Main Page実務Q&A実務Q&A-No2

 

索   引

152、給与所得者の特定支出控除

153、譲渡所得となる種目

154-1有価証券の譲渡における例外事項

154-2株式譲渡益に対する課税の法改正とその適用時期

154-3特定口座制度の法改正について

154-4株式のみなし取得価格の適用条件

155-1、短期譲渡と長期譲渡

155-2、分離課税の対象となる土地建物の譲渡所得の短期と長期

156、資産の譲渡でも、譲渡所得とならないものについて

157、譲渡所得の収入金額

158、譲渡資産の取得費の範囲

159、譲渡費用

160、償却費相当額


 

152、給与所得者の特定支出控除

【問】
給与所得者の特定支出控除について説明してください。

【答】
給与所得者の方で、その年中の特定支出額の合計額が給与所得控除額を超えるときは、下記の算式により計算した金額が給与所得の金額となります。

収入金額 給与所得控除額 特定支出控除の額の合計額のうち給与所得控除額を超える部分の金額 給与所得金額
(赤字のときは0)

(注) 通常の場合の給与所得金額は、下記によります。

収入金額 給与所得控除額 給与所得金額

特定支出とは、給与所得者が支出する下記の支出のことを言います。尚、給与等の支払者から補填される部分の金額があり、かつ、その補填される部分につき所得税が課税されない場合におけるその補填される部分を除きます。

※ 通勤費〜〜〜通勤のために必要な交通機関の利用または交通用具の使用のための支出で、その通勤の経路および方法がその者の通勤にかかる運賃、時間、距離その他事情に照らして最も経済的かつ合理的であることにつき給与等の支払者により証明されたもののうち、一般の通勤者につき通常必要であると認められる部分の支出

※ 転居費〜〜〜転任に伴うものであることにつき給与等の支払者により証明された転居のための通常必要と認められる転任の事実が生じた日以後1年以内の支出

※ 研修費〜〜〜職務の遂行に直接必要な技術または知識を習得することを目的として受講する研修(人の資格を取得するためのものを除きます。)であることにつき給与等の支払者により証明されたもののための支出

※ 資格取得費〜〜〜人の資格(弁護士、会計士などの人の資格で法令の規定に基づきその資格を有する者に限り特定の業務を営むことができることとされるものを除きます。)を取得するための支出で、その支出がその者の職務の遂行に直接必要なものとして給与等の支払者により証明されたもの

※ 帰宅旅費〜〜〜転任に伴い生計を一つにする配偶者と別居を常況とすることとなった場合に該当することにつき給与等の支払者により証明された場合におけるその者の勤務する場所または居所と配偶者等が転居する場所との間のその者の旅行に通常要する支出で最も経済的かつ合理的とみ認められる通常の経路および方法によるもの(一か月当たり4往復まで)

この控除の適用を受けるための手続きとしては、確定申告書を提出し、その申告書に適用を受ける旨および特定支出の額の合計額の記載をし、かつ、それぞれの特定支出に関する明細書および給与等の支払者の証明書を添付します。
搭乗・乗車・乗船に関する証明書および特定支出の事実・金額を証明する書類を確定申告書に添付するか、または確定申告の際に提示することになっています。
また、申告手続きには「給与所得の源泉徴収票」を確定申告書に添付します。毎年その年の1月31日までに勤務先から本人に交付されます。年の中途で退職した場合には、その退職の日以後1か月以内に本人に交付されます。

 

153、譲渡所得となる種目

【問】
譲渡所得となる種目について説明してください。

【答】
譲渡所得とは、資産の譲渡によって発生した所得を言います。
売買の対象として経済的価値あるものすべてを資産と言い、土地、家屋等の不動産のほかに自動車、機械等の動産、著作権、特許権等の無形固定資産も資産に含まれます。
所有権その他の財産上の権利を移転させる一切の行為を譲渡と言い、一般的な売買のほかに、交換、現物出資、収用、代物弁済等の有償による譲渡、贈与や遺贈などの無償譲渡も含まれます。
土地や建物、土地の上に存する権利の譲渡は、租税特別措置法の規定によって分離課税となっています。また、平成元年4月1日より株式の譲渡による所得も原則として分離課税となりました。
譲渡所得は、土地建物、土地建物以外の有形固定資産、無形固定資産、その他の資産に区分されます。具体的な種目は下記の記載をご覧下さい。
※ 土地、建物、土地の上に存する権利の譲渡(分離課税)
※ 土地建物以外の有形固定資産(総合課税)
車両、機械、船舶、航空機、器具、備品などが考えられます。
※ 無形固定資産(総合課税)
漁業権、鉱業権、水利権、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、営業権などが考えられます。
※ その他の資産(総合課税)
電話加入権、ゴルフ会員権、株式、競走馬、猟犬、農耕牛、書画、骨董、貴石などが考えられます。
(注1)株式は、平成元年4月1日より原則として分離課税です。

(注2)株式譲渡益に対する課税の法改正の適用時期は、下記Q&A154-2を参照してください。

 

154-1有価証券の譲渡における例外事項

【問】
有価証券の譲渡おける例外事項について説明してください。

【答】
有価証券の譲渡所得は、平成元年4月1日より、原則として分離課税の譲渡所得で、申告分離課税方式で課税されます。
(注1) 分離課税の事業所得または雑所得となる場合もあります。
(注2) 上場株式等の譲渡については平成13年3月31日までは源泉分離課税といずれかを選択できます。
有価証券の譲渡の例外として、土地類似株式等の譲渡、ゴルフ会員権の譲渡、有価証券の先物取引による譲渡、公社債等の譲渡があります。下記をご覧下さい。
※ 土地類似株式の譲渡
特殊関係株主等(注1)が、その年以前3年以内のいずれかの年において、発行法人の発行済み株式等の30%以上を有していたこと、かつ、特殊関係株主等が発行済み株式等の総数の5%以上をその年に譲渡し、かつ、15%以上をその年以前3年内に譲渡した場合で、資産の総額に占める短期保有土地等(注2)の価額の合計額の割合が70%以上である法人の株式等の譲渡または、資産の総額等に占める土地等の価額の合計額の割合が70%以上の法人の株式で、その年の1月1日における所有期間が5年以下のものの譲渡に該当する株式または特定信託の受益証券の譲渡については、分離課税の土地建物等の短期譲渡所得として課税されます。
(注1) 特殊関係株主等〜〜その株式の譲渡を行った人とその親族や親族に準ずる一定の関係にある人
(注2) 短期保有土地等〜〜その年の1月1日における所有期間が5年以下の土地等
(注3) 特定信託の受益証券に関しては、上記に準じます。
※ ゴルフ会員権の譲渡
ゴルフ場の所有または経営にかかる法人の株式または出資を有することがそのゴルフ場を一般の利用者と比べて有利な条件で継続的に利用できる権利を有する者となるための要件とされている場合におけるその株式等の譲渡は、総合課税の譲渡所得です。
※ 有価証券の先物取引による譲渡
総合課税の事業所得または雑所得です。
※ 公社債等の譲渡
原則として非課税ですが、下記の譲渡は総合課税の譲渡所得です。(事業所得または雑所得となる場合もあります。)
♯1.国外で割引発行された公社債等の国内での譲渡
♯2.利付公社債で割引公社債に類するもの
♯3.特定法人が発行する割引公社債の譲渡

 

154-2株式譲渡益に対する課税の法改正とその適用時期

【問】
株式譲渡益に対する課税の法改正とその適用時期について説明してください。

【答】
株式譲渡益に対する課税に関して下記の記載をご覧ください。

源泉分離課税は、平成14年12月末までの適用です。

申告分離課税
長期所有上場特定株式等の100万円特別控除の特例は、 平成13年10月から平成17年12月末まで

上場株式等の軽減税率の特例は、平成15年1月から適用されます。

長期所有上場株式等の暫定税率の特例は、平成15年1月から平成17年12月末までです。

上場株式等(平成13年9月30日以前取得分)の取得費の特例は、 平成15年1月から平成22年12月末までです。

上場株式等の譲渡損失の繰越控除の特例は、 平成15年1月から適用されます。

特定上場株式等の非課税の特例について
   購入等〜〜〜〜〜〜〜〜平成13年11月30日から平成14年12月末まで
   保 有〜〜〜〜〜〜〜〜平成15年から平成16年中
   譲 渡〜〜〜〜〜〜〜〜平成17年1月1日から平成19年12月末まで
   特定口座制度〜〜〜〜〜平成15年1月から

(注)
※ 上場株式等を譲渡した場合の株式等に係る譲渡所得等の軽減税率の特例居住者が、平成15年1月1日以後に上場株式等の一定の譲渡をした場合には、その譲渡による上場株式等に係る譲渡所得等の金額に対する所得税の額は、上場 株式等に係る課税譲渡所得等の金額の15%、ほか地方税5%とが課税されます。

※  長期所有上場株式等を譲渡した場合の株式等に係る譲渡所得等の暫定税率の特例居住者が、平成15年1月1日から平成17年12月31日までの間に、上場株式等の譲渡をした場合において、当該上場株式等がその譲渡の日において所有期間が1年を超える長期所有上場株式等であるときは、一定の要件下で、その譲渡に係るもの(長期所有上場株式等に係る譲渡所得等の金額)に対する所得税の額は、長期所有上場株式等に係る課税譲渡所得等の金額の7%(ほか地方税3%)に相当する額となります。この場合、この特例の適用を受ける長期所有上場株式等に係る譲渡所得等の金額は、現行の公開株式等に係る譲渡所得等に係る課税(2分の1)の特例は、適用することができないことになっています。

※ 平成13年9月30日以前に取得した上場株式等の取得費の特例居住者が、平成13年9月30日以前から引き続き所有していた上場株式等(同年10月1日において上場株式等に該当していたもののうち一定のものに限ります。)を平成15年1月1日から平成22年12月31日までの間に譲渡をした場合におけるその上場株式等の譲渡による譲渡所得の金額の計算上収入金額から控除する取得費は、所得税法の規定にかかわらず、その上場株式等の平成13年10月1日における価額の80%に相当額とすることができます。

※ 上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除
確定申告書を提出する居住者が、その年の前年以前3年内の各年において生じた上場株式等に係る譲渡損失の金額(この特例の適用を受けて既に前年以前に控除されたものを除きます。)を有する場合には、その上場株式等に係る譲渡損失の金額に相当する金額は、その確定申告書に係る年分の株式等に係る譲渡所得等の金額を限度として、その年分のその株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上控除することができる制度です。

※  特定上場株式等に係る譲渡所得等の非課税
居住者が、平成17年1月1日から平成19年12月31日までの間に、特定上場株式等の譲渡をした場合、特定上場株式等非課税適用選択申告書を提出したときは、その年において譲渡をした特定上場株式等のうち当該申告書に記載されたもので、その取得対価の合計額が1,000万円に達するまでのものの当該譲渡による譲渡所得、事業所得及び雑所得については、所得税が課税されないことになっています。

※  特定口座制度
居住者が、証券会社に特定口座を設定した場合、その特定口座内において上場株式等の譲渡による譲渡所得等の金額については、他の株式等の譲渡による所得と区分して計算することができます。この計算は証券会社が行います。証券会社から送付される年間の取引報告書により、簡便に申告を行うことができるものです。また、特定口座内で発生する所得に対して源泉徴収することを選択した場合には、その特定口座における上場株式等の売却による所得は申告不要とすることができる制度です。

 

154−3特定口座制度の法改正について

【問】
特定口座制度の法改正について説明してください。

【答】
平成15年3月31日現在での法改正に基づきます。
特定口座内に保管されている上場株式等の譲渡による所得等に対する源泉徴収において、平成16 年以後、その年間分一括納付方式へ法改正されました。

居住者及び国内に恒久的施設を有する非居住者が、特定口座源泉徴収選択届出書の提出がされた特定口座を有する場合において、当該特定口座内に保管されている上場株式等の譲渡の対価又は当該特定口座において処理された上場株式等の信用取引の差額金に相当する金額の支払をする証券業者は、その支払をする際に、一定の計算方法により求めた「特定口座内調整所得金額」に15%の税率を乗じて計算した金額の所得税を徴収し、これを翌月10 日までに納付することになっています。

証券業者は、その月の特定口座内調整所得金額の合計額が、年初から通して計算した場合の特定口座内調整所得金額に相当する金額を超えるときは、その特定口座を有する居住者等に対し、その超える部分の金額に15%を乗じて計算した金額に相当する所得税が還付されます。

法改正により、平成16 年以後における源泉徴収の方式が、譲渡等の都度、証券業者がその源泉徴収選択口座に係る年初からの通算所得金額の増減額の15%(平成19 年末までは7%)相当額の所得税の源泉徴収又は還付をし、年末において還付されずに残っている源泉徴収税額を翌年1 月10 日までに一括して納付する方式に改正されました。

平成15 年中の特定口座源泉徴収選択届出書の提出がされた口座については、15%(同年4 月以後は7%)の税率による源泉徴収並びに月ごとの納付及び還付の仕組みを維持した上、証券業者が源泉徴収選択口座においてその年中に源泉徴収をした所得税の合計額(還付をした金額を除きます。)のうち、その源泉徴収選択口座に係る年間通算所得金額の7% 相当額を超える部分の金額をその源泉徴収選択口座を有する居住者等に還付されることになりました。

源泉徴収選択口座に係る特定口座年間取引報告書の税務署長への提出は不要と改正されました。

 

154-4みなし取得価格の適用条件

【問】
株式のみなし取得価格の適用条件について説明してください。

【答】
株式のみなし取得価格の適用条件について表にしてみましたので、ご覧ください。

  特定口座未設定の場合

(実際取得価格とみなし取得価格は、どちらを選んでも可。)

特定口座を設定する場合

購入時の口座に続けて保管 他社に移管または元の口座に戻す 証券保管振替機構を通じて移管
取得時期






1993/01

 

2001/10

 

2002/09

 

2003/01

 

実際の取得価格

みなし取得価格

みなし取得価格

実際の取得価格

みなし取得価格

特定口座対象外

みなし取得価格

特定口座対象外

移管先での取得価格は、まだ、開始未定です

           

(注1)
みなし取得価格は、2001年10月1日の終値の80%相当額です。こちらを選択した場合は、特定口座対象外です。

移管先における取得価格は、開始未定です。

(注2)
特定口座未設定の場合、2010年売却分までで、みなし取得価格の適用は終了です。

 

155-1、短期譲渡と長期譲渡

【問】
短期譲渡と長期譲渡について説明してください。

【答】
所有権その他の財産上の権利を移転させる一切の行為を譲渡と言います。そして資産の譲渡によって発生した所得が譲渡所得です。一般的な売買のほか、交換、現物出資、収用、代物弁済などの有償譲渡、贈与や遺贈などの無償譲渡も含まれます。
短期譲渡所得とは、資産をその取得の日以後5年以内に譲渡したことにより生じた所得です。上記の資産取得後5年以内に行われた譲渡にかかる判断は、下記のとおりです。
(♯1.)取得の日の5年目に相当する日の前日までに行われた譲渡が短期譲渡です。例えば、平成8年11月4日に取得した資産ですと、平成13年11月3日までに譲渡すれば、短期譲渡所得です。
「例外規定」
(※1.)交換によって取得した資産で所得税法第58条(交換の特例)等の適用を受けたものは、特例の適用対象となった交換譲渡資産、買い換え譲渡資産の取得の日をその資産の取得日として(♯1.)の要領で判断します。
(※2.)贈与により取得した資産(旧所得税法第59条の規定で、その贈与者等が贈与等のときに時価による譲渡があったものとみなされいない場合を含みます。)は、贈与者等の取得した日をその資産の取得日として(♯1.)の要領で判断します。
(注) 贈与等とは、相続、遺贈(限定承認にかかるものを除きます。)、贈与、低額譲渡(譲渡価額が低額譲渡者の取得費と譲渡経費の合計額に満たないもの限ります。)を言います。
長期譲渡所得とは、短期譲渡所得以外の所得を言います。ただし、自己の研究の成果である特許権、実用新案権その他の工業所有権、自己の育成の成果である育成者権、自己の著作に係る著作権及び自己の探鉱により発見した鉱床にかかる採掘権については、その権利を取得してから5年以内に譲渡しても長期譲渡所得として計算します。
(注)分離課税の対象になる土地、建物等の譲渡所得の短期、長期については、次の経理実務Q&A 155-2 をご覧ください。

 

155-2、分離課税の対象となる土地建物の譲渡所得の短期、長期

【問】
分離課税の対象となる土地建物の譲渡所得の短期、長期について説明してください。

【答】
分離課税の対象となる土地建物の譲渡所得の短期、長期の区分は下記のとおりです。
※ 長期譲渡所得〜〜〜譲渡のあった日の属する年の1月1日において、その取得をした日の翌日から継続して所有していた期間が5年を超える土地建物等の譲渡による所得が長期譲渡所得です。
※ 短期譲渡所得〜〜〜譲渡のあった日の属する年の1月1日において、その取得をした日の翌日から継続して所有していた期間が5年以下の土地建物等(譲渡したその年中に取得したものも含みます。)の譲渡による所得が短期譲渡所得です。
(注) 分離課税となる土地類似株式等の譲渡所得は、短期譲渡所得です。

平成13年中に土地と建物を譲渡した場合の長期と短期の区分について下記をご覧ください。

←長期譲渡所得となる取得期間―――→

12/31

  ←―――
この期間に取得した土地建物は短期譲渡所得です。

―→

1/1

譲渡

H6

H7
(1995)

H8
(1996)

H9

H10

H11

H12
(2000)

H13
(2001)

※ 下記に掲げる事由によって取得した資産は、それぞれ下記に記載した日を取得の日とみなして、所有期間の判断をすることになっています。
♯1、 居住用資産の買い換え・交換の特例、特定の事業用資産の買い換え・交換の特例、既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買い換え・交換等の特例、大規模な住宅地等造成事業の施行区域内にある土地等の造成のための交換等の特例、認定事業用地適正化計画の事業用地の区域内にある土地等の交換の特例の適用を受けた買い換え取得資産は、 その買い換え取得資産の実際の取得した日です。
♯2、 所得税法第58条(固定資産の交換の特例) の適用を受けた交換取得資産、収用交換の場合の課税の繰り延べ適用があった代替取得資産および昭和44年改正前の規定による事業用資産の買い換えの特例の適用を受けた買い換え取得資産は、 特例の適用対象となった交換譲渡資産、買い換え譲渡資産の取得の日です。
♯3、 贈与等により取得した資産(昭和48年改正前の所得税法第59条の規定によりその贈与者等が贈与等のときに時価による譲渡があったものとみなされていない場合を含みます。)は、 贈与者等の取得した日です。
(注) 贈与等とは、相続・遺贈(限定承認にかかるものを除きます。)、贈与、低額譲渡(譲渡価額がその資産の取得費と譲渡経費の合計額に満たないものに限ります。)を言います。

 

156、資産の譲渡でも、譲渡所得とならないものについて

【問】
資産の譲渡でも、譲渡所得として取り扱わないものについて説明してください。

【答】
譲渡した資産によって下記に掲げる所得として取り扱われます。
♯1、棚卸資産(商品、製品、半製品、仕掛品、原材料、等)の譲渡による所得は、事業所得です。
♯2、不動産所得、山林所得、雑所得の基になる業務に用いられる「ねじ、釘等」の修繕用の材料、帳票等の事務用品、暖房用または車両の燃料等でまだ使用されていないものの譲渡による所得は、雑所得です。
♯3、使用可能期間が1年未満か取得価額が10万円未満の小額減価償却資産の譲渡による所得は、事業所得または雑所得です。
(注) 取得価額が10万円未満の小額減価償却資産でも、その業務の性質上基本的に重要とされる小額重要資産の譲渡による所得は、譲渡所得です。ただし、小額重要資産でも、貸衣装業の衣装類、パチンコ店のパチンコ器、養豚業の繁殖用または種付け用の豚などのように事業の用に供された資産を反復継続して譲渡することがその事業の性質上一般的である資産の譲渡による所得は、事業所得です。
♯4、減価償却資産で一括償却資産(取得価額20万円未満)の必要経費算入の規定の適用を受けるものの譲渡による所得(業務の性質上基本的に重要なものを除きます。)は、事業所得または雑所得です。
(注) 取得価額が20万円未満の小額重要資産については上記については、上記♯3、の(注)の取扱と同じです。
♯5、山林の伐採や譲渡による所得は、山林所得です。
(注1) 取得の日以後5年以内に伐採または譲渡するものを除きます。
(注2) 保有期間が5年以内の山林の伐採や譲渡による所得は事業所得または雑所得です。
♯6、家具、什器備品、等の生活に必要な動産の譲渡による所得は、非課税です。
(注) 貴石、貴金属、書画、骨董等で1個または1組の価額が30万円を超えるものは除かれます。
♯7、借家人が借家を明渡すことにより受け取る立ち退き料は下記に記載の所得となります。
※ 立ち退きのための費用の弁償は、一時所得です。
※ 借家権の消滅の対価(借家権の取引慣行のない地域)は、一時所得です。
※ 借家権の消滅の対価(借家権の取引慣行のある地域)は、譲渡所得(総合課税)です。
※ 事業者の場合の休業期間の営業補償は、事業所得です。
♯8、金融類似商品の収益等{金投資(貯蓄)口座の差益}は、一時所得や雑所得または譲渡所得となり、他の所得と合計して確定申告する総合課税です。
(注) 金投資(貯蓄)口座の差益とは、金その他の貴金属その他これに類する物品の買い入れ及び売り戻しに関する契約で、その契約に定められた期日においてその契約に定められた金額によりその物品を売り戻す旨の定めがあるものに基づく利益(その物品のその売り戻しをした場合のその金額からその物品の買い入れに要した金額を控除した残額を言います。)

 

157、譲渡所得の収入金額

【問】
譲渡所得の収入金額について説明してください。

【答】
資産の譲渡によって収入として受け取ることが確定した金額が譲渡所得の収入金額です。収入すべき金額が金銭以外の物または権利その他の経済的利益であるときは、その物や権利の価額その他経済的利益の価額が収入すべき金額です。
この計算期間は、1月1日から12月31日です。収入に算入すべき時期は、譲渡所得の基になる資産の引渡しがあった日です。また、この資産の引渡しがあった日については、その資産の譲渡に関する契約の効力発生の日でもよいことになっています。
所得の発生する場所については、譲渡した資産の所在地、鉱業権などを設定した所在地が所得の発生する場所となります。
資産を贈与したり、著しく低い価額で譲渡した場合(みなし譲渡)などは、下記に掲載しますその資産の時価で譲渡があったものとみなされます。従って、収入金額には、その資産の時価を収入すべき金額とします。
♯1、法人の資産を贈与した場合
♯2、資産を遺贈した場合
(注)法人に対するもの及び個人に対する包括遺贈のうち限定承認に係るものに限ります。
♯3、資産の相続により移転した場合
(注)限定承認に係るものに限ります。
♯4、資産を法人に対し時価の2分の1未満の価額で譲渡した場合
(注1)上記以外の贈与等については、みなし譲渡課税が行われない代わりに、贈与により資産を取得した人が譲与者等の取得費を引き継ぎます。
(注2)個人に対して、時価の2分の1未満の価額で資産を譲渡した場合は、時価ではなく、実際の譲渡価額を収入金額とします。しかし、その結果、その譲渡所得が赤字になっても、その赤字はなかったものとして取扱われます。

 

158、譲渡資産の取得費の範囲

【問】
譲渡資産の取得費の範囲について説明してください。

【答】
譲渡所得の必要経費は、その資産の取得費と譲渡費用の合計を言います。
(注) 取得費とは譲渡した資産を取得するために要した費用のことです。
   .譲渡費用とは、その資産を譲渡するために直接要した費用のことです。
資産の取得費とは、資産の取得価額、設備費、改良費、の合計額です。建物や機械装置等の減価償却資産の取得費は、その資産の取得価額、設備費、改良費の合計額から減価償却費を控除した金額が取得費です。
(注) 資産の取得価額とは、資産を取得するために要した費用
   ,設備費とは、資産の設備に要した費用
   ,改良費とは、資産を取得した後で支出した改良のための費用で、一般的な費用としての修繕費以外のもの
資産の取得費には、下記のような費用が含まれます。
♯1、他から購入した資産の場合は、購入代金のほかに購入手数料、が含まれ、土地や建物を購入する際に支払った立退き料等も含まれます。
♯2、自己が製造または建築した資産の場合は、製造や建築等に要した材料費、労務費、経費など
♯3、工場や住宅等の敷地を造成するために要した宅地造成費用
♯4、その資産の取得について争いがある場合、その所有権などを確保するために直接要した訴訟費用や和解費用等(既に事業所得などの必要経費に算入されているものは含まれません。)
♯5、建物付きで土地等を取得し場合、その取得後概ね1年以内にその建物を取り壊すなどその取得が当初からその土地の利用を目的としている場合のその建物の取得価額と取り壊しに要した費用との合計額(廃材などがあれば、その処分価額を控除します。)
♯6、固定資産取得のために借入れした資金の利子のうち、その資金の借入れ日からその固定資産の使用開始日までの期間に対応する部分の金額
(注1) 取得後未使用で譲渡した場合は、その譲渡した日が、使用開始の日とします。
(注2) 業務の用に供される資産にかかるもので既に必要経費に算入されているものは、除かれます。
(注3) 固定資産の取得のために資金を借り入れる際に支払った公正証書作成費用、抵当権設定登記費用、借り入れの担保として締結した保険契約に基づいて支払う保険料その他の費用でその資金借り入れのために通常必要と認められるものについても含まれます。

 

159、譲渡費用

【問】
譲渡資産の必要経費としての譲渡費用について説明してください。

【答】
譲渡資産の必要経費として、譲渡所得の計算に際し収入金額から差引できる譲渡費用には、下記のようなものがあります。
♯1、譲渡にかかる仲介手数料、運搬費、登記登録費用、調査測量費、交渉費、その他資産の譲渡のために直接要した費用
♯2、既に売買契約を締結した資産を他に有利な条件で譲渡するための契約解除に伴う違約金
(注) 譲渡した資産の維持管理に要した費用は、譲渡経費に含まれません。

土地建物などを譲渡した場合にかかる下記のような費用は、譲渡経費として控除(差し引き)することができます。
♯1、譲渡のために借家人を立退かせるために支出した立退き料
♯2、土地(借地権を含む。)を譲渡するためにその土地の上にある建物等の取り壊しに要した費用
♯3、仲介手数料
♯4、契約書に貼付した印紙代

 

160、償却費相当額

【問】
譲渡所得の計算において資産の取得費から控除される償却費相当額について説明してください。

【答】
譲渡所得の必要経費とは、取得費とその資産を譲渡するために直接要した譲渡費用の合計額を言います。
資産の取得費とは、資産の取得価額、設備費、改良費、の合計額です。しかし、建物や機械装置等のような資産は時の経過によって減価する資産の取得費については、その資産の取得価額・設備費・改良費の合計額から、償却費相当額を差し引いて計算します。この償却費相当額は、下記に記載の金額です。
♯1、事業等に使用していた資産の場合は、 譲渡時までの減価償却費の累計額
♯2.事業等に使用していなかった資産の場合は、 下記の算式で計算した金額

(取得価額・設備費・改良費) ×

90%

×

譲渡資産の耐用年数の1,5倍の年数に応ずる定額法の償却率

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経過年数

償却費相当額

(注1) 耐用年数の1,5倍の年数に1年未満の端数が発生した場合,その端数は切り捨てて計算します。
平成10年分以降の譲渡所得の計算に際し上記計算式の耐用年数は平成10年度改正後の耐用年数によります。(平成9年以前は旧耐用年数、平成10年以降は新耐用年数というような区分計算は行いません。)
(注2) 経過年数の6か月以上の端数は1年とし、6か月未満の端数は切り捨てて計算します。
(注3) 償却費相当額は、取得価額・設備費・改良費の合計額の95%までです。

 

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