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161、譲渡資産の取得費の特例

162、相続財産を譲渡した場合の取得費の加算の特例

163、譲渡所得金額の計算(総合課税)

164、譲渡所得の計算上、生活に通常必要でない資産の災害損失

165、譲渡代金の回収不能等による損失

166、譲渡代金が回収不能等になった場合の計算例

167、分離課税の譲渡所得の種目区分と借地権、地役権について

168、土地建物等の分離譲渡所得の対象となる、(1)長期間保有していた土地を譲渡した場合、(2)土地に区画形質の変更を加えて譲渡した場合、(3)長期間保有していた土地に区画形質の変更等を加えて譲渡した場合について

169、譲渡所得金額の計算(分離課税)における概算取得費控除、譲渡所得となる借地権等の設定の場合の取得費、譲渡費用の具体例について

170、分離課税長期譲渡所得の100万円特別控除


161、譲渡資産の取得費の特例


譲渡資産の取得費の特例について説明してください。


通常、譲渡資産の取得費の計算上用いられるものとしては、下記のような特例があります。
(1) 昭和27年12月31日以前から所有していた資産の取得費の特例
計算方法は、下記のとおりです。しかし、その資産が使用または時の経過により減価する資産であるときは、下記の算式で計算した金額から 昭和28年1月1日から譲渡の日までの期間にかかる償却費相当額を控除して計算します。
下記の♯1、♯2、♯3、のうちいずれか多い金額 プラス(+) 昭和28年1月1日以後に支出した設備費と改良費
♯1、その資産の昭和28年1月1日現在の相続税評価額
♯2、その資産が資産再評価法の規定により再評価を行った資産の場合は、その再評価額
♯3、その資産の 実際の取得価額+昭和27年12月31日までに支出した設備費と改良費(その資産が使用または時の経過により減価する資産の場合は、昭和27年12月31日までの償却費相当額を控除して計算します。)
(2) 土地建物以外の資産の取得費の特例
土地建物以外の資産を譲渡した場合、その資産の取得費は、実際の金額によらず、その譲渡による収入金額の5%相当額を取得費として計算することが認められています。
ただし、一般的に譲渡所得の金額の計算上、控除する取得費がないものとされる土地の地表または地中にある土石等のほか、借家権および漁業権等は、この取得費の特例の適用はありません。
(3) 相続等や低額譲渡などによって取得した資産の取得費
相続または遺贈によって取得した資産の取得費は、その相続等について、 みなし譲渡課税 が行われているときは、その相続等があったときの時価で取得したものとして取得費を計算し、みなし譲渡課税が行われていない場合は、被相続人等がその資産をもっていた期間を含めて相続人等が引き続いてその資産を持っていたものとして取得費を計算します。また、個人から贈与または時価の2分の1未満の低額(譲渡代金がその資産の取得費と譲渡費用の合計額に満たないものに限ります。)によって取得した資産の取得費についても、贈与者または先の譲渡者の取得費を引き継ぎます。
(注1) みなし譲渡については、経理実務Q&A (157)、譲渡所得の収入金額 を参考にしてください。
(注2) 交換・買い換えなどにより取得した資産の取得費については、次の機会に掲載します。 

 

162、相続財産を譲渡した場合の取得費の加算の特例


相続財産を譲渡した場合の取得費の加算の特例について説明してください。


税法上、資産の取得費の特例として、相続または遺贈によって取得した財産を相続の開始のあった日の翌日から相続税の申告書等の提出期限の翌日以降3年を経過する日までに譲渡した場合には、その譲渡資産取得費に、下記の算式によって計算した金額を加えたものを、その譲渡資産の取得費とすることができる制度です。
(注1) 相続または遺贈によって取得した財産で、みなし譲渡課税の適用を受けたものを除きます。
(注2) 相続の開始のあった日とは、被相続人の死亡の日と同じです。

♯1、譲渡した資産が土地等である場合

譲渡した人の確定相続税額 × その人が相続等により取得した土地等(注1)の価額で分母の課税価格に算入された価額の合計額

左の確定相続税額の基礎となった相続税の課税価格(債務控除前)

× 他の土地等の譲渡について既に取得費に加算された金額

♯2、上記以外の場合

譲渡した人の確定相続税額 ×

譲渡した資産の分母の課税価格に算入された価額


左の確定相続税額の基礎となった相続税の課税価格(債務控除前)

(注1) 上記(♯1)の土地等には、相続開始前3年以内に被相続人から贈与により取得した土地等で相続税の課税財産に加えられるものを含みますが、下記の土地は除かれます。
※ 物納した土地等または物納申請中の土地等
※ 相続開始時において棚卸資産であった土地等および雑所得の基礎となる土地等
(注2) 上記(♯1)または(♯2)により計算した金額が譲渡した資産の譲渡益{上記(♯1)または(♯2)の適用をしないで計算した金額}を超える場合は、取得費に加算できる金額はその譲渡益相当額までです。
(注3) 確定相続税額とは、贈与税額控除を適用しないで計算した相続税額です。
(注4) 上記(♯1)または(♯2)の算式の分母の計算は、その相続開始日現在の相続税の課税価格によります。
(注5) この取得費の特例の適用対象となる土地等の譲渡が同年中に2以上ある場合には、取得費に加算する相続税額は原則として譲渡収入金額の収入すべき時期の順に順次加算しますが、納税者が上記と異なる順に加算額を計算して申告しても、その申告は認められます。また、その土地等の譲渡にかかる譲渡所得のうちに適用税率の異なる譲渡所得がある場合には、取得費に加算する相続税額は、税率の高い譲渡所得の順にその譲渡資産の取得費に加算します。
(注6) この取得費の加算の特例を受けるためには、確定申告書の二面の特例適用条文欄に、 租税特別措置法39条と記入し(租法39条と略記します。)、譲渡所得計算書、相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書 を添付する必要があります。

 

163、譲渡所得金額の計算(総合課税)


譲渡所得金額の計算(総合課税)について説明してください。


譲渡所得の計算は、収入金額から取得費・譲渡経費を控除した金額を、総合課税の譲渡益(赤字の場合は譲渡損)といいます。
土地建物等の分離課税の譲渡と、総合課税の譲渡(車や機械装置の譲渡)がある場合に、いずれか一方に損失がある場合は、この段階で分離課税の譲渡所得または損失との損益通算を行います。(損益通算については次の機会に掲載します。)
そして、譲渡益から特別控除額を差し引きした金額が、総合課税の譲渡所得金額となります。

総収入金額

(取得費・譲渡経費)

特別控除額

長期または短期の
譲渡所得金額


総合課税の譲渡にかかる特別控除額は、下記の各場合に応じて計算します。

♯1 短期の譲渡益+長期の譲渡益が50万円まで その譲渡益(譲渡所得の金額は、0 になります。)
♯2 短期の譲渡益+長期の譲渡益が50万円を超える場合 50万円

短期の譲渡と長期の譲渡との両方があり、その譲渡益の合計額が50万円を超えている場合は、下記の算式によりそれぞれの譲渡所得金額を計算します。
♯1、短期の譲渡益が50万円を超える場合

短期の譲渡益

50万円

短期の譲渡所得金額

長期の譲渡益

長期の譲渡所得金額

♯2、短期の譲渡益が50万円まで場合

(短期の譲渡益

長期の譲渡益)

50万円

長期の譲渡所得金額

(例1)
短期の譲渡益80万円、長期の譲渡益70万円の場合

80万円

50万円

30万円

――→

(短期の譲渡所得金額)

70万円

――→

(長期の譲渡所得金額)

(例2)
短期の譲渡益40万円、長期の譲渡益100万円の場合

(40万円

100万円) 50万円 90万円

(長期譲渡所得金額)

(注)総合所得金額を計算するときには、長期譲渡所得はその2分の1が対象になります。

 

164、譲渡所得の計算上、生活に通常必要でない資産の災害損失


譲渡所得の計算上、生活に通常必要でない資産の災害損失について説明してください。


譲渡所得の計算上、貴石、貴金属、書画、骨董などのうち1個または1組の価額が30万円を超えるもの、別荘、競走馬など生活に通常必要でない資産について、火災などの災害や盗難、横領によって損失が発生した場合には、その損失を、その当該申告年分の譲渡所得の金額から差し引きします。その当該申告年分から差し引きされなかった損失は、その翌年分の譲渡所得から差し引かれますが、なお引きれない損失はなかったものとされます。また、差し引くときに、短期および長期の両方の譲渡所得がある場合、まず、短期譲渡所得から差し引きします。
(注1) 競走馬は、事業用の競走馬を除きます。
(注2) 生活に通常必要でない資産とは、上記ものですが、ここでは、雑損控除の対象とならない資産を言います。

 

165、譲渡代金の回収不能等による損失


譲渡代金の回収不能等による損失について説明してください。


譲渡代金の回収不能等による損失について税法では、(♯1)譲渡代金の全部または一部が回収不能になった場合、(♯2)保証人として求償権が行使できなくなった場合、について下記のように取扱うように定めています。
上記の二つのケースのような場合には、その譲渡があった年分の所得について、回収不能額(求償不能額)に対応する収入金額がなかったものとして、所得金額を計算して申告することができます。確定申告書には、この特例を受ける旨の記載が必要です。
申告後に回収不能などが発生した場合は、その回収不能などが発生した日の翌日から2ヶ月以内に 更正の請求書 を所轄税務署に提出してその年分の所得税額の減額を請求することができます。

(※1)資産の譲渡代金の全部または一部が回収不能になった場合

下記の金額のうち最も低い金額は各所得金額の計算上なかったものとみなされます。
♯1、その回収不能額
♯2、その回収不能額が発生した時の直前において確定しているその年分の総所得金額、分離課税の譲渡所得金額(特別控除額控除前の金額)、申告分離課税の株式等の譲渡所得等の金額、退職所得金額および山林所得金額の合計額
♯3、その回収不能額にかかる(♯2)の金額の計算の基礎とされる各種所得の金額
(注1) (♯2)の総所得金額は、その総所得金額の計算の基礎となった利子所得金額、不動産所得金額、事業所得金額、給与所得金額、譲渡所得金額、一時所得金額、および雑所得金額(損益通算適用後の所得金額とし、赤字の所得はないものとします。)の合計額(純損失・雑損失の繰越控除適用後)を言います。
譲渡所得金額は、長期の譲渡であっても2分の1する前の金額をいい、一時所得についても同じです。
(注2) 回収不能かどうかの判断は、貸倒れの判定に準じます。

(※2) 保証人として求償権が行使できなくなった場合

保証債務を履行するために資産を譲渡した場合で、債務者に対する求償権の行使ができなくなった時は、そのできなくなった部分について、(※1)と同じように取扱われます。

 

166、譲渡代金等が回収不能になった場合の計算例


譲渡代金等が回収不能になった場合の計算ついて説明してください。


譲渡代金が回収不能になった場合について、各所得金額を下記のように仮定して説明します。なお、各所得金額については、規定の適用前の金額です。
(例)

各種所得

所得計算

所得金額

a

各種所得

課税標準額計算 課税標準額

事業所得
一時所得
譲渡所得
(長期保有土地)
総収入金額
取得費・譲渡経費
所得金額

各種所得合計額






4000
1000
3000


150
80
3000





3230

a
事業所得
一時所得

長期譲渡所得



(80×1/2)


150
40

3000

(注1) 上記の譲渡所得についての回収不能額 1000

(注2) 一時所得は、特別控除(50万円)後の所得金額です。

(計算例)

譲渡所得金額の計算上なかったものとみなされる金額は、下記の金額のうち最も低い金額が譲渡所得の計算上なかったものとみなされる金額です。

回収不能額

1000

――→ 1000
各種所得金額の合計額

3230

譲渡所得金額

3000

※ 各種所得金額と課税標準額(回収不能となった場合の規定の適用後の金額)

各種所得金額

所得計算

所得金額

a

各種所得

課税標準額計算 課税標準額

事業所得
一時所得
譲渡所得
規定適用前の所得
なかったとみなされる金額





3000
1000
2000


150
80
2000

a (総所得金額)
事業所得
一時所得

合計

長期譲渡所得金額




(80×1/2)


150
40

190

2000

(注) 一時所得の計算方式

総収入金額

その収入を得るために支出した金額

一時所得の特別控除額

一時所得金額
一時所得金額×1/2=総所得金額に算入する金額

 

167、分離課税の譲渡所得の種目区分と借地権、地役権について


分離課税の譲渡所得の種目区分と借地権、地役権について説明してください。


分離課税の譲渡所得の種目区分については、土地、建物および構築物、株式・出資の三つに区分されます。
※ 土地については、 宅地、田、畑、鉱泉地、池、山林地、牧場、ゴルフ場、原野、借地権、地役権などが考えられます。
※ 建物および構築物については、 住宅、アパート、店舗、事務所、工場、倉庫、別荘、へい、庭園、貯水池などが考えられます。
※ 株式・出資については、 土地保有会社の株式、出資などが考えられます。

  借地権、地役権の設定によって、受けた権利金等の額、敷金等から発生する特別な経済的利益の額が、土地の価額の2分の1を超える場合に限り、その所得を譲渡所得として計算されます。上記以外の場合は、権利金等の額は不動産所得となります。
(注1) 借地権、地役権の設定によって、受けた権利金等の額、敷金等から発生する特別な経済的利益の額が土地の価額の2分の1とある場合で、その借地権や地役権の設定が地下または空間について上下範囲を定めたものである場合および遊水地等の建造物の設置の制限である場合には、4分の1となります。
(注2) 税法上借地権とは、土地を借り、その土地の上に建物や構築物を建築することを目的とした地上権、賃借り権を総称して借地権といいます。借地権の設定があれば、借地人の所有する建物や構築物が現存する限り、その土地の使用に制限を受けることになります。
(注3) 地役権とは、一般に、Aの地の利益のためにBの地を利用して、ここを通行したり引水したりする権利を地役権といいます。税法では、譲渡所得になる場合の地役権については、下記の目的で設定されるもので建造物の設置を制限する権利に限られます。
※ 特別高圧架空(地中)電線の架設や敷設、 ※ 高圧ガス導管の敷設、 ※ 飛行場の設置、 ※ モノレールの敷設、 ※ 砂防設備である導流提または遊砂地の設置、 ※ 都市計画法第8条第1項第4号に定める特定街区内における建築物の建築、 ※ 都市計画法第4条第14項に定める公共施設(道路、公園、下水道等)の設置、 ※ 河川にかかる遊水地などの施設の設置

 

168、土地建物等の分離譲渡所得の対象となる、(1)長期間保有していた土地等を譲渡した場合、(2)土地に区画形質の変更を加えて譲渡した場合、(3)長期間保有してした土地に区画形質の変更等を加えて譲渡した場合について


土地建物等の分離譲渡所得の対象となる、(1)長期間保有していた土地等を譲渡した場合、(2)土地に区画形質の変更を加えて譲渡した場合、(3)長期間保有していた土地に区画形質の変更等を加えて譲渡した場合について説明してください。


(1) 長期間保有していた土地等を譲渡した場合については、土地などの譲渡(借地権の設定等を含みます。)による所得でも、その土地などを相当の期間にわたって継続して譲渡している場合のその譲渡による所得は、棚卸資産または準棚卸資産の譲渡による所得として、事業所得または雑所得になります。しかし、極めて長期間(概ね10年以上)引き続き所有していた土地など(販売目的で取得したものを除きます。)の譲渡による所得は、譲渡所得として取扱われます。
(2) 土地に区画形質の変更を加えて譲渡した場合については、(♯1)林地その他の土地に区画形質の変更を加え若しくは水道その他の施設を設けて宅地等として譲渡した場合、または(♯2)その土地に建物を建設して譲渡した場合には、その譲渡による所得は、棚卸資産または棚卸資産に準ずる資産の譲渡による所得として、その全部が事業所得または雑所得とされますが、(♯1)の場合の土地の面積(その土地の所有者が2人以上の場合には、その合計面積)が小規模(概ね3,000u以下)である場合およびその区画形質等が土地区画整理法による土地区画整理事業または土地改良法による改良事業として行われたもの等であるときは、その土地の譲渡による所得はすべて譲渡所得とすることができます。
(3)長期間保有していた土地に区画形質の変更等を加えて譲渡した場合については、土地建物等の譲渡が上記(2)により事業所得または雑所得に該当する場合であっても、その区画形質の変更や建物等にかかる土地が極めて長期間(概ね10年以上)引き続き所有されていた場合は上記(2)にかかわらず、区画形質の変更による利益に対応する部分は事業所得または雑所得となり、その他の部分は譲渡所得とすることができます。この場合に、区画形質の変更等の着手直前におけるその土地の価額が譲渡所得の収入金額になります。なお、その土地建物等の譲渡に要した費用は、すべて事業所得または雑所得の金額の計算上、必要経費に算入されます。

(注)土地の所有者が、その土地の地表または地中の土石、砂利等を譲渡(営利を目的とした継続的譲渡は、事業所得または雑所得となります。)した場合の所得については、譲渡所得となります。
また税法では、譲渡した土地や建物の所在地が、所得の生ずる場所になります。

 

169、譲渡所得金額の計算(分離課税)における、概算取得費控除、譲渡所得となる借地権等の設定の場合の取得費、譲渡費用の具体例について


譲渡所得金額の計算(分離課税)における、概算取得費控除、譲渡所得となる借地権等の設定の場合の取得費、譲渡費用の具体例について説明してください。


分離課税の譲渡所得の計算において、収入金額および必要経費については、総合課税の場合と原則的に同じです。なお、総合課税の計算で用いる特別控除は、分離課税では適用されません。
収入金額に算入すべき時期について、農地法の規定による許可を受けなければならない農地または採草放牧地の譲渡も、原則として、その農地などの引渡しが行われた日が収入金額に算入すべき時期です。しかし、その農地などの転用等の許可がない場合や効力が発生していない場合でも譲渡(売買)契約の締結された日を収入金額に算入すべき日として申告してもよいことになっています。
概算取得費控除は、土地建物等の取得費について、昭和27年12月31日以前に取得した場合は、下記の(※1)、(※2)のどちらか多い金額とすることができます。この取得費の計算方法は、土地建物等の譲渡所得である限り昭和28年1月1日以後の取得にかかるものにも同様の取り扱いが認めらています。
(※1) 実際の取得価額を基にして計算した金額
(※2) その資産の譲渡による収入金額の5%相当額
(注) 概算取得費控除を適用する場合の収入金額にかかる消費税等の取り扱いは、譲渡をした人が事業者の場合はその適用している税抜き経理または税込み経理の方式により算定した金額によります。(事業者でない場合は、税込み経理です。)
譲渡所得となる借地権などの設定の場合の取得費は、借地権や地役権の設定の対価として受け取った権利金等で譲渡所得となるものの取得費は、下記の要領で計算します。
下記の要領で計算した金額が、譲渡所得となる権利金等の収入金額の5%よりも少ないときは、その収入金額の5%相当額をその取得費とすることができます。
(♯1) その土地にはじめて借地権あ地役権を設定した場合

その土地の取得費

×

権利金等の金額


権利金等の額+底地の価額

(注) 底地の価額がわからないときは、地代年額の20倍を底地の価額とします。

(♯2) 借地権や地役権が設定してある土地に、更に借地権等を設定した場合
  例》 既に借地権の設定してある土地の地下を地下鉄や地下商店街などに使用させた場合

その土地の取得費

現に設定してある借地権などについて上記(♯1)により計算して取得費とされた金額

×

権利金等の額


権利金等の額+底地の価額

(注) 過去に借地権等の設定があった土地で現に借地権等の設定がないものについて借地権等を設定した場合や、借地権者が借地を転貸しした場合の取得費の計算については、例外があります。

譲渡費用の具体例として、下記のような費用は譲渡費用として差し引くことができます。
♯1、譲渡のために借家人を立ち退かせるための立退料
♯2、土地(借地権を含む。)を譲渡するためにその土地の上にある建物等の取り壊しに要した費用
♯3、仲介手数料
♯4、契約書に貼付した印紙代金

 

170、分離課税長期譲渡所得の100万円特別控除


分離課税の長期譲渡所得の100万円特別控除について説明してください。


譲渡所得の計算は、収入金額から必要経費(取得費+譲渡費用)を差し引いた金額が、分離課税の土地建物等の譲渡では、譲渡所得金額になります。
土地建物の譲渡と、車や機械装置の譲渡益または譲渡損と損益通算を行い、他の所得との損益通算もこの時点の金額で行います。
上記とは別に、土地建物等の譲渡所得金額のうち長期譲渡所得金額からは、100万円(長期譲渡所得金額が100万円に満たない場合は、その長期譲渡所得金額)を特別控除額として差し引くことができます。なお、短期譲渡所得については、100万円控除の適用はありません。
また、下記の適用を受ける長期譲渡所得については、100万円特別控除の適用はありません。
※ 居住用財産の3000万円特別控除
※ 土地収用法等に基づいて土地建物等の資産を収用などされた場合の5000万円特別控除
※ 国等や都市基盤整備公団などが行う特定土地整理事業等のために土地等を譲渡した場合の2000万円特別控除
※ 特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1500万円特別控除
※ 農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合の800万円特別控除
※ 買い換え・交換の特例
(同種の固定資産を交換した場合の特例、特定の交換分合により土地等を取得した場合の特例を除きます。)

 

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