実務Q&A

4.日焼けした棚卸資産

【問】
洋品雑貨業を営んでいますが、ショーウインドウに陳列した商品が日焼けして年末に売残りました。これは仕入原価以下でないと売れませんが、この年度の所得の損失になりませんか。

【答】
棚卸資産は、その価格が単に物価の変動、過剰生産、流行遅れなどの事情によって低下しただけでは、損失の見積もりであるに過ぎないので、棚卸資産の評価損の計上は認められていません。
しかし、例外として次のような事実が発生したときは、その事実が生じた日を含む年末(期末)の時価を取得価格に置き換えて棚卸資産を評価計上することができます。
@ 棚卸資産が災害により著しく損傷したこと。
これは、風水害、火災等の災害により販売商品が被害を受けた場合です。
A 棚卸資産が著しく陳腐化したこと。
この「著しい陳腐化」とは、棚卸資産の物質的な欠陥がないにもかかわらず経済的な環境の変化に伴ってその価値が著しく減少し、その価値が今後も回復しないと認められる次のような状態にあることをいいます。
T.いわゆる季節商品で売れ残ったものについては、今後これまでの価値では売れないことが過去の販売実績などに照らして明らかであること。
U.その商品の用途の面でおおむね同様のものであっても型式、性能、品質等が著しく異なる新製品が発売されたことにより、その商品につき通常の方法により販売することができなくなったこと。
(注)単に機種のモデルチェンジのみでは該当しません。
B @またはAに準ずる特別の事実があること。
この「特別な事実」とは、たなざらしとか、破損、キズ、型崩れなどを言います。
質問の日焼け商品は、上記Bのたなざらし品に該当すると考えられます。従って、日焼けした棚卸資産の取得価格を時価に評価換えして計上することにより評価損に相当する金額が自動的に売上原価に反映し、最終的に必要経費に算入されたことになります。

 

 

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