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仮払金勘定と仮受金勘定

現金の受け渡しがありましたが、記入する相手勘定が明確でないときや、相手勘定は判るがその金額が最終的にいくらになるのか不明確な場合に一時的に用いられる勘定です。記帳後に、金額や勘定科目が確定した時点で、それぞれの勘定科目に振り替え処理します。例えば、旅費の前渡金は、科目や金額が確定していないので、前渡(仮払い)した時点で仮払金勘定の借方に記入し、清算時にその貸方に記入する。また、出張している社員から売掛代金の一部と思われるが、小切手が送付されてきたが、当店のどの得意先の回収なのか不明の場合がある。このような場合に仮受金勘定の貸方に記入して処理しておきます。後日、勘定科目が明らかになれば仮受金勘定の借方に記入し減少(消滅)させます。

(借方)

仮  払  金

(貸方)

概算で支払った金額
または仮払いの金額

(発生)

 

勘定科目、金額が確定し
その振り替え金額

(減少、消滅)

(借方)

仮  受  金

(貸方)

勘定科目、金額が確定し
その振り替え額

(減少、消滅)

勘定科目不明の受入金額
仮受の金額

(発生)

【例】

1.従業員の出張に際し、旅費を概算で現金¥100,000を支払った。

2.出張していた従業員が帰着し、旅費概算¥100,000を下記のように清算し、残額は受け取った。

旅費 ¥90,000 通信費 ¥5,000 

3.上記出張中の従業員から内容不明の送金小切手¥200,000の送金を受けた。

4.出張中の従業員から¥450,000の当座振込があったが、その内容は不明である。

5.従業員が帰店し、上記の送金小切手は、¥200,000は¥140,000は東京商店の売掛金回収で、¥60,000は、商品注文代金の内金である旨の報告を受けた。

(仕訳)

1

(借)

仮払金

100,000

(貸) 現金

100,000

2

旅費

90,000

仮払金

100,000

通信費

5,000

現金

5,000

3

現金

200,000

仮受金

200,000

4

当座預金

450,000

仮受金

450,000

5

仮受金

200,000

売掛金

140,000

前受金

60,000

●参考
1.従業員の出張に際し概算で費用を前渡した仕訳です。金額や、相手勘定科目が未確定ですので仮払金勘定の借方にし、費用清算の時点で貸方に記入し減少(消滅)させる。

2.出張社員の帰着により清算されたので、仮払金¥100,000は貸方に記入され消滅し、旅費及び通信費(費用)の各勘定の借方にその金額を記入します。なお、残金は通常、現金で返却を受けるので現金勘定の借方に記入します。

3.現金を受け取ったが内容が不明なため、何の勘定科目にしてよいかわからない場合には、仮受金勘定の貸方に記入して処理します。後日、勘定科目がわかったとき借方に記入します。なお、送金小切手を受け取った時点では現金勘定で処理される。

4. 3の例と同じです。しかしこの場合は、当座に振込されているので当座預金勘定の増加取引となりますので、その借方に記入し処理します。

5.送金を受けたが内容不明のため仮受金勘定の貸方に記入していた¥200,000が、帰着した従業員から報告を受け内容が判ったので、売掛金勘定と前受金勘定の貸方へ記入します。なお、前受金勘定を用いるのは、商品注文の内金(一部代金)の前受だからです。

【問題】
次の取引の仕訳をしてください。   解答例

1.従業員甲田一郎の出張にあたり、旅費の概算費¥80,000を現金で渡した。

2.甲田一郎から当座振込¥750,000があったが、内容不明である。

3.出張中の甲田一郎が帰着し、出張前に渡した旅費概算額¥80,000の清算を行い、¥6,000不足したとの報告があり、不足分を現金で支払った。

4.内容不明の送金小切手の金額¥2,000,000のうち、¥1,400,000は売掛金の回収額、¥580,000は貸付金の回収額、残額は貸付金に対する利息と判明した。

 

貸付金勘定と借入金勘定

貸付金勘定は、資金を貸し付けたときや その回収したときに記入する勘定です。
貸し付けた資金は、債権であり、この勘定の借方に記入します。回収の時はこの勘定の貸方に記入し減少(消滅)させます。借入金勘定は、資金や金銭を借りたときや、その返済をしたときに記入する勘定です。金銭を借りたときは、この勘定の貸方に記入し、返済をしたときは、この勘定の借方に記入し減少(消滅)させます。また、資金を貸し付け際に発生する受取利息や、金銭を借り入れた際に発生する支払利息は、受取利息勘定と支払利息勘定で処理します。
一般的に貸し付けや借入は、借用証書の授受によって行われますが、証書の代わりに手形で実行される場合があります。この場合は、手形貸付金、手形借入金の勘定科目で処理されます。検定試験では、手形貸付金、手形借入金を貸付金、借入金の勘定科目で処理してもよいことになっています。
利息を計算しなければならない問題もあります。利息計算方法は、下記のとおりです。

 貸付金額×年利率×日数÷365=利息 (この計算は日数による計算です)
(借入金額)
 貸付金額×年利率×月数÷12=利息  (この計算は月数による計算です)
(借入金額)
(借方)

貸  付  金

(貸方)

貸付の発生

(増加、発生)

貸付の回収(利息は含めない)

(減少、消滅)

(借方)

借  入  金

(貸方)

返済額(利息は含めない)

(減少、消滅)

借入額

(発生)

【例】

1.甲商店に¥800,000を貸し付け、利息¥25,000を差し引いた残額を小切手を振出して先方に渡した。

2.乙商店の貸付金¥500,000のうち¥300,000を利息¥12,000と一緒に小切手で返済を受け、直ちに当座預金とした。

3.得意先丙商店に現金¥600,000を3ヶ月間、年利2,5%で貸し付けた。

4.丙商店から上記貸付金を満期日に利息とともに同店振出しの小切手で返済を受け直ちに当座預金とした。

(仕訳)

1

(借) 貸付金

800,000

(貸) 受取利息

25,000

当座預金

775,000

2

当座預金

312,000

貸付金

300,000

受取利息

12,000

3

貸付金

600,000

現金

600,000

4

当座預金

603,750

貸付金

600,000

受取利息

3,750

●参考
1.金銭を貸し付け時は、貸付金勘定(資産の勘定)の借方へ記入します。ここでの貸付額は¥800,000です。しかし、この例では、貸付と同時に利息を差引きして受け取る取引となっていますから、先方へ渡した小切手の金額は利息控除後の¥775,000です。この金額は、当座預金勘定の貸方記入します。また、受け取った利息は、受取利息勘定(収益の勘定)の貸方に記入します。

2.貸付金¥500,000のうち、¥300,000と利息¥12,000を回収したので、当座預金の借方にその金額が入金(記帳)されます。利息の発生額は、受取利息(収益の勘定)の貸方に記入します。つづいて、貸付金の回収分は、債権がその分減少したので、貸付金勘定の貸方に記入します。

3.金銭を貸し付けた時点での仕訳を行います。利息は、まだこの時点では発生しません。貸付満期になった時に利息の発生となります。

4.満期日となったので、貸し付けた¥600,000と利息¥3,750を回収した仕訳です。利息の計算¥600,000×0,025×3か月÷12か月=¥3,750です。試験問題では、「直ちに当座預金とした」の記述がなく「小切手で返済を受けた」と記述されている場合は現金勘定の増加となります。

【例】

1.東京商店は取引銀行から¥1,000,000を借り入れ、同額の約束手形を振出した。なお、利息¥12,000を差し引かれ手取金は当座預金とした。

2.かねて、大阪商店から¥800,000を借り入れていたが、本日、利息¥18,000とともに小切手を振出して返済した。

3.甲乙銀行から¥1,200,000を借り入れ、約束手形を振出すとともに、利息を差し引かれ、手取金は当座預金とした。借入期日は90日、利率は年2,5%である。

(仕訳)

1. (借) 当座預金

988,000

 (貸) 借入金

1,000,000

      支払利息

12,000

2.     借入金

800,000

     当座預金

818,000

      支払利息

18,000

3.     当座預金

1,192,603

     借入金

1,200,000

      支払利息

7,397

●参考
1.約束手形を振出して銀行から融資を受けた場合の仕訳です。商品売買の取引ような手形の振出しではないので、受取手形勘定や支払手形勘定の記帳の発生ではありません。融通手形の振出しですから、借入金勘定で処理され、借入額¥1,000,000は、貸方に記入します。利息分¥12,000を差し引かれた¥988,000は、当座預金勘定の増加取引となり、その勘定の借方に記入します。差し引かれた利息は、費用の発生ですから支払利息勘定を設けその借方に記入します。

2.借り入れていた元金と利息を含めて小切手¥818,000を振出して返済した仕訳を示しています。借り入れの返済は、借入金勘定の減少であるからその借方に記入します。支払った利息は費用の発生で支払い利息勘定の借方に記入します。そして、返済額の分だけ当座預金勘定の減少となるので元利合計額をその貸方に記入します。

3. 1と同様に銀行から融資を受けるために約束手形を振出したので、受取手形・支払手形勘定の記帳はありません。(1を参照してください。)
利息計算
¥1,200,000×0,025×90÷365=¥7,397

【問題】
次の取引を仕訳してください。   解答例

1.公債を担保に取引銀行から¥1,500,000を借り入れ、約束手形を振出すとともに、利息を差し引かれ、手取金は当座預金とした。借入期間73日、利率年2,5%である。

2.関東商店から¥700,000を借り入れた。なお、借入期間は4か月、利率は年3%である。

3.得意先上総商店に対し現金¥900,000を貸し付け、担保品として公債を預かった。なお、貸付期間は6か月、利率は年3%である。

4.上総商店から上記貸付金が満期となったので、利息とともに同店振出しの小切手で返済を受け、担保品の公債を返還した。

 

商品券勘定

店舗や百貨店が発行する商品券は、将来お客の希望する商品と交換(引き換え)義務をもっているから、商品券の発行ととも負債を負うものです。商品券は、商品を引き渡すまでは代金の先取りとなっている。よって債務の発生であるから商品券勘定の貸方に記入しておきます。商品券と引き換えに商品を引き渡したときに、債務が消滅するので商品券勘定の借方に記入することになります。

(借方)

商   品   券

(貸方)

商品券と引き換えに商品を引き渡した額面金額

(消滅、減少)

商品券を売り渡した時の額面金額

(発生)

【例】

1.商品券7枚(額面¥10,000)を現金で売り渡した。

2.商品¥90,000を売渡し、代金は、商品券¥70,000と残額は現金で受け取った。

(仕訳)

1. (借)  現金

70,000

 (貸)  商品券

70,000

2.      商品券

70,000

      売上

90,000

       現金

20,000

●参考
1. 商品券を販売した時点では、まだ商品と交換(引き換え)を行っていなので、代金を先に受領した状態です。よって商品と交換するまで債務が発生することになりますので商品券勘定(負債の勘定)の貸方にその金額を記入します。

2.  商品券と商品が交換されたので、商品券の債務が減少(消滅)したことになりますので、商品券勘定の借方にその金額を記入し、差額の受領金は、現金勘定の借方に記入して処理されます。そして、商品と商品券の交換(引き換え)によって売上が発生したので売上勘定(収益の勘定)の貸方に¥90,000が記入されます。

【問題】
次の取引の仕訳をしてください。    解答例

1. 商品¥49,000を販売し、代金は商品券¥50,000を受け取り、おつり¥1,000を現金で支払った。

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