渡損失の金額)について説明してください。


特定居住用財産の譲渡損失の金額は、特定損失の金額(特例の適用を受けようとする譲渡資産の特定譲渡による損失の金額をいいます。以下同じです。)のうち、下記に掲げる場合に応じ、それぞれに掲げる金額に達するまでの金額です。

(1) その特定損失の金額が生じた年分の所得税について青色申告書を提出する場合

(その年において生じた純損失の金額 )−{( 他の損失金額の合計額 )と(繰戻還付請求の対象とする金額 )とのいずれか多いほうの金額 } ( 赤字のきは0)

(2) その特定損失の金額が生じた年分の所得税について白色申告書を提出する場合

(その年において生じた純損失の金額)−{( 変動所得の損失額)+(被災事業用資産の損失額 )}( 赤字のときは0 )

※ 上記計算方法に掲げている「他の損失の金額」とは、その特定損失の金額が生じた年分の不動産所得の金額です。

事業所得の金額、山林所得の金額又はその年中にした譲渡資産以外の資産の譲渡による譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額をいいます。
また、この特例の適用を受ける場合の青色申告者の純損失の繰越控除については、繰戻還付請求の対象とした金額のほか、「居住用財産の譲渡損失に係る純損失の金額」をその年において生じた純損失の金額から除いて適用することと解されています。

(注)1 「居住用財産の譲渡損失に係る純損失の金額」とは、その年にした譲渡資産の譲渡による譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち、その年において生じた純損失の金額から次の(1)と(2)とのいずれか多い方の金額を控除した金額(赤字のときは0)に達するまでの金額です。
(1) 特定損失の金額
(2) 繰戻還付請求の対象とする金額
(注)2 青色申告者の純損失の繰戻しによる還付の請求については、純損失の繰越控除のような調整規定はありません。

 

276、特定の居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除の特例を受けるための手続等


 
特定の居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除の特例を受けるための手続等について説明してください。


特例の適用を受けるためには、特定居住用財産の譲渡損失の金額が生じた年分の所得税について、一定の書類の添付がある確定申告書をその提出期限までに提出した場合です。その後において連続して確定申告書を提出(期限申告に限りません。)し、かつ、その申告書に買換資産に係る住宅借入金等の残高証明書などの書類を添付する必要があります。
なお、添付しなければならない一定の書類とは、次に掲げるものです。
1 特定居住用財産の譲渡損失の金額が生じた年分
(1)「居住用財産の譲渡損失の金額の計算に関する明細書」及び「翌年以後に繰り越される特定居住用財産の譲渡損失の金額の計算書」
(2)譲渡資産に係る登記簿の謄本又は抄本、売買契約書その他これらに類する書類で、次のことを明らかにするもの
イ 譲渡資産の所有期間が5年を超えること
ロ 譲渡資産のうちに土地等が含まれている場合のその面積
(3)譲渡資産の所在地を管轄する市町村長等から交付を受けた住民票の写し(特定譲渡をした日から2か月を経過した日後に交付を受けたものに限ります。)、戸籍の附票の写しその他これらに類する書類で、特定譲渡をした者が譲渡資産を居住の用に供していたことを明らかにするもの
(4)特定譲渡に係る契約締結日の前日(特定譲渡の日前に買換資産の取得をした場合には、特定譲渡に係る契約締結日の属する月の6か月前の月の最初の日)における譲渡資産に係る住宅借入金等の残高証明書
(5)買換資産に係る登記簿の謄本又は抄本、売買契約書その他の書類で、次のことを明らかにするもの
イ 買換資産を取得したこと
ロ 買換資産の取得をした年月日
ハ 買換資産に係る家屋の床面積のうち居住の用に供する部分の床面積が50平方メートル以上であること
(6)買換資産の所在地を管轄する市町村長等から交付を受けた住民票の写し

2 特定居住用財産の譲渡損失の金額が生じた年分以後の年分
(1)特例の適用を受けようとする各年の12月31日(その者が死亡した日の属する年にあっては、その死亡した日)における買換資産に係る住宅借入金等の残高証明書
(2)繰越控除する金額及びその金額の計算の基礎その他参考となるべき事項を記載した明細書
(注)(1)の「住宅借入金等の残高証明書」については、住宅借入金(取得)等特別控除の適用を受けるための「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」で代用することができます。

 

277、特定の居住用財産の買い換え等の場合の譲渡損失の繰越控除の特例(翌年に以後に繰越控除するとき)


特定の居住用財産の買い換え等の場合の譲渡損失の繰越控除の特例(翌年に以後に繰越控除するとき)について説明してください。


損益通算及び繰越控除の適用は次のように行うことになっています。

 1 まず、その年分の損益通算による控除及び純損失の繰越控除を行います。

   繰越控除は、最も古い年分に生じた純損失の金額から順次控除します。

 2 次に、この特例の繰越控除を次の所得金額から順次控除します。

  (1)分離長期譲渡所得の金額

  (2)分離短期譲渡所得の金額

  (3)総所得金額

  (4)土地等に係る事業所得等の金額

  (5)山林所得金額

  (6)退職所得金額

 3 最後に、雑損失の繰越控除を行います(繰越控除は、最も古い年分に生じた雑損失の金額から順次控除します。)。

 

278、所得から差し引かれる金額(雑損控除)


雑損控除として控除される額について説明してください。


雑損控除は、災害、盗難又は横領によって生活用資産などに損害を受けたときは、下記の計算式によって計算された金額を所得から差し引くことができます。

差引損失額−総所得金額等の合計額の10%相当額=控除額 どちらか多い方の金額が雑損控除額
差引損失額のうち災害関連支出の金額−5万円=控除額

(注1) 差引損失額とは、損害金額から保険金等で補填される金額を差引した金額をいいます。
保険金等で補填される金額は、損失を受けた後で、保険会社や加害者から保険金や損害賠償金を受けた場合はもちろん、損害保険契約や火災共済契約に基づく見舞金、任意の相互組織から受けた災害見舞金なども損害金額から控除します。
雑損控除をした後で、盗難品の返還を受けたり、保険金などを受け取ったような場合、さかのぼって雑損控除額を訂正する修正申告を行います。
(注2) 災害関連支出とは、下記の♪1〜♪3の支出をいいます。
♪1、 災害により住宅家財等が滅失、損壊又は価値が減少したことによるその住宅家財等の取り壊し又は除去のための支出その他災害に付随する支出
♪2、 災害により住宅家財等が損壊又は価値が減少し又は使用することが困難となった部分において、災害後1年以内にした下記の支出
(1) 災害により発生した土砂その他の障害物の除去のための支出
(2) その住宅家財等の原状回復のための支出(住宅家財等の損失に相当する部分の支出を除いた金額。)
(3) その住宅家財等の損壊又は価値の減少の防止のための支出
♪3、 災害により住宅家財等につき現に被害が生じ、又はまさに被害が生ずるおそれがあると見込まれる場合において、その住宅家財等に係る被害の拡大又は発生を防止するため緊急に必要な措置をするための支出

※ 盗難又は横領による損失が生じた住宅家財等の原状回復のための支出その他これに類する支出(住宅家財等の損失額に相当する部分の支出を除きます。)

これらの災害等に関連して支出した費用は、現実にその支出をした年分の雑損控除とすべきものですが、災害などのあった年の翌年3月15日の確定申告期限までに支出した費用の金額は、その災害などのあった年分の損害金額に含めることができます。

 

279、所得から差し引かれる金額{雑損控除(損害の原因、損害を受けた資産の種類、家族の所有する資産に損害を受けた場合)


所得から差し引かれる金額{雑損控除(損害の原因、損害を受けた資産の種類、家族の所有する資産に損害を受けた場合)}について説明してください。


所得から差し引かれる雑損控除の損害の原因は、下記のようなものに限られます。
♪1、災害〜〜〜震災、風水害、冷害、雪害、干害、落雷、噴火、その他の自然現象の異変による災害及び火災、鉱害、火薬類の爆発などの人為による異常な災害又は害虫、害獣、その他の生物による異常な災害のような自己の意思によらない不可抗力によって受けた災害をいいます。
♪2、盗難又は横領〜〜〜盗難又は横領による損失には詐欺又は脅迫による損失は含まれません。

損害を受けた資産の種類については、下記をご覧ください。
雑損控除は、日常生活上必要な住宅、家具、衣類、現金などの資産について受けた損害についてだけ認められます。
下記の資産について受けた損害は、認められません。
(1) 棚卸資産
(2) 事業用に供される固定資産及び繰延資産
(3) 山林
(4) 生活に通常必要でない資産(競走馬、(事業の用に供される競走馬を除きます。)、書画、骨董、貴石、貴金属で1組又は1個お価額が30万円を超えるもの、別荘等、)

家族の所有する資産に損害を受けた場合については下記をご覧ください。
自己の所有する資産だけでなく、自己と生計を一つにする配偶者その他の親族で、その年の合計所得金額が38万円以下の人が所有する資産について受けた損害であっても雑損控除が適用されます。
これらの親族と生計を一つにする納税者が2人以上あるときは、下記の場合に応じてそれぞれ下記の納税者の親族として雑損控除をすることになります。
(1) その親族が控除対象配偶者または扶養親族に当たる場合は、 自己の控除対象配偶者または扶養親族としている納税者の親族とします。
(2) その親族が、控除対象配偶者又は扶養親族に当たらない場合
♪1、 その親族が配偶者の場合は、 その夫又は妻である納税者の親族とします。
♪2、 その親族が配偶者以外の親族の場合は、 総所得金額等の合計額が最も大きい納税者の親族とします。

 

280、所得から差し引かれる金額{雑損控除(雑損失の繰越控除、申請手続き)


所得から差し引かれる金額{雑損控除(雑損失の繰越控除、申請手続き)について説明してください。


雑損控除の金額は、その年分の総所得金額等の合計額から分離課税の譲渡所得にかかる特別控除額を差し引いた残額を超える場合、その超える部分の金額を繰り越して、その翌年以降3年間の各年分の所得金額から順次差し引くことができます。この場合、損失用申告書を作成して期限内に提出することが必要です。
また、この手続(控除)きを受けるためには、災害を受けた資産の証明書(税務署に用意されています。)を確定申告書に添付することが義務付けられています。
損失金額のうち災害等に関連する支出の金額がある場合、その支出金額を領収した人のその領収証を確定申告書に添付するか確定申告時に提示することになっています。
災害による損害については、この控除に代えて災害減免法による所得税の軽減免除を受けられる場合もあります。災害減免額については、別の機会に掲載させて頂きます。

 

281、所得から差し引かれる金額(医療費控除)


所得から差し引かれる金額(医療費控除)の計算と控除額について説明してください。


自己又は自己と生計を一つにする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合、下記の算式により計算した金額を医療費控除として所得から差し引きすることができるようになっています。

その年中に支払った医療費の総額 保険で補填される金額 10万円と(※)とのいずれか少ないほうの金額 医療費控除額

(※)その年分の総所得金額等の合計額の5%相当額

(注) 医療費の総額は、消費税込みの金額です。

上記算式によって計算した金額が200万円より多くなる場合は、200万円までが控除限度額となります。

 

282、所得から差し引かれる金額(医療費控除の範囲)


所得から差し引かれる金額(医療費控除の範囲)について説明してください。


医療費控除の対象となる医療費とは、下記のうち、その病状や介護サービスの提供の状況に応じて一般的に支出される水準を著しく超えないものをいいます。
(1) 医師、歯科医師に支払った診療費、治療費
(2) 治療、療養のために必要な医薬品の購入費
(3) 病院、診療所(指定介護老人福祉施設を含みます。)や助産所へ支払った入院費、入所費
(4) 治療のために、あんま、マッサージ、指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師に支払った施術費
(5) 保健婦、看護婦、又は准看護婦に療養上の世話を受けた費用及び療養上の世話を受けるために特に依頼した人に支払った療養上の世話の費用
(6) 助産婦による分娩の介助を受けた費用
(7) 下記のような費用で、医師等による診療や治療などを受けるために直接必要なもの
♪1、 通院費用、入院の部屋代、食事代、医療用器具の購入代や賃借料の費用で通常必要なもの
♪2、 義手、義足、松葉杖、補聴器などの購入費用
♪3、 身体障害者福祉法、知的障害者福祉法などの規定により都道府県や市町村に納付する費用のうち、医師などの診療などの費用は、♪1、♪2の費用に当たるもの
(注1) 下記のいずれの条件をも満たす人に対して治療を行っている医師が記載した「おむつ証明書」を発行した場合、おむつ購入費用(又は賃借り料)は医療費控除の対象として取り扱われます。
♪1、傷病により概ね6か月以上わたり寝たきり状態にあると認められる者
♪2、その傷病について医師による治療を継続して行う必要があり、おむつの使用が必要と認められる者
(注2) 人工肛門のストマ(排泄孔)又は尿路変更のストマを持つ者の治療上、適切なストマ用装具を消耗品として使用することが必要不可欠であると医師が認めストマ用装具使用証明書を発行した場合には、ストマ用装具に係る費用は医療費控除の対象として取り扱われます。
(注3) 厚生大臣が認定した温泉利用型健康増進施設の利用料金で、医師が治療のために温泉療養を行わせたとして「温泉療養証明書」を発行した場合には、温泉利用型健康増進施設の利用料金は、医療費控除の対象として取り扱われます。
(注4) 厚生大臣が認定し厚生省が指定した指定運動療法施設の利用料金は医療費控除の対象として取り扱われます。

 

283、所得から差し引かれる金額{医療費控除(介護保険サービース費用の取扱)


所得から差し引かれる金額{医療費控除(介護保険サービース費用の取扱)について説明してください。


医療費控除の対象になる費用の額については、下記をご覧ください。
(1) 指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の施設サービス
要介護度1〜5の認定を受け指定介護老人福祉施設に入所する人の介護費と食費の自己負担の2分の1相当額(指定介護老人福祉施設利用等領収証)を確定申告書に添付又は提示します。
(注) 要介護者が介護老人福祉施設及び指定介護療養型医療施設において受けた施設サービスの自己負担額は、従来どおり医療費控除の対象になります。
(2) 居宅サービース
居宅サービス計画に基づいて、医療系の居宅サービス(訪問看護、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション、短期入所療養介護又は居宅療養管理指導)と併せて利用する下記の♪1から♪4の居宅サービスの自己負担額
♪1 訪問介護(家事援助中心型を除きます。)
♪2 訪問入浴介護
♪3 通所介護
♪4 短期入所生活介護
(居宅サービス利用料領収書)などの一定の領収証を確定申告書に添付又は提示します。
(注) 上記の医療系の居宅サービスの自己負担額は、従来どおり医療費控除の対象になります。

 

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