実務Q&A

割引手形、裏書譲渡手形に対する貸倒引当金設定の可否

 
私は、青色申告業者です。ここ数年来、売掛金や受取手形が増え、その貸倒れ発生の可能性も増大してきたので、本年からこれらの売掛金や受取手形について貸倒引当金を設けたいと思っています。こんな場合、受取手形を割り引いたり、裏書譲渡した場合でも貸倒引当金の設定をすることができますか。

 
事業を経営する青色申告業者が、その事業の遂行上生じた売掛金、受取手形、貸付金、その他これらに準ずる債権(その債権に係る債務者から受け入れた金額があるため、実質的に債権と認められないもや保証金、手付金、前渡金、一時的な仮払金、立替金等の債権は除かれる)について貸倒引当金を設けた場合、その貸倒引当金額は必要経費に損金算入できます。
この場合、売掛金、貸付金などの債権の代わりに得た(取得した)受取手形を買掛金の支払にまわしたり、割引のために裏書譲渡した場合には、その受取手形にかかる売掛金や貸付金などについても貸倒引当金の設定の対象となる貸金に該当するものとして、貸倒引当金を設けることができます。
これは、割引手形等が、期日に決済されるまでは、通常売掛債権等がなお存在するということと、手形の流通状況の現状からみてなお不渡りなどの事故が多く、偶発債務の履行を割引先から要求されることが多いという実情によって設けられたものです。
しかし、金融業者が、貸付金などの既存の債権と関係のない手形を取得し、これを所持している間は手形債権として貸金に該当しますが、この手形を裏書譲渡したときは、その時点で手形債権は消滅し、貸金に該当しなくなります。
貸倒引当金の設定対象となる貸金は、債務者から受け取った金額と相殺できるような債権および債務者と相互に融資している場合等のその債務者から受け入れた金額については、それらの金額を債権から除外します。融通手形は、貸倒引当金の対象となる貸金に該当しません。

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