11.支払った借り店舗の権利金
「問」
衣料品雑貨の店舗を開業するために、ビルの一室を借りました。契約月7月、権利金100万円、敷金300万円(立ち退く際にはその敷金の20%は返還されない)、契約期間は5年ごとに更新、ということになっています。また、別個に仲介手数料を20万円支払いました。こんな場合の経理処理はどのようになりますか。
(答)
建物を賃借りするのに支払った権利金、立ち退き料その他の費用は、繰延資産として取扱いをします。その費用の支出した効果が及ぶ期間によって繰延資産の償却をし、その償却費を必要経費に損金算入します。
繰延資産となる建物を賃借りするために支出する費用には、賃借りにあったって支出する仲介手数料を除く一切の費用を含みますから、ご質問の場合の権利金100万円、敷金のうち退去時に返還されない300万円の20%額60万円の合計160万円が繰延資産となり、償却の基になる金額です。
(注1):仲介手数料20万円は全額本年の必要経費です。
(注2):敷金のうち返還されない額が1年以内に退去するときは20%、1年を超える年内のときは15%、2年を超えるときは10%というような契約の場合、最小限返還されない部分の金額を権利金として取り扱います。
権利金などの償却期間は下記のとおりです。
A:建物の新築に際しその所有者に支払った権利金などで、その権利金などの金額が賃借り建物の賃借り部分の建設費の大部分に相当し、そして、実際上その建物の存続期間中賃借りできる状況にあると認められる場合・・・・・・その建物の耐用年数の70%
B:建物の賃借りに際して支払った(A)以外の権利金で、契約、習慣等によってその明渡しに際して、借り手の権利として転売できる場合・・・・・・その建物の賃借り後の見積耐用年数の70%
C: その他の場合・・・・・・5年(契約期間が5年未満で、契約の更新の際に再度、権利金等の支払が必要なときは、その賃借り期間)
よって、ご質問の場合の本年(初年度)の償却費の金額の計算は下記のとおりです。
(繰延資産の金額) |
X |
6 (本年7月から12月までの月数) |
=16万円(償却費)
|
160万円 |
60 (5年間の月数) |
実務Q&A