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簿記学習
売掛金と買掛金の処理
売掛金勘定
得意先に商品を売り、代金を後日受取る約束で取引を行うことを掛売りといいます。そして、これらを売掛金勘定で処理します。売掛金としてこの勘定で処理するものは、商品の売り渡しに関する取引に限定します。売掛金勘定は、借方に掛売額を記入、貸方に掛売代金の回収額を記入します。ほかに、発送費など、当方負担以外の立替額は借方に記入、値引高、戻り高、貸倒れによる回収不能額は、貸方に記入します。
売 掛 金 |
(借方)
1. 掛売代金の金額
2. 発送費などの立替金額
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(貸方)
1. 売掛金の回収額
2. 掛売の戻り高
3. 掛売代金の値引高
4. 貸倒れ発生額(回収不能額) |
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a |
買 掛 金 |
(借方)
1. 買掛代金の支払額
2. 掛仕入商品の戻し高
3. 買掛代金の値引高 |
(貸方)
1. 買掛代金の額
2. 当店が負担すべき運賃など先方の立替額
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買掛金勘定
商品を掛で仕入れた場合の債務を処理する勘定を買掛金勘定(負債の勘定)といいます。商品代金を後払いで支払う約束で仕入れることであり、商品取引だけに限定される。買掛金勘定は、掛買い額を貸方に記入、その代金の決済額を借方に記入します。
当店などで負担すべき運賃など先方が一時立て替えてくれた場合の金額は貸方に記入、掛買い品の戻し高や値引を受けた場合の金額は借方に記入します。
運賃については、売上の場合は発送費勘定で処理し、仕入の場合はその引取運賃を仕入勘定に含めるから、運賃の負担が先方か当方(当店)のいずれかに限って加算される。
【例】
1.先に得意先KK商会に対して掛売した商品のうち¥20,000破損のため返品された。
2.KY商店に商品¥290,000を売り渡し、代金は掛とした。なお、この商品の発送運賃(先方負担)¥6,000を現金で支払った。
3.SB商会から商品¥230,000を仕入れ、代金は掛とした。なお、引取費¥5,000を現金で支払った。
4.SB商会から仕入れた上記商品のうち、品違いのため¥20,000を返品した。 |
(仕訳) |
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(借方) |
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(貸方) |
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1 |
売上 |
20,000 |
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売掛金 |
20,000 |
2 |
売掛金 |
296,000 |
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売上 |
290,000 |
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現金 |
6,000 |
3 |
仕入 |
235,000 |
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買掛金 |
230,000 |
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現金 |
5,000 |
4 |
買掛金 |
20,000 |
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仕入 |
20,000 |
●参考
1.掛売した商品が返品されてきたときは、商品を掛売した時の仕訳の逆の仕訳をする。
掛売した時 |
(借方)売掛金 |
○○○ |
(貸方)売上 |
○○○ |
返品された時 |
(借方)売上 |
○○○ |
(貸方)売掛金 |
○○○ |
2.商品の掛売と発送費に関する取引です。発送費は売り手が負担するのが普通で、発送費勘定を設けて処理する。しかし、この取引は、買い手負担です。発送費勘定への記入は、発生しない。代金を立て替えて支払うため売掛金に加算して、後日受取る仕訳となります。
3.商品の仕入と仕入れ諸掛に関する取引です。商品の仕入れに伴う費用(引取費、保険料等)は仕入の金額(値段)に含まれるから仕入勘定で処理します。
4.掛買いした商品を返品した場合、掛買いした時の仕訳の逆の仕訳をする。
掛買いした時 |
(借方)仕入 |
○○○ |
(貸方)買掛金 |
○○○ |
返品時 |
(借方)買掛金 |
○○ |
(貸方)仕入 |
○○ |
得意先や仕入先が多い場合、売掛金勘定や買掛金勘定で得意先や仕入先ごとの明細を把握するのは大変です。そこで、得意先や仕入先の社名や商号を勘定科目とする人名勘定を利用します。記入方法は、売掛金勘定、買掛金勘定と同じです。
仕訳例
(借方) |
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(貸方) |
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1 |
売上 |
20,000 |
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KK商会 |
20,000 |
2 |
KY商店 |
296,000 |
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売上 |
290,000 |
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現金 |
6,000 |
3 |
SB商会 |
235,000 |
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買掛金 |
230,000 |
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現金 |
5,000 |
4 |
買掛金 |
20,000 |
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SB商会 |
20,000 |
【問題】
次の取引の仕訳をしてください。
取 引 解答例 |
1 |
OY商店に商品を売り渡し、代金¥400,000のうち¥200,000は同店振り出しの小切手で受け取り、残額は掛とした |
2 |
先にHS商店から掛け買いの商品のうち、不良品のため¥40,000を返品した |
3 |
商品を得意先KT商店に売り渡し、この代金¥250,000は掛とした。なお、この商品の発送運賃(先方負担)¥5,000は現金で支払った。 |
貸倒れによる売掛金勘定と貸倒引当金勘定の処理
得意先が倒産したら、売掛金のほとんどが回収不能となります。売掛金、受取手形、未収金、貸付金、その他の債権が必ず回収できるとはかぎりません。債権が相手方の倒産などの理由で回収不能となった状態を、貸倒れといいます。
売掛金が貸倒れとなった場合、貸倒れとなった金額を売掛金勘定の貸方の記入して売掛金を減少し、貸倒償却(費用の勘定)という勘定を設定して貸倒れた金額を借方に記入します。しかし、貸倒れは当期の会計期間内に発生するだけでなく、次の会計期間に貸倒れることもありえます。だから、売掛金勘定から貸倒れの予想する全額を直接差し引くことはしないで、別に貸倒引当金勘定を設定してその貸方に貸倒れの予想額を記入しておきます。次の会計期間になってから、実際貸倒れが発生したとき貸倒引当金の借方と売掛金勘定の貸方に記入して相殺します。貸倒れを見積もるときは貸倒償却勘定と貸倒引当金勘定で仕訳を行います。
【例】
1.KN商店は決算にあたり、売掛金残高¥600,000に対して5%の貸倒れを見積もった。
2.決算日から1か月後上記KN商店の売掛金¥25,000が貸倒れとなった。
3.GG商店に対する売掛金残高¥80,000倒産のため回収不能となった。ただし、貸倒引当金の残高は¥70,000である。 |
(仕訳)
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(借方) |
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(貸方) |
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1 |
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貸倒償却 |
30,000 |
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貸倒引当金 |
30,000 |
2 |
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貸倒引当金 |
25,000 |
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売掛金 |
25,000 |
3 |
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貸倒引当金 |
70,000 |
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売掛金 |
80,000 |
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貸倒償却 |
10,000 |
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●参考
1.期末の売掛金残高のうち、次期に貸倒れとなることが予想される場合、予想される将来の貸倒れに備えて貸倒れを見積計上しておく。決算日に貸倒れ予想額(¥600,000×0,05を当期の費用として貸倒償却勘定の借方に記入し、決算日の時点ではまだ実際に貸倒れが発生していないので貸倒引当金勘定の貸方に記入します。
2.実際に貸倒れが発生した場合は、売掛金が減少したことになるから、売掛金勘定の貸方に記入し、1で見積計上した貸倒引当金勘定から同額を差し引く(借方に同額を記入)
3.貸倒れを予想したが、その予想を超えて貸倒れが発生した例です。貸倒引当金設定額¥70,000を借方に記入し減少させる。差引き超過額¥10,000は、費用の発生ですから、貸倒償却勘定の借方に直接記入します。
差額補充法:
決算時に、貸倒引当金勘定に残高がある場合、当期の貸倒見込み額から貸倒引当金勘定の残高を引いた差額を追加計上する方法です。この方法は、3級で取り扱われる。
【例】
12月31日 決算に際し、売掛金残高¥450,000に対し、4%の貸倒れ予想率を見積もり、貸倒引当金勘定に計上した。ただし、貸倒引当金残高が¥3,000ある。 |
(仕訳) |
(借方) 貸倒償却 15,000 (貸方) 貸倒引当金 15,000 |
貸倒れ見積もり額----¥450,000×0,04=¥18,000
当期貸倒償却額-----¥18,000−¥3,000=¥15,000
(借方) |
貸倒償却 |
(貸方) |
(借方) |
貸倒引当金 |
(貸方) |
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次期繰越額
¥18,000 |
期末残高
¥3,000 |
補充額
¥15,000 |
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【問題】
次の連続した取引の仕訳をしてください。
取 引 解答例 |
1 |
7月10日 前期から繰越された売掛金のうち、¥300,000が回収不能となった。ただし、貸倒引当金勘定の残高は¥330,000である。 |
2 |
9月30日 決算にあたり、売掛金残高¥800,0000に対して5%の貸倒れを見積もった(差額補充法で行うこと) |
3 |
12月15日 前期から繰越された売掛金のうち、¥50,000が貸倒れた。 |
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