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無形固定資産、投資等

無形固定資産は、有形固定資産のような、具体的、物質的な形態を持たない資産で、法律上の特権のあるものと、法律上の権利を形成しない権利などがあります。

※ 減価償却の対象資産

1. 鉱業権 2. 入漁権 3. ダム使用権 4. 水利権 5. 特許権 6. 実用新案権

7. 意匠権 8. 商標権 9. 営業権(買取営業権に限る) 10. 電気ガス供給施設利用権

※ 減価償却の非対象資産

1. 借地権 2. 電話加入権

※ 減価償却費の計算方法

償却方法 定額法、 残存価額 0円、 計算式: 取得価額÷耐用年数=償却額

営業権は、耐用年数の定めがなく随時償却が認められています。(全額損金算入が認められています。)

実質の権利・支配者 ※ 登録制度のあるもの
漁業権、 工業所有権、 電話加入権
実質的な所有者を吟味する(形式的な名義によらない)
※ 登録制度のないもの
借地権、 営業権 

※ 取得価額は、契約書、領収書、その他取得価額を把握するための書類により取得価額を判断します。

 

営業権

営業権勘定の内容

有償取得の「暖簾」
法人税法では、法令の規定または官庁の指導等に基づく登録、認可、割り当て等により取得した権利を営業権として取り扱います。

【例】

※ 企業買収により生じた営業権

※ 合併により計上する営業権

【仕訳例】

※ 企業買収により取得した場合の仕訳

      (借方)  営業権     (貸方)   当座預金

※ 商法上取得後5年以内に均等償却以上の償却を毎期末行います

      (借方)  減価償却費  (貸方)   営業権

 

特許権

特許権勘定の内容

他から有償取得した特許権または自己が行った試験研究開発によって取得した特許権等を処理します。

【例】

※ 実用新案権  実用新案登録を受けている考案(自然法則を利用した技術的思想の創作をいい、物品の形状、構造または組合せにかかる考案で産業上利用できるもの)を独占的、排他的に利用する権利

※ 意匠権  意匠登録を受けている意匠(物品の形状、模様、色彩またはこれらの結合であって視覚を通じ美感を起こさせるもの)を独占的、排他的に利用する権利

※ 商標権  商標登録を受けている商標(文字、図形、記号、もしくはこれらの結合またはこれらと色彩との結合であって、業として商品を生産し加工し説明しまたは使用するもの)を独占的、排他的に利用する権利

【仕訳例】

※ 繰延資産に計上していた試験研究費を振り替え

      (借方)  特許権     (貸方)   試験研究費

※ 特許権の購入時

      (借方)  特許権     (貸方)   当座預金

※ 決算期末に減価償却費を計上

      (借方)  減価償却費  (貸方)   特許権

【税務上の取り扱い】

種  類

残存価額

償却期間

償却方法

表示方法

特許権

0円

8年

均等償却

純額表示

実用新案権

0円

5年

均等償却

純額表示

意匠権

0円

7年

均等償却

純額表示

商標権

0円

10年

均等償却

純額表示

※ 製品の製造に寄与する特許権等の使用料は、その料率が、生産数量単位当りで定められているもの、一定期間定額払いのもの、最低額と生産数量に比例するものとの併用のもの、利益の額を基準とするもの、などがあります。

※ 期間定額払い、最低額、利益基準のものは月割経費とするか、その期間の生産予想数によって費用に配分計上します。

 

借地権

借地権勘定の内容

他人所有の土地を自社(自己)所有の建物等の敷地として有償取得したものを処理する勘定です。なお、借地権は、減価償却を行いません。

【例】

地主への支払い金(支出金)

権利金  借地契約時の一時的な支出金

更新料  契約更新時の一時的な支出金

承諾料  建物等の増改築時の一時的な支出金

その他の支払い金(支出金)

仲介料  斡旋手数料など借地契約の締結に伴う費用

対価   建物等の対価に含まれている借地権の対価

改良費  賃借りした土地について支出した改良費、立退き料、取り壊し費など

【仕訳例】

権利金等支出時の仕訳

      (借方)  借地権   (貸方)  当座預金

更新時の支払い時のうち下記のものは、損金算入できます。

借地権の帳簿価額 ×      更新料の額   
更新時の借地権の価額
借地権の一部
損金算入額

更新時の支出額の仕訳

      (借方)  固定資産除却損    (貸方)  借地権
      (借方)  借地権          (貸方)  当座預金

【税務上の取り扱い】

法人税法基本通達13−1−1から法基通13−1−16(借地権に関する所得の計算)で、税務上の取り扱いを定めています。借地権の取り扱いについては、これらの通達を参考にしてください。

借地権の取得価額は、法基通7−3−8を参考にしてください。

土地の賃貸しをした場合の評価損は、法基通9−1−19を参考ししてください。

 

公共施設負担金

公共施設負担金勘定の内容

税法上の繰延資産は、商法上の繰延資産(商法286条、287条、291条)と異なり、その効果のおよぶ期間で償却することと規定しています。任意償却は、できません。

【例】

※税法上の繰延資産は、下記に示すものをいいます。無形固定資産または長期前払費用等の勘定でB/S表示されます。

※公共的施設費、協同的施設費 ※資産賃借、使用の権利金、立退き料 ※役務の提供を受けるための権利金等 ※広告宣伝用資産の贈与費用 ※その他、自己が便益を受けるための費用

【仕訳例】

※ 公共施設負担金の支出があった時の仕訳

      (借方)  公共施設負担金   (貸方)  当座預金

※ 減価償却は、支出後、5年以内に毎期の決算において、均等額以上の償却を行います。

     (借方)  繰延資産償却   (貸方)  公共施設負担金

【税務上の取り扱い】

(繰延資産の償却期間)法基通8-2-3
繰延資産は、法人税法施行令第14条第9号に掲げる通達の定める償却期間によります。

(固定資産を公共的施設として提供した場合の計算)法基通8-3-1
固定資産を公共的施設として提供した場合の提供にかかる繰延資産の額はその固定資産の提供直前の帳簿価額によることができます。

(繰延資産となる費用のうち少額のものの損金算入) 
第百三十四条  内国法人が、第六十四条第一項第二号(均等償却を行う繰延資産)に掲げる費用を支出する場合において、当該費用のうちその支出する金額が二十万円未満であるものにつき、その支出する日の属する事業年度において損金経理をしたときは、その損金経理をした金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。 

 

電話加入権

電話加入権勘定の内容

自己(自社)の営業活動や経営目的のために加入電話の施設を利用する権利を処理する勘定です。

【例】

※ NTTへ申し込みにより取得した場合

   契約料+設備負担金+直接経費=取得価額 (消費税別途必要です)

※ 他人から電話加入権を購入した場合

   譲受対価+仲介手数料の直接経費=取得価額

【仕訳例】

※ 加入権取得時の仕訳

     (借方)  電話加入権  (貸方)  当座預金

【携帯・自動車電話に加入する費用】

携帯・自動車電話の役務の提供を受ける権利は、電話加入権に該当せず、減価償却資産である電気通信施設利用権として取り扱われます。具体的には、携帯・自動車電話に加入する際には、加入者は契約事務手数料を支払うことになりますが、この手数料は、原則として、電気通信施設利用権として取り扱われますが、この手数料は、原則として、電気通信施設利用権の取得価額として資産に計上し、耐用年数に応じて減価償却することになります。電気通信施設利用権の耐用年数は20年ですが、法人税法では携帯・自動車電話の役務の提供を受ける権利の取得価額が10万円未満である場合には、その権利を取得し、事業の用に供した事業年度に、その取得価額の全額を損金算入することができます。また、ポケット電話(PHS)に加入する際に支払う新規加入料等についても同様の取り扱いです。

 

投資等

出資金勘定の内容

有限会社や各種の組合等に対する持分を処理する勘定です。

【例】

信用金庫、信用組合、協同組合、合名会社、合資会社、有限会社などの出資金

【仕訳例】

※ 持分を取得したときの仕訳(購入手数料は取得価額に算入します)

      (借方)  出資金     (貸方)  当座預金

※ 配当等により持分を取得した場合、総額法によって処理します。

      (借方)  出資金         (貸方)    受取配当金
      (借方)  現金・預金       (貸方)    受取配当金
      (借方)  所得税(租税公課)  (貸方)    受取配当金

※ 持分増加後の出資金の単価は、平均法または、加重平均により計算します。

例: 繰越持分 出資金 1000口 @550  ¥550,000

   期中増加分      100口 @500  ¥50,000

   期末         1,100口 @545  ¥600,000

 

投資有価証券

投資有価証券勘定の内容

取引所の相場のある株式および公社債で決算日後1年を超えて処分する目的で保有するものならびに取引所の相場のない株式および社債を処理する勘定です。

【例】

有価証券勘定を参考にしてください。

【仕訳例】

出資金勘定の仕訳例を参考にしてください。

 

敷金

敷金勘定の内容

賃貸借契約に基づき支出した金銭(敷金)で契約解除のさいに返還されるものを処理する勘定です。

【例】

不動産を賃借する時に、賃借り人が賃貸し人に賃貸借契約上の債務を担保する目的で差入れる金銭。

【仕訳例】

不動産の賃借りのさい、賃料の値上げに伴い追加金銭を支払った際の仕訳

      (借方)  敷金      (貸方)    当座預金

契約期間の満了によって金銭の返還、途中解約による一部償却、債務不履行のための充当があった場合

      (借方)  当座預金   (貸方)    敷金
      (借方)  雑損失    (貸方)    敷金

 

長期貸付金

長期貸付金勘定の内容

貸付金のうちその貸付期間が決算日以後1年を超えるものまたは1年を越えると判断できるものを処理する勘定です。なお、貸付期間が1年を超えるかどうかは、貸付時(契約時)の状況で判断します。したがって、貸付時(契約時)に長期貸付金としたものは、完済まで長期貸付金として処理します。

【仕訳例】

現金または小切手を先方に渡した場合、売掛金等から振り替えにより債権が生じた時の仕訳

       (借方)   長期貸付金    (貸方)   当座預金

現金または小切手による回収のあったときの仕訳

       (借方)   現金・当座預金  (貸方)   長期貸付金

受取利息の計上は、短期貸付金を参考にしてください。

 

長期前払費用

長期前払費用勘定の内容

役務の提供を受けるために、すでに支払ってある前払いで、決算後1年を超えた期間後に費用として処理されるもので、長期前払保険料、保証料、リース料、などです。なお、いったん長期前払費用に計上すれば、計上後1年以内に費用となるものがあっても、前払費用へ振り替えないでこの勘定で処理します。

【仕訳例】

前払費用勘定を参考にしてください。

 

 

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