3.所得の付随収入
商品の売上高、販売手数料、請負収入などは、所得の収入金額になることはわかりますが、事業を経営している場合の事業の遂行に付随して生じる次のような取引も所得の収入金額とされますか。
@ 隣接のビル工事のため1か月間休業しましたが、工事主からこの間の収益補償金や使用人の人件費・支払家賃相当額の経費補償金及び建物の破損に対する損害補償金を受け取りました。
A 取引先から一定の取引額があったのでハワイ旅行に招待され、参加することになって20万円相当の経済的利益を受けました。
所得の収入金額には、商品の売上高、販売手数料、請負収入等が収入となることは当然ですが、次のものも、所得の計算上総収入金額に算入されます。
(1)事業の遂行に付随して生じた次のような収入
T.事業の遂行上取引先または使用人に対して貸し付けた貸付金の利子
U.事業用資産の購入に伴って景品として受ける金品
V.新聞販売店の折込広告収入、浴場・飲食店等の広告掲示収入
W.医師または歯科医師が、地方公共団体等の開設する救急センター、病院等以外において休日、祭日または夜間に診療等を行うことにより 地方公共団体等から支給を受ける委嘱料等
X.事業用固定資産に係る固定資産税の前納報奨金
(2)次に掲げる資産の売却収入
T.事業の用に供される減価償却資産で、耐用年数が1年未満のものまたは取得価格が20万円未満のもので、その取得価格を事業の用に供した年分(年度)で必要経費に算入したその物件を売却した場合の収入
U.貸衣装業の貸衣装、養鶏業の採卵用の鶏、パチンコ業のパチンコ台のように事業の用に供された固定資産を反復継続して売却することがその性質上通常である場合のその固定資産の売却による収入
(3)事業の遂行により生ずべき所得の収入金額に変わる性質を有する次に掲げるもの
T.棚卸資産などの損失により受けた保険金、損害補償金、見舞金その他これらに類するもの
U.その事業の全部または一部の休止、転換または廃止その他の事由によりその事業の収益または経費の補償として取得する補償金その他これに類するもの
したがって、質問@の休業期間中の営業収益補償金や雇入費・家賃相当額の経費補償金は、所得の総収入金額に算入されます。また反面、休業期間中でも支払った人件費や支払家賃は必要経費になります。
なお、家屋の破損に対する損害補償金や心身の障害に対する補償金は、課税されません。当然、所得の計算上も収入金額に算入する必要はありません。
質問Aの招待旅行は取引の実績に対して行われたものであり、事業遂行に関連があり、その経済的利益に相当する金額は、本来上記(1)のUに該当し所得の総収入金額に算入すべきものと考えられます。しかし、不参加者の側に、その利益に関し、金銭上の請求権が生じない場合には、その利益相当分は自由な処分を持っていませんので、しいて現在では課税しない取扱いがされているようです。
ただし、不参加者に金銭等を交付したり、旅行クーポンの転売が可能であるような事実がある場合には、その金銭換算額をもって、参加者にも課税ますので注意して下さい。
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