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株式会社会計2

社債の発行

社債は、商法の規定に基づいて社債券を発行することによって証券化した長期の負債であり, 財務諸表上は、固定負債に属します。
株式の発行とは別に、長期的に株式会社が事業資金の調達のために発行するものです。
社債の発行価額は、社債券に記載された額面額で常に発行されるわけではなく、社債発行時の市場金利や社債の契約利率などのよって決まってきます。一般的に社債は額面より低い額で発行されます。これを割引発行といいます。社債を発行したときは、社債勘定(負債)の貸方に記入します。額面額と発行価額との差額は、社債発行差金勘定(繰延資産)を設けて処理します。この社債発行差金は、社債の発行によって調達された資金の前払利息と考えられています。社債が償還されるまでの期間内に毎期決算時に均等償却することになっています 。

【例】

第一商業株式会社(決算日3月末日 年1回決算)は、額面総額¥20,000,000の社債(期間10年、年利5%)を、額面¥100につき¥99で発行し、払込金は当座預金とした。

(仕訳)

(借方) 当座預金

19,800,000

(貸方) 社債

20,000,000

     社債発行差金

200,000

●参考

社債を発行したときは、額面総額を社債勘定の貸方に記入します。(社債を償還する場合には、額面額で償還されます。)額面金額と発行価額の差額は、社債発行差金勘定の借方に記入します。

社    債

当座預金

20,000,000

19,800,000

当座入金額の計算
¥20,000,000×0,99=¥19,800,000

社債発行差金

200,000

 

社債の利息支払い

社債の利息は、年利で契約されており、年2回に分けて支払われるのが普通です。社債の利息を支払ったときは、社債利息勘定の借方の記入します。一般の借入金の利息(支払利息勘定)と混同しないようにしてください 。

【例】

第一商業株式会社は、次の社債の利息(半年分)を小切手を振出して支払った。

額面金額¥20,000,000  期間10年 年利5% 発行価額 ¥100につき¥99

(仕訳)

(借方) 社債利息

500,000

(貸方) 当座預金

500,000

●参考

社債利息の計算 ¥20,000,000×0,05×1/2=¥500,000

 

社債の償還

社債の償還には満期償還、随時償還などの方法があります。償還金額の相違によって定額償還、買入償還などがあります。(買入償還は1級の出題範囲です)
定額償還は満期日に額面金額で償還される。随時償還でも抽選によって償還を行う場合は定額償還による社債の償還です。この場合、償還する社債の負債の額と償還金額は同額となりますので、償還に際して損益は生じません。社債を償還した場合は、社債勘定の減少となるので、借方に記入します。

【例】

1.第一商業株式会社は、社債額面¥20,000,000が満期となり小切手を振出して支払った。

2.第二産業株式会社は、社債のうち¥10,000,000を抽選によって償還することに決定した。なお、この償還社債に相当する社債発行差金の未償却残高¥200,000を償却した。

(仕訳)

1.(借方) 社債

20,000,000

(貸方) 当座預金

20,000,000

2.      社債

10,000,000

     未払社債

10,000,000

      社債発行差金償却

200,000

   社債発行差金

200,000

1. 満期償還によって社債が減少したので、社債勘定の借方に額面で記入します。

2. 社債を抽選で償還することを決定したので、社債勘定から未払社債勘定に振り替え記入します。償還した社債に相当する社債発行差金は、臨時に償却した仕訳をします。社債発行差金勘定の減少(繰延資産の減少)だから貸方に記入し、社債発行差金償却勘定(費用)を設けその借方に償却額を記入します。

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