実務Q&A

9.中小企業者の機械の特別償却

(問)
私は、機械部品の製造業者で青色申告をしています。平成11年に購入した旋盤(取得価格290万円)については、特別償却ができると聞きました。この中小企業者の機械の特別償却の制度はどんなものに適用されるのでしょうか。また、この特別償却費の不足額は翌年分へ繰越せますか。

(A)
中小企業者が機械を取得した場合の特別償却は、下記に示すすべての条件に該当する場合に適用されます。

個人事業者の場合
@従業員が1,000人以下の青色申告者であること

A新品の機械及び装置で、1台又は1基の取得(又は製作)価格が230万円以上のもの

Bその営む事業が、製造業、建設業、農林漁業、水産養殖業、鉱業、卸売業、道路貨物運送業、港湾運送業、倉庫業、ガス業、小売業、一定の飲食業、サービス業、梱包業であること

Cその取得した年においてBの事業に使用すること

D特定設備等の特別償却等の他の特別償却の適用を受けていないこと
以上に該当する場合は、所得の金額の計算上、普通償却に加算して、初年度に取得価格(一定の船舶については取得価格の100分の75相当額)に100分の30を乗じて計算した金額以下の金額を加算して平成11年の減価償却費とすることができる。
なお、普通償却は強制償却ですから普通償却額に相当する金額を下回ることはできませんが、この特別償却額は特別償却限度額を下回る金額を特別償却費として必要経費に算入した場合には、その特別償却不足額は、翌年(平成12年)に繰越すことができます。

法人の事業者の場合
@中小企業者などが、新品の機械及び装置を取得し、製造業、建設業などの指定事業に使用した場合に、特別償却の特例が適用されます。

Aこの特例対象法人は、青色申告法人である中小企業者又は農業協同組合等に限られます。

B資本等の金額が1億円以下の法人又は資本等がない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人。ただし、資本等の金額が1億円以下であっても、大企業の子会社などは、除外されます。

C1台又は1基の取得価格が230万円以上のもの

Dこれらの機械装置を貸し付けた場合は対象外です。ただし、法人が下請先に貸与した場合で、これらの機械装置が専らその法人の製品加工などに使用されるときは、特別償却ができます。
その取得価格の11%相当額の特別償却限度額を普通償却額に加算して減価償却費として必要経費に算入できます。

E租税特別措置法上の圧縮記帳、他の特別償却との重複適用は認められていません。

Fこの特例の適用のためには、確定申告書にこの計算に関する明細書を添付します。

Gこの特例を受けることに代えて、特別償却限度額以下の金額を損金経理により特別償却準備金として積み立てること、また、確定した決算において利益処分により積立金として積み立てることにより、損金に算入することも認められています。

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